奮起を込めたメッセージ

今年は自己最少の17試合登板に終わった山崎
DeNAの
相川亮二新監督が横浜市内の球団事務所で11月20日に行った就任会見。期待する選手について聞かれると、以下のように答えた。
「牧(
牧秀悟)であったり、筒香(
筒香嘉智)。投手は東(
東克樹)、
山崎康晃には中心になってやってもらわないと。石上(
石上泰輝)、林(
林琢真)、度会(
度会隆輝)、松尾(
松尾汐恩)と若い選手はたくさんいるので、レギュラー争いをしてもらいたい」
指揮官が山崎の名前を挙げたことに驚いたファンがいたかもしれない。今季は入団以来自己最少の17試合登板で0勝3敗1セーブ1ホールド防御率4.20。投球回数は15イニングにとどまり、5月下旬から約3カ月ファームで過ごした。8月下旬に一軍昇格したが安定感を欠き、1カ月後に再びファームへ。指揮官が山崎の名前を出したのは、奮起を込めたメッセージだろう。
阪神は
岩崎優、
巨人は
R.マルティネス、
中日は
松山晋也と絶対的守護神が立ちはだかる一方で、DeNAは抑えが固定できなかったことがV逸の要因となった。
入江大生はチーム最多の22セーブを挙げたが、夏場以降は集中打を浴びる登板が目立って防御率3.15。シーズン終盤は
伊勢大夢が抑えに抜擢された。山崎は復活して再び守護神の座を勝ち取れるか。
申し分ない実績
実績で言えば、申し分ない。新人の2015年に当時監督だった
中畑清氏に抑えに抜擢され、新人最多記録の37セーブをマーク。18、19年と2年連続最多セーブに輝くなど入団以来5年間で163セーブを積み上げた。150キロを超える直球と落差の鋭いツーシームを武器に三振奪取能力が高い。制球力が安定していることも強みだった。
20、21年は不安定な投球が続いて抑えを剥奪されたが、22年に56試合登板で37セーブ、防御率1.33と見事に復活。シーズン終了後にポスティングシステムでメジャー挑戦を視野に入れて球団と話し合いをしていたが、11月に開催されたファン感謝デーで残留することを宣言した。
「ここ2年は本当に苦しい時間でした。しかし今年(22年)、念願の守護神に返り咲くことができて、横浜スタジアムで投げ切ることができました。今年のシーズン本当に、パワーをもらうことができたと思っていますし、同時に強いやりがいを感じていました。これからですね、僕の“夢”と皆さま一緒に飛び続けてほしいなと思います。これからも応援よろしくお願いします」。
新たに6年の長期契約を結び、投手陣のリーダーとしての覚悟を口にしていた。
「ここから周りにどう見られるかは、チームにとっても、僕自身にとっても、非常に大事だと思います。毎年毎年危機感を持って過ごしていきたいですね。目標はチーム、個人ともにセ・リーグのトップ、そして日本一になること。理想と遠い試合もあると思いますが、その中でもチームを引っ張っていきたい」
“感覚が麻痺する感じ”に魅了
しかし、その後のシーズンでは試練が続く。23年は49試合登板で3勝7敗20セーブ、防御率4.37。45回1/3を投げて54三振を奪ったが勝負どころで踏ん張れない登板が続き、
森原康平に抑えを譲り渡す形に。昨年も抑えでチャンスを与えられたが生かせず、セットアッパーに。7月27日の巨人戦(横浜)では腰の違和感で登板回避した
平良拳太郎に代わってプロ初先発した。38試合登板で3勝5敗4セーブ、11ホールド、防御率3.35。チームはCS、日本シリーズを勝ち抜いて26年ぶりの日本一に輝いたが、心から喜べなかった。
登板機会を減らしていき、名球会入りの条件となる通算250セーブにあと18が近い数字でなくなっているが、33歳とまだまだ老け込む年ではない。山崎は抑えの醍醐味について、こう語っていた。
「喜びを分かち合える瞬間。マウンドでウイニングボールをつかんで皆とハイタッチするあの瞬間です。これはクローザーしか味わえないですし、表現が難しいですが、何かくせになる“感覚が麻痺する感じ”に魅了されるんですよ」
リードした場面での9回。観客が「ヤスアキジャンプ」で盛り上げる中、マウンドに立つ右腕が打者を圧倒して満面の笑みを浮かべる。その光景が再び戻ってくるか――。逆襲に向けての準備は、もう始まっている。
写真=BBM