チームを長年支えてきた功労者

今季はわずか5試合の出場で楽天を戦力外となった島内
楽天ファンは去就が気になるだろう。今オフに戦力外通告を受けて退団した
島内宏明が他球団での現役続行を目指している。
今年はコンディション不良で出遅れ、4月下旬にファームで実戦復帰した。5月20日に一軍昇格してクリーンアップでスタメン起用されたが、5試合出場で10打数無安打に終わると、わずか10日で登録抹消に。その後は一軍に再び再昇格することがなかった。
チームを長年支えてきた功労者だ。リーグ優勝&日本一に輝いた2013年に97試合出場で打率.284、6本塁打、38打点をマークすると、全試合出場した17年から6年連続規定打席に到達。21年は打点王(96打点)、22年は最多安打(161本)と2年連続で打撃タイトルを獲得した。力強いスイングで難しい球をヒットゾーンに飛ばす天才的な打撃センスで、相手バッテリーが抑えるのに苦労した。独特の感性と表現力で「天然キャラ」として愛されていたが、チームを思う気持ちは誰よりも強かった。
近年は続いていた試練
22年オフに週刊ベースボールのインタビューで、最多安打を獲得したことについて聞かれると、「正直、安打よりも出塁率のほうが大事なのかなと。そこがある程度計算できるから僕が出ていると思うので。今年は途中から(最多安打が)狙える位置にいたので頑張ろうかなと。ちょっと積極的になっていた傾向にあったというだけで、そこを意識してシーズンインしたということではないです」と語っている。
14本塁打と前年の21本塁打から減ったが、自身の打撃スタイルを客観視して見ていた。「(四番打者という)打順も打順なので『長打を打ちたいな』とかはちょっと思うときもありますね。だけど大きいのを狙うと大概失敗しますよ(苦笑)。小心者なので『(チャンスで)回ってくるな』と思うタイプですし。大きいのを打ちたいと思い過ぎると、力んでおかしくなるのであまり考えないようにしています。そういう意味で打順が違えば成績もまた変わってくるのかなと思うときもありますけど、でもそれも分からないですからね」
順調にステップアップしていたが、近年は試練が続いていた。23年は開幕から打撃の状態が上がらず、7月上旬に5年ぶりにファームに降格した。夏場以降は復調の兆しを見せたが、104試合出場で打率.236、7本塁打、38打点と不完全燃焼に。昨年は春先から五番、四番でポイントゲッターとして期待されたが好調を維持できず、40試合で打率.214、0本塁打、12打点。5月25日の
日本ハム戦(楽天モバイル)で出場したのを最後にファームで調整した。背水の陣で迎えた今季も一軍で戦力になれず、楽天のユニフォームを脱ぐことになった。
退団から他球団で復活したベテラン
戦力外で退団から復活したベテランで思い浮かぶ強打者が、広島、ヤクルトで活躍した
小早川毅彦だ。広島に入団1年目から7年連続を含む9度のシーズン2ケタ本塁打をマークした強打者だったが、チームの若返りの方針で1996年オフに戦力構想から外れて退団。ヤクルトに移籍すると、翌97年に開幕戦の
巨人戦で衝撃的な活躍を見せる。前年にヤクルト戦で無傷の6連勝をマークした球界のエース・
斎藤雅樹から3打席連続アーチ。「おまえは人生の門出に必ずいいことがある」と五番でスタメンに抜擢した当時の
野村克也監督の期待に見事に応えた。小早川は同年に116試合出場で打率.249、12本塁打、33打点をマーク。「野村再生工場」で復活を飾り、2年ぶりリーグ優勝の原動力になった。
島内は35歳。90年2月の早生まれで、同学年の選手ではチームメートの
岡島豪郎が今季限りで現役引退。他球団では通算307本塁打をマークした
中田翔(
中日)が今年限りで現役生活に終止符を打った。野球人生の岐路を迎えたが、島内はまだまだ燃え尽きていない。もう一度、力強いスイングで復活する姿を見たい。
写真=BBM