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3年契約を結ぶも登板機会が激減…来季の復活目指す「巨人の鉄腕」は

 

幾多の試練を乗り越えて


3年契約1年目の今季は不本意な成績に終わった高梨


 巨人高梨雄平は悔しいシーズンになった。今季21試合登板で0勝1敗5ホールド、防御率3.60。入団以来続けていた8年連続40試合登板が途切れた。5月中旬から3カ月半以上ファームで調整すると、9月上旬に一軍昇格したが、2週間も経たずに再びファームへ。右座骨部の炎症でリハビリ生活を送っている。

 何度も対戦していると、相手は当然対策を施してくる。今季は左打者に対して被打率.290。高梨は右足を上げた際に左腕を体の側面で隠す独特のフォームで、相手打者は球の出どころが見えづらい。外角に鋭く横滑りするスライダーが大きな武器だが、打者が反応せずに直球やシュートを痛打される場面が目立った。入団以来8年連続2ケタホールドを継続してきたが、登板機会が激減したことで5ホールドのみ。左腕リリーバーは中川皓太DeNAから新加入の石川達也が活躍し、ドラフト5位入団の宮原駿介も夏場以降に頭角を現したことで、高梨の序列が下がる形となった。

 だが、自己分析する能力に長けた頭脳派左腕はこのまま終わらない。これまでも幾多の試練を乗り越えてきた。ドラフト9位で楽天に入団すると、セットアッパーとして不可欠な存在になり、2年目の18年に自己最多の70試合登板4年目の20年は初めて開幕一軍を逃して登板機会が巡ってこなかったが、7月に巨人へトレード移籍を機に復活。15試合連続無失点と「勝利の方程式」の一角として稼働し、リーグ連覇に大きく貢献した。昨年も51試合登板で4勝3敗25ホールド、防御率2.04をマーク。4月に取得した国内FA権を行使せず残留し、新たに3年契約を結んだ。

大学時代に完全試合達成も……


 挫折からはい上がった男は強い。早大で1年春から10試合登板し、1年秋は5勝、2年春は4勝を挙げて優勝に貢献し、3年春に史上3人目の完全試合を達成した。ドラフトの上位候補と目されていたが、それ以降はリーグ戦未勝利に。社会人野球・JX-ENEOSからプロ入りを果たした。高梨は大学時代について週刊ベースボールのインタビューで、以下のように振り返っていた。

「別に完全試合をきっかけに、何かがおかしくなったわけではないです。普通に大学野球のレベルで通用しなくなった。技術です。2年間投げてきた中で研究され、打たれるようになり、コントロールがいいわけではないのにコーナーを狙うようになってフォアボールを出す。それが続くうちにフォームが分からなくなり、イップスみたいになってしまった。言ってみれば3年の春に賞味期限が来ていたんです。だから完全試合というのは、ろうそくの火が消える前に一瞬燃え盛る、そういうものだったんだと思います」

「もともとすごく負けず嫌いでした。だから完全試合という『光』から『影』になっても、野球が嫌いになるとかやめようとか、プロをあきらめようとはならなかった。そこは僕自身の気質かもしれませんが、負けず嫌いだからこそ、一度スポットライトを浴びたことで『光への執着』が生まれたのだと思います。うまくいかないことのほうが多いですから、今ももがいていますけど、大学での『影』の時代もしっかりもがくことができた。だから、うまくいかないことがあっても『別にいいよ』と言えるようになった。乗り越えても、どうせまた次の山が出てくるし、人生はひと山ふた山の話ではない。ずっと走り続けていく。大学時代があったから、今につながる強さを手に入れることができたのだと思います」

来シーズンへの強い決意


 巨人のリリーフ陣は12球団屈指の陣容で生存競争は厳しいが、覚悟の上だ。高梨は自身のインスタグラムで、来年への決意を綴っている。

「10数年ぶりにプレーが出来ない状態になり、人生初のリハビリを経験しております。それなりに健康な身体で酷い成績の時になんて最悪なシーズンだったんだと、振り返ったことは何度もありますがまだまだその下がありました。現在は体よく言えばとにかく積み上げ、成長にフォーカスする時間を過ごしています。何はともあれ復帰した時に結果を出す事でしかあの時間は必要な時間だったと言えません。リハビリ担当のトレーナー(同い年)が優秀だと証明するために死ぬ気でいきます」

 悔しさを晴らすにはマウンド上の結果で示すしかない。もう一度、はい上がる。

写真=BBM
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