優勝へ投手力アップが必須

今季途中にアメリカ球界から日本球界に復帰した藤浪
DeNAは
三浦大輔監督が退任し、
相川亮二新監督が就任。横浜市内の球団事務所で10月に行われた就任会見で、「三浦監督のもとで4年間やってきて、監督がつくり上げてきたものをアップデートしてリーグ優勝を達成したい」と抱負を語った上で、バッテリーを中心とした投手力をカギに挙げた。
データを見ると、この言葉が大きな説得力を持つ。今季の510得点はリーグトップ。456失点はリーグ2番目の少なさだが、首位を独走した352失点の
阪神より100失点以上多かった。救援防御率3.37がリーグワーストでブルペン強化が大きなテーマになるが、先発陣も懸念材料がある。左右の両輪として牽引してきた
アンドレ・ジャクソン、
アンソニー・ケイにメジャー、国内の複数球団が獲得に興味を示しており、来季の残留が不透明な状況になっている。
トレバー・バウアーも今季限りで退団する見込みだ。
現状でシーズンを通じて計算できる投手は、エースの
東克樹のみ。
大貫晋一、
平良拳太郎ら実績十分の投手たちの奮起が求められるほか、
石田裕太郎、
竹田祐、
小園健太、
篠木健太郎、ドラフト2位右腕の
島田舜也(東洋大)など若手の台頭が期待される。そして、完全復活の期待がかかるのが
藤浪晋太郎だ。昨年6月にマリナーズ傘下3Aタコマを退団すると、3年ぶりの日本球界復帰を決断。熱心にアプローチをしてきたDeNAに入団した。
日本球界で1073日ぶりの勝利
移籍後初登板初先発となった8月17日の
中日戦(バンテリン)で、5回5安打5奪三振1失点。左打者9人を並べた相手打線に対してきっちり試合をつくった。そして、同月31日の中日戦(横浜)で7回4安打9奪三振無失点に抑え、日本球界で1073日ぶりの白星を飾った。結果を出さなければいけない重圧があっただろう。
「勝ち負けは時の運とはいえ、ホームで、横浜のファンの前で勝ててすごくうれしかったです。余計なことは考えず、目の前のバッターに集中して1イニング、1イニング重ねていきました。(バッテリーを組んだ
松尾汐恩)汐恩は10個下とは思えないくらいしっかりしていて、引っ張ってくれて助かりました。苦しい場面もありましたが、マウンド上で楽しめていました。ああいう場面を抑えるのがプロ野球の醍醐味です。お客さんも見ていて楽しいと思います。そういう意味でも粘れて良かったです。シーズン後半からの加入なので、どんな形でもチームに貢献できればと思っています。何でもやります」
試合後に安堵の表情を浮かべていた姿が印象的だった。
手応えの一方で課題
9月7日の
ヤクルト戦(横浜)でも7回途中4安打2失点。カットボールを効果的に使って要所を締めた。だが、チーム事情で救援に回った9月中旬以降は制球に苦しんだ。9月28日の
広島戦(マツダ広島)は打者4人に2つの四球と安打で一死しか取れずに降板。30日のヤクルト戦(神宮)も先頭打者に四球で出塁を許すと、2本の安打と暴投で2失点と踏ん張れない。
巨人、阪神と対戦したCSは登録メンバーから外れた。
日本球界に復帰して6試合登板で1勝0敗、防御率4.09。常時150キロを超える直球は大きな魅力でカットボール、スプリットも十分に通用する手ごたえをつかんだ一方で、制球が定まらないときの修正能力に課題を残した。
メジャーに再挑戦したい思いがある一方で、来季はDeNAでプレーする可能性が高い。今季は古巣の阪神戦で登板機会が一度もなかった。同学年の
近本光司、
大山悠輔、本塁打と打点の2冠に輝いた
佐藤輝明との対戦を楽しみにしていたファンは多いだろう。阪神は今オフにFAで去就が注目されていた近本の残留が決まり、投打ともに充実した戦力で来季も優勝候補の本命であることは間違いない。DeNAが難敵を倒してV奪回を果たすために、藤浪は完全復活できるか。剛速球右腕にかかる期待は大きい。
写真=BBM