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佐々木麟太郎の取材窓口担当者が会見「メジャーは夢としてはある。ただし、第一の選択肢になるかは分からない」

 

独り歩きしている「メジャーに行きたい」発言


スタンフォード大・佐々木麟太郎の取材窓口であるマネジメント会社の担当者が、NPBドラフトに関して取材に応じた。約40人のメディアが集まり、注目度の高さを見せた[写真=橋田ダワー]


 10月23日のドラフト会議でソフトバンクから1位指名を受けたスタンフォード大・佐々木麟太郎。メディアの前には出ておらず、今後もしばらくは「NPBドラフト」について発信する予定はないという。それは、なぜか。

 アメリカ留学した学生の立場で、現在もトレーニングと授業をこなす日々を過ごしているからだ。サポートしてくれる現地在住の日本人もいるが、日常はすべて一人。私生活、学校を含め、すべて英語でコミュニケーションを取っている。来年7月にMLBドラフトを控えているが、2月末に開幕する大学シーズンに向け調整。大学からは優秀な学生アスリートとして表彰されるなど、文武両道を貫いている。目の前のことに集中しており「ソフトバンク1位指名」に対して感謝をしつつも、それ以上の動きはできない状況なのだ。

 しかし、憶測は深まるばかりだった。多くの謎に包まれているため、佐々木の取材窓口であるマネジメント会社が10月27日、東京都内で「現状説明および質疑対応」に応じた。以下のコメントはすべて担当者の声である。

 まず、事前に指名の予告はあったのか。もちろん、あるはずもない。「現地で視察された球団、問い合わせがあった球団も複数ありましたが、(指名には)かなり驚かれていたようでした」。7月のプロ野球実行委員会で佐々木が「ドラフト対象」であることが12球団に通知されたが「ご家族、ご本人も把握していないこと。突然、候補者になった」と困惑していたことも明かす。

 交渉権確定後、ソフトバンク・王貞治会長が佐々木と電話で話したとされるが「エージェントが横にいまして、関係者を経由して、話をしたそうです」とあらためて説明があった。

 父であり、花巻東高・佐々木洋監督が懸念していたのが「指名権がムダになってしまう可能性がある。失礼になるかもしれない」ということだった。一部で「12球団OK」と報じられていたが、それは事実無根であるという。佐々木自身も「(NPBに)行く、行かないと言ってしまうのも偉そう、と。彼の性格的な部分で、言わなかったそうです」。

 また、独り歩きしているのが、以前から佐々木自身が語っていた「メジャーに行きたい」という発言だ。なぜ、スタンフォード大に進学したのか。誤解してはならないのは、留学が第一の目的であるということだ。渡米前、佐々木は本誌インタビューでこう語っていた。

「『メジャーへの近道』ということで、アメリカの大学を選んだというのではなくて、自分自身の人生を、広い世界で選びました。メジャーへ行くために、留学を決断したのではない。自分自身の人生を考えた上での選択です」

 あくまでもメジャーは「将来的な夢」。まずはグローバルで活躍できる人材を目指し、教養を深めるために、渡米した背景がある。父・洋さんとしても「静かな環境で、勉学と競技に集中してほしい」という親心があった。

丁寧に指名あいさつに応じる


 現実的には「来シーズンはスタンフォード大でプレーする。そこが揺らぐことはない。来シーズンに活躍して大舞台に行けるように努力する。(ソフトバンクからの指名、さらにはMLBドラフトでの指名で)動くかもしれないですし、動かないかもしれない。現時点では分かりません。大学に残るかもれない」

 留学した大前提として「意志として、卒業したい。揺るぎないものがある」。アメリカの文化として「休学制度」が定着しており、まずは競技を優先し、オフシーズンや引退後に学位を取得することが一般的に行われている。スタンフォード大はアスリート支援に寛容であり、期間を設けず、履修することができる。MLBに限らず、NPBに進んだ場合でも適用され、佐々木にとっては人生の選択の幅が広がるというわけだ。トップアスリートとして活躍する時間には期限があるが「学問はいつでもできる」という考えである。

 佐々木家は礼を尽くす。今回のNPBドラフトに際して、1位入札したDeNA、ソフトバンクだけでなく、評価してくれた球団に対して深い感謝を示しているという。ドラフト当日、ソフトバンク・城島健司CBOは佐々木サイドへの指名あいさつの意志を表明していたが「ルールに則ってあいさつ、指名の経緯を聞く機会」に丁寧に応じるという。

「(佐々木洋監督は)高校野球の指導者として今後、教え子がお世話になる可能性がある。失礼なことはできない。ただし、(指名あいさつの日も)メディアには対応されません。佐々木選手も(その場があれば)真摯に応じるかと思いますが、ごあいさつだけで終わり。コメントすることはありません。シーズン中はプレーそのものについての質問には答えますが、進路について言及することはないと思います」

 さて、今後の動きをまとめておく。2月末にNCAAのシーズンが開幕し、5月末まで続く。プレーオフに進出すれば6月末まで。スタンフォード大はオマハでの全米選手権での優勝を目指している。事が動き出すのは、全日程終了後。7月のオールスターブレークにはMLBドラフトがあり「指名されるような選手になるのが目標」と、一人のアスリートとして、レベルアップに励んでいく。ソフトバンクに対しても「まったく話を聞かないということはない。膝を付け合わせて、聞く可能性はあるかもしれない」と見通しを語った。とはいえ、あくまでも不透明な状況であること強調した。

 改めて、担当者はこう言った。

「メジャーは、夢としてはある。ただし、第一の選択肢になるかは分からない。最終的な決断は本人。両親思いですから、もちろん意見を聞き、参考にした上で、成人した一人の者として最終判断する。彼が歩む人生は今後、日本人の若者の可能性を広げる。出来得る限りのサポートをしていきたいと思います」

 ソフトバンクは交渉については長期的なスタンスを覚悟しており、リスク承知の1位指名だった。あくまでも本人の意志を尊重しつつも、ホークスの魅力を伝えていくことになる。

文=岡本朋祐
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