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2025日本シリーズ

牧原大成の高校時代の恩師が独占手記 「第一印象は『新庄の小型』」「プロの技を見せてくれた」

 

日本一を決め、三塁ベンチを飛び出したソフトバンク・牧原は背番号7のユニフォームを抱え、歓喜を表現した[写真=毛受亮介]


 ソフトバンクが阪神との日本シリーズを4勝1敗で制し、5年ぶり12度目の日本一を決めた。入団15年目の今季、育成選手出身で初の首位打者に輝いた牧原大成。今シリーズでも全5試合で先発出場し、天性のバットコントロールを披露。第3戦では、左右に打ち分ける2本の二塁打を放った。二塁守備では第4戦の8回裏に超美技を見せている。ソフトバンクは2点リードを追いつかれ、なおも一死一塁。大山悠輔の詰まった一、二塁間の当たりで、牧原は迷いなく二塁へ送球し、一走の二進を許さなかった。一塁へ送球していれば二死二塁で、一打同点と重圧のかかる場面となっていただけに、超ビッグプレーだった(後続を抑え、3対2で逃げ切り王手をかけた)。

 育成から這い上がってきた牧原を城北高で3年間指導した末次敬典監督(現・八女学院高監督)が、本誌に独占手記を寄せてくれた。

プロに送り出す前に言った2つのこと


 敵地・甲子園での日本一。シリーズ制覇を決め、三塁ベンチから飛び出してきた牧原は、背番号7のユニフォームを大事に抱えていました。チームの先輩として慕っている中村晃選手はケガのため、日本シリーズに出場できず、その思いを背負ってプレーしていたのでしょう。表情を見ると、うれしそうでしたね。彼の優しい人柄がにじみ出ている光景でした。

 高校入学から約1週間の練習、取り組む姿勢、身体能力を見て、牧原は「プロに行ける選手」であると確信しました。第一印象は「新庄の小型」。西日本短大付高に勤務していた際、新庄剛志(日本ハム監督)を指導。ある日、本人が「プロで通用しますかね?」と聞いてくるので「お前がプロの世界でやっていけなければ、誰がプロでやっていけるんだ!!」と叱咤激励した思い出があります。新庄と牧原に共通しているのは潜在的な体のしなやかさと、練習の虫だったということです。いつも、グラウンドには誰よりも早く出てきていました。もともと、ショートだったんですが、二塁ベース寄りの当たりをさばくには、牧原の肩がないとアウトにできない。チーム事情もあり、すぐに二塁手に抜てきしました。

 高校3年夏を前に、城北高校にはNPBのスカウト5球団ほどが視察に来ました。目的は投手だ、と。私はあえて「他を見てください」とお願いしました。一度見れば、牧原の魅力は分かります。そこで、ソフトバンクの福山(福山龍太郎)スカウトが「育成でも良いですか」と獲得への興味を示されてきたので、本人にも確認した上で「ぜひとも、お願いします」と。もちろん、ドラフト会議当日の状況によってどうなるかは、不透明でしたが……。

 2010年のドラフトで育成5位指名。背番号129。晴れてホークスの一員となったわけですが、プロへと送り出す前に2つのことを言いました。グラウンド整備とあいさつ。牧原は私との約束を忠実に守ってくれました。当時、二軍監督だった小川一夫さんから連絡が入ったんです。「二軍のコーチ陣が『1日でも支配下にしてやろう』が合言葉なんです、と。彼の真摯な取り組みを見てくれていたんですね。

1年でも長い活躍を期待


ソフトバンク・牧原は阪神との日本シリーズ第3戦で2本の二塁打を左右に打ち分けた。写真は3回の左二塁打[写真=高原由佳]


 素材は間違いない。2022年には規定打席にあと2打席足りず、悔しい思いをしました。23年はWBCで世界一を経験しましたが、以降は故障で思うような結果が残せず、昨年も故障、フルで出場することはできませんでした。連絡した際には「あのバットコントロールがあれば、打撃ベスト10には入れる」と激励したことがあります。3年前の無念を背負い、今年は初めて規定打席の443打席に到達し、パ・リーグ唯一の3割打者で、育成出身で初の首位打者。大したもんですよ。

 日本シリーズもテレビで見ていましたが、第4戦の守備は牧原にしかできないですね。普通にこなしていましたが、相当、レベルの高いプレー。視野が広く、冷静に対処できる。あれが、牧原なんです。プロフェッショナルの技を見せてくれました。あの体(172センチ72キロ)で、本当によくやっていると思います。11月には侍ジャパン強化試合のメンバーに入っていますが、オフシーズンは体のケアに努めてほしいです。いまさら私が言うまでもありませんが……。今年10月で33歳。1年でも長く活躍することを期待しています。
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