変わらないプロの高い評価

今年のドラフトの目玉である立石
創価大・立石正広が不安を払拭するパフォーマンスを見せた。10月18日に行われた東京新大学野球秋季リーグの共栄大戦。「三番・二塁」で先発出場すると、6点リードの8回一死二、三塁で
コールド勝ちを決める左前打を放つなどマルチ安打2打点の活躍。4日の駿河台大戦で背中に張りを感じ、途中交代して以来の復帰戦ですぐに結果を出した。
大学最後のリーグ戦を前に「ドラフトの目玉」として注目を集めたが、8月1日のオープン戦で二塁へスライディングした際、右足の靭帯を損傷した。同月31日に那覇で行われた侍ジャパンU-18壮行試合「高校日本代表対大学日本代表」を出場辞退し、9月3日開幕の秋季リーグ戦にも間に合わなかった。プレー中の故障による長期離脱は人生で初めてだったため、「選手としてはまったく意味のない状態。同級生に活躍されると、やりたくてたまらないですし、1年生がスタメンで出て活躍した姿を見ていたら、休んでいる暇はない」ともどかしさがつのった。
試練は続く。3カード目の杏林大戦でスタメン復帰して2回戦で一発を放ったが、4カード目の駿河台大1回戦で3回の第2打席で空振りした際、背中に痛みを覚えた。右飛に終わると途中交代。再び戦列を離れた。
だが、プロの高い評価は変わらない。
広島が10月13日にドラフト1位で立石に指名することを公表した。セ・リーグ球団のスカウトは「大学時代の
牧秀悟(
DeNA)より上。スイングスピードが速く、強烈な打球は大学生の次元ではない。広角に長打が打てるし、足が速くて肩も強い。スケールの大きさは近年の野手で飛び抜けている」と高い評価を口にする。
大学2年春に三冠王
高川学園高の3年夏に甲子園に出場し、1回戦・小松大谷高戦でバックスクリーンにアーチを放ったが、スラッガーとしての評価を高めたのは創価大に進学してからだった。2年の春に打率.500、5本塁打、14打点で三冠王に輝くと、秋も打率.294で2期連続首位打者を獲得。3年時から侍ジャパンに選出され、3年秋の明治神宮大会では打率.667、2本塁打、歴代最多の10安打を放って準優勝に貢献した。
3年春秋のリーグ戦では試行錯誤したが、ラストイヤーできっちり巻き返す。4年春のリーグ戦で打率.400、5本塁打、16打点。本塁打と打点の2冠に輝き、MVPを受賞した。「今季はどのピッチャーがどんな球を投げるのか、データを頭に入れてきちんと整理できていたのが好調な打撃につながりました。自分が設定していた目標を全部達成することができて、特に打率の面では技術が上がっていると思いますし、しっかりと結果を残すことができたのが一番の成長だと感じています」と手ごたえを口にしていた。
例年より高まるスラッガーの価値
大学に入った4年間で、周囲の見方は大きく変わった。プロのスカウトから熱視線を受け、ドラフト1位で争奪戦の可能性が高いとメディアで報じられている状況は理解している。「どこも大きく記事を書いてくださりますし、スカウトの言葉も本当かどうかは分からない。難しいところではありますけど、正直、気にしたくはないです」と複雑な胸中を口にしていたが、「とは言っても、プロになるなら誰もが絶対にそういう経験はあると思う。頑張るしかない。楽な気持ちでドラフト当日を迎えられたら」と前を向く。
スラッガーの価値は例年よりも高まっている。今オフはセ・リーグで本塁打王のタイトルを昨年まで分け合ってきた
村上宗隆(
ヤクルト)、
岡本和真(
巨人)がポスティングシステムでメジャーに挑戦する可能性がある。今季20本塁打をクリアしたのが、セ・リーグで5人、パリーグは4人のみであることを考えると、各球団は競合覚悟でチームの将来を担う長距離砲が欲しいだろう。
大学生の野手の1位指名は
岡田彰布(
阪神)の6球団が最多。立石には何球団が競合するか。運命のドラフト会議は10月23日に開催される。
写真=BBM