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短期決戦で衝撃的な活躍 37歳の強打者に「現役生活を長く続けてほしい」願いが

 

CS、日本シリーズで貴重な一発


日本シリーズ第5戦の8回、石井から起死回生の同点2ランを放った


 柳田悠岐はやっぱりすごい――。クライマックスシリーズ(CS)、日本シリーズと短期決戦での大活躍を見て、存在感の大きさを再確認した野球ファンは多かったのではないか。

 日本シリーズで全5試合に一番打者でスタメン出場し、打率.455をマーク。ソフトバンクが5年ぶりの日本一を決めた第5戦で放った起死回生の同点2ランは、強烈なインパクトを残した。1点差を追いかける8回一死一塁で、石井大智が投げた初球の外角低め150キロ直球を振り抜くと、打球は左翼スタンドに吸い込まれた。石井はレギュラーシーズンでNPB最長の50試合連続無失点記録を樹立。ポストシーズンでも14試合連続無失点中と難攻不落のリリーバーだ。あの難しい球を甲子園の逆方向にアーチを描ける打者はセ・リーグにいないだろう。柳田に同点2ランを被弾すると、ショックのあまり両膝に手を突いた姿が印象的だった。

 柳田は日本ハムと対戦したCSファイナルステージ第2戦でも、0対0の8回一死一、二塁で左腕・上原健太が初球に投じた150キロ直球を左翼席へ叩き込んでいる。この一打が決勝の3ランとなり、試合後は「初めまして、柳田です!」と久々のお立ち台でスタンドをわかせ、「もうチャンスやったんで、もう打つしかないと。ここで打ったらお立ち台で皆さんに『初めまして』とあいさつできると思って、必死こいて打ちました」と声を弾ませていた。

近年は相次ぐ故障


 打撃技術、パワーが球界屈指の強打者であることは間違いない。だが、近年は相次ぐ故障で稼働できなかった。昨年は5月末に右太腿裏を負傷し、52試合出場にとどまった。今年は4月中旬に自打球を当て、「右脛骨の骨挫傷」で長期離脱。最初は歩くことさえままならず、長いリハビリ生活になった。一軍復帰は5カ月後の9月下旬。柳田だけでなく主力野手の故障が相次いだ中で柳町達野村勇川瀬晃などが台頭し、実績のある選手たちは絶対的レギュラーという立場ではなくなっていた。だが、試合に出場できるコンディションが整えば、役者が違うことを今回の短期決戦であらためて証明した。

「全然打ててない感覚」


 首位打者、最多安打を2度、最高出塁率を4度獲得し、ゴールデン・グラブ賞を6度受賞。2015、20年とMVPに輝いている。15年は打率.363、34本塁打、32盗塁でトリプルスリーを達成。コンスタントに高水準の成績を残している要因は、飽くなき向上心だろう。23年は9年ぶりの全143試合出場を果たし、打率.299、22本塁打、85打点で2度目の最多安打(163本)を獲得したが、週刊ベースボールのインタビューで意外な心境を明かしている。

「やっぱり若いころに比べたら……全然打ててないという感覚なので。年齢のせいなのか、それは分からないですけど、いい成績を残したときもあるので、それが基準になっていると思うんですよ。僕もそうだし、球団の方も、ファンの方も、もちろんそうだと思います」

「より良いパフォーマンスを出せるように、準備はしているつもりなんですけどね。それでも、こんなもんで終わってしまう。また自分を見直して、やっていきます。年齢を理由に自らのノルマを下げることはない。もっといい数字を残したいですね。それでダメだったら試合にも出られないと思いますし、クビになる世界なので。もちろん、それに打ち勝てるように準備したいなと思います」

 来年に7年契約の最終年を迎える。19年オフに大型契約を結んだ際、「(契約満了で)フィニッシュ(引退)。そこまで決まっています」と来年限りでの現役引退を示唆していた。だが、唯一無二の才能が見られなくなることは、想像できない。今年までの成績は通算打率.312で1616安打を積み上げた。2000安打達成まで残り384本。27年以降も現役生活を継続しなければ、大記録達成は厳しい。37歳を迎えたが、大きな衰えは見られない。試合に出続ければ打撃タイトルを獲得できる可能性が十分にある。「1年でも長く現役生活を続けてほしい」。ソフトバンクファンだけでなく、野球ファンの願いだ。

写真=BBM
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