一軍でプロ初安打をクリア

高卒1年目の今季、ケガがありながら二軍で好成績を残した石塚
来季に向けての戦いは、すでに始まっている。高卒1年目のシーズンを終えた
石塚裕惺はフェ
ニックス・リーグに出場し、11月13日から豪州で行われるウインター・リーグにも派遣されることが決まった。
高校通算26本塁打をマークし、U-18高校日本代表で四番を務めた大型遊撃手は高卒1年目に中身の濃い1年間を過ごした。3月9日の
阪神との二軍戦(Gタウン)でファウルを打った際に左手首を負傷。左有鉤骨鉤骨折でリハビリから出直して5月に実戦復帰すると、7月中旬から左三角線維軟骨複合体(TFCC)損傷で1カ月間離脱したが、イースタン・リーグで55試合に出場し、打率.327、3本塁打、25打点の好成績をマークした。9月中旬に一軍に初昇格すると、23日の
広島戦(マツダ広島)で5回に代打で出場し、左腕・
玉村昇悟の直球を中前にはじき返すプロ初安打。
坂本勇人、
岡本和真が経験し、目標にしていた高卒1年目でプロ初安打をクリアした。
今オフは不動の四番を長年張っていた岡本がポスティングシステムを利用し、メジャーに挑戦する。三塁のポジションが空くことになるが、この競争に石塚も参戦する形になる。本職は遊撃だがファームで三塁を守った経験がある。定位置奪取のチャンスがあるなら、必死でつかみにいく。坂本勇人は高卒1年目の2007年に一軍で4試合出場すると、2年目の翌08年に一気にブレーク。全144試合出場し、打率.257、8本塁打、43打点、10盗塁で遊撃の定位置をつかんでいる。
高卒4年目でブレークした岡本
スターになる選手は、巡ってきたチャンスをモノにする。岡本もそうだった。高卒でプロ入りして3年間は一軍に定着できなかったが、4年目の18年に一塁で定位置を奪取し、全143試合出場で打率.309、33本塁打、100打点をマーク。NPB史上最年少となる22歳シーズンでの「3割、30本塁打、100打点」を達成した。
岡本はプロ3年目のオフに、自身の打撃を見つめ直したことが覚醒の大きな転機になった。週刊ベースボールのインタビューで以下のように語っていた。
「バッティングの内容、自分のスイングという話をしましたが、(プロ3年目は)オープン戦から小手先だけのバッティングでした。目の前の結果だけを求めて、内容のない打席。ヒットは出ていましたけど、ただ当てに行っているだけで次にはつながらないものです。それで1年間結果を出し続けることができるわけがない。そのことに気付いたのは少ししてからです。打てなくてすぐに二軍に落ちて、前半戦は二軍でも思うような結果が出ませんでした。悔しいし、何でやろな? と。このまま終わるんじゃないかと。何か変えないといけないな、と思ったときに、そこまでの自分のバッティングを見返してみて、本来のスイングができていないことに気付きました。そこから、目の前の結果を追い求めるのではなく、先につながるようにしようと思って強いスイングを心掛けています」

高卒4年目の2018年に一軍でブレークした岡本
「自分に求められているものは何なのか、と。やっぱり、それは長打なので。長打を求めると、小手先だけのスイングでは絶対に無理ですからね。プロで3年間やってきて、『自分は中距離ヒッターなのか』と思うときもあったのも確かです。弾道も低いです。でも、やっぱりホームランバッターになるんだと」
サクセスストーリーを継承
長距離砲として生きる覚悟を決めて行動に移す。プロ3年目のオフに球界を代表するスラッガー・
中村剛也(
西武)に自主トレの参加を志願。中村から助言を受けたことについて聞かれ、「1つは、『アウトになるならなるべくフライのほうがいい』というものです。『長距離を打てる人間は、フライでアウトになることを恐れるな』と言っていただいて。そうだなと思って、今もフライアウトを意識しています。あとは軸足の意識や右手の押し込みなどです」と明かしている。
高卒ドラフト1位入団の坂本、岡本が歩んできたサクセスストーリーを、石塚も継承できるか。V奪回に向けて若手の底上げは必要不可欠だ。チームが変革期を迎えている状況で、大ブレークが期待される。
写真=BBM