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【大学野球】「秋の早慶戦で完成形」指揮官が口酸っぱく言っていたことを示す最終カード

 

リーグ連覇を逃して


早大は慶大に先勝。リーグ4連覇は逃したが、集中力のある戦いを見せた[写真=矢野寿明]


【11月1日】
東京六大学リーグ戦第8週
早大5-3慶大(早大1勝)

 早大はこの秋、部史上2度目のリーグ4連覇を逃した。第6週の明大戦で連敗。目の前で明大の歓喜を見届ける屈辱を味わった。

 第7週は空き週。最終週・早慶戦の1回戦前、小宮山悟監督は一塁ベンチ内で言った。

「力及ばず、勝ち点を2つ落としたチーム。所詮、そのレベルだったのか、見違える試合をして『すごかった』と言えるのか、楽しみにしているんです。雰囲気? お世辞にも良いとは言えません。(4連覇というモチベーションを失い)心の支えを埋められず、ズルズルといってもおかしくない。ただ、そこを踏みとどまって頑張っている姿が痛々しかった。(優勝争いが)何もない早慶戦は久しぶりですが、そこで無様な試合をしたら、言い訳にもならない」

 伝統の一戦を前に、安部球場で選手たちにあらためてこう指示を出した。

「有終の美を飾れるように、チームとしての『完成形』をつくり上げろ!!」

早慶戦1回戦で勝利


早大の先発・伊藤は8回2失点とゲームをつくり、通算22勝目を挙げた。「ここまで背番号11として活躍できたのは、早稲田に育ててもらったから。感謝したい。この環境に挑戦させてくれた親にも感謝したい」[写真=矢野寿明]


 2万2000人の観衆が集まった1回戦。早大は先発のエース・伊藤樹(4年・仙台育英高、楽天2位指名)が8回2失点の好投で、リーグ戦通算22勝を挙げた。打線は1点を追う4回表に四番・寺尾拳聖(3年・佐久長聖高)のソロで追いつき、8回表に主将・小澤周平(4年・健大高崎高)の適時打で勝ち越し、寺尾、前田健伸(4年・大阪桐蔭高)のタイムリー、田村康介(4年・早大学院)の犠飛と打線がつながり、計4点を挙げた。終盤の慶大の反撃を振り切り、早大が先勝した。

早大の四番・寺尾は4回表に同点ソロ[写真]。8回表にも貴重な適時打を放った。「つなぎの意識で打席に入った。いろいろなことを4年生のために最後は勝って、良い形で送り出したい」[写真=矢野寿明]


 気持ちを維持するのが難しかったと明かすエース・伊藤は「自分のピッチングを4年間でつくってきたので、出すだけでした」。集大成のマウンドと位置づけ、役目を果たした。

「早慶戦。本当に、慶應義塾大学は偉大なライバルだとよく分かりました。気持ち的には糸の切れた凧になりかねないチーム状況でした。気の抜けたゲームになりそうなところでなかったのは、慶應義塾があってこそ。(慶大には)今日の試合で2人、ケガをした選手がいるので明日、元気に出場してくれることを願っています」(小宮山監督)

試合前の打撃練習前には、両校指揮官が健闘を誓い合った。左は慶大・堀井監督、右は早大・小宮山監督。最高のライバルであり、リスペクトする間柄だ[写真=矢野寿明]


 永遠の好敵手へ、気遣いを見せた小宮山監督。双方がリスペクトし、死力を尽くすのが100年つながれてきた東京六大学の対抗戦である。「秋の早慶戦で完成形」。指揮官が口酸っぱく言っていたことを示す最終カードである。

取材・文=岡本朋祐
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