チームに欠かせない貴重な左腕

移籍1年目の今季、一軍で結果を残した石川
今年の
巨人で期待以上の活躍を見せてくれたのが、新戦力の2人だった。昨オフに現役ドラフトで
日本ハムから移籍した
田中瑛斗は右打者の内角をえぐるシュートを武器に、62試合登板で1勝3敗36ホールド、防御率2.13とセットアッパーで大活躍。
DeNAから戦力外通告を受けて入団した
石川達也も貢献度が高い。先発、救援でフル回転し、自己最多の41試合登板で5勝4敗3ホールド、防御率2.14。来季の起用法が注目されるが、貴重な左腕であることは間違いない。
DeNA時代は救援で登板していたが、巨人に加入後は長いイニングを投げる適性を評価され、開幕から先発ローテーションに組み込まれた。3月30日の
ヤクルト戦(東京ドーム)で5回3安打無失点に抑え、移籍後初登板初勝利をマーク。救援に配置転換された5月以降も安定した投球を続け、防御率は1点台を推移した。一軍でシーズンを通じて投げるのが初めてだったため、シーズン終盤は疲れが出たのだろう。球に本来のキレがなく2度のファーム降格を味わった。
1年間を乗り越える体力をつけるため、今オフは増量計画を立てた。「食事は鍋が多いですね。辛い系が好きなのでチゲやごま担々のスープで食べるとすごくおいしいです。タンパク質と糖質が欲しいので、マクドナルドのチキンナゲットとポテトもたくさん食べます。もちろんシーズン中や試合が近い時期にこんな食事はしませんけど、とにかくたくさん食べまくる今は、ある程度おいしくないと続かないので。食事もトレーニングだと思って頑張っていきます」と語っていた。
横浜高時代の教え
石川は総合力が高い投手だ。直球は常時140キロ台前半だが、ダイナミックな投球フォームから手元で伸びる軌道で打者は球速以上に速さを感じる。途中まで直球と見間違う軌道でタイミングを外すチェンジアップ、内外角を突くカットボールの質も高い。牽制、フィールディング能力が高く、走者を背負っても動じない。
石川は週刊ベースボールの取材で、「横浜高時代に学んだフィールディングは、その後の法大、そしてプロに入った今も非常に生きていると思います。現在もプロの世界で活躍する先輩の
涌井秀章さん、
柳裕也さん(ともに現
中日)、後輩の
及川雅貴投手(現
阪神)とか、誰を見てもやっぱりうまいなと感じます。僕は2学年上の
伊藤将司さん(現阪神)のフィールディングやけん制をずっと見てマネしていました。目の前で見てきた中では、ずば抜けてうまかったです。横浜高では、バント処理の際にマウンドからすぐ降りることは当たり前で、その中でも打球への入り方など、渡辺元智元監督、小倉清一郎元部長にみっちりと教わっていたので、それはプロに入ってからもしっかりと生きています」と感謝の思いを口にしている。
真価を問われる来季
高校時代からお手本にしていた伊藤将は球のキレと制球力を武器に、プロの世界で活躍している。阪神に入団1年目から先発ローテーションで回り3年間で計29勝をマーク。今季は9月に痛打を浴びる場面が目立ったが、8月終了時点で防御率1.39。層の厚い先発陣の中で奮闘し、リーグ優勝に貢献した。伊藤は過去にこう語っている。
「トレーニングなどは、いろいろと挑戦してみてもいいとは思っていますが、ピッチングのことは自分の信念を貫いていきたいです。右打者のアウトローは基本です。右打者の内側に投げる精度が上がっていくことも目指しています。ただやはり外角を狙って真ん中に入って打たれちゃうこともありますけどね」
石川もスタミナをつければ、先発で十分に通用する可能性を秘めている。巨人の投手編成を見ると、救援陣はコマがそろっているが、先発陣はコマがそろっているとは言えない。今季2ケタ勝利をクリアした投手は
山崎伊織のみで、左腕は
フォスター・グリフィンが退団する可能性があり手薄だ。首脳陣は、石川をどのような起用法で輝かせるか。相手球団のマークが厳しくなる来季は真価を問われる。V奪回に向けてカギを握る存在だ。
写真=BBM