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来季は投手タイトル総ナメの可能性も…メジャーが注目する「28歳右腕」は

 

球団史上2人目の沢村賞


今年も日本ハムのエースとして抜群の投球を見せた伊藤


 日本ハムのエースから球界を代表する投手へ。順調に階段を駆け上がっている右腕が、伊藤大海だ。

 今年の日本ハムは中7日や8日といった長めの登板間隔や、「投げ抹消」を適用しながら先発ローテーションを組んできたが、唯一の例外は伊藤だった。新庄剛志監督が「伊藤君だけは火曜日ってきっちり決めてやっている。やってもらわないと」と信頼を口にするように、中6日の登板間隔で投げ続けた。

「やっぱりそこは僕自身が目指していきたい姿というか、先発ピッチャーとして目指していきたいところ。少しでもイニングを投げて流れをつくれたら」

 ソフトバンクとの優勝争いが佳境に入った8月以降は10試合登板で防御率1.88。各球団のエースとの投げ合いで一歩も引かなかった。大きな目標であるリーグ優勝には届かなかったが、27試合の先発登板で14勝8敗、防御率2.52をマーク。2年連続最多勝、自身初の最多奪三振(195)を獲得し、沢村賞を初受賞した。2007年にダルビッシュ有(現パドレス)が受賞して以来、球団史上2人目の快挙だった。球団を通じて発表したコメントに、喜びと感謝の思いが詰まっていた。

「ピッチャーとしてあこがれていた賞であり、目標にしてきた賞ですので、選んでいただき、本当に光栄です。1シーズン投げてきたことを評価していただき、心からうれしく思います。自主トレから意図を持って練習に取り組み、シーズン中の試合はチームの勝利を目指して必死に投げたことが今年の結果につながったと感じています。僕を信じて励ましてくれた新庄監督、支えてくれたチーム関係者の皆さま、家族はもちろん、応援し続けてくれたファンの皆さまに感謝の気持ちを伝えたいです。この賞をいただいた喜びをかみしめつつ、さらなる高みに到達するため、今後も日々のトレーニングに励んでいきたいです」

優れた洞察力を生かした投球


 150キロ台の直球、140キロ台の高速スプリット、縦横の2種類のスライダーを軸に、ツーシーム、カーブ、カットボール、超スローボールを駆使する。三振を奪え、打たせて取ることもできる。打者の様子を見て駆け引きできる洞察力は若手のときから意識していた。プロ2年目の22年に週刊ベースボールのインタビューで、以下のように語っている。

「僕の今年のトレンドが『抜きスト』『抜きスラ』『抜きカット』『抜きカーブ』です。本気じゃなくても抑えられる投球をやってみたいんです。ルーキーイヤーを振り返ると、100パーセントの力で抑えなくてもよかった場面がいくつもありました。相手の心理的な状況であったり──例えば、5〜6点ビハインドがあって、死に物狂いで打席に入ってくる打者はあまりいないと思います。おそらく自分のことに集中しているはずです。そこを逆手にとって1〜2球で終わらせるのが理想です」

「打たれていい場面と、そうでない場面もあります。あとは、自分の球数と調子を考えて、『今日の試合は6〜7回にピンチを迎えそうだな……』と感じたら、その自分のヤマ場に対してクリーンアップが回らないようにゲームを展開していくとか。そういう部分も考えていきたいです。そうやって苦戦を回避していかないと。もう自分がいっぱいいっぱいなのに、中軸に回ったらしんどいじゃないですか。だったら、七、八、九番のほうがいい」

侍ジャパンで連覇の期待


 伊藤の登板日はメジャー球団のスカウトがバックネット裏で視察する姿が見られる。来年は投手タイトルを総ナメする可能性が十分。絶対的エースが今年を上回る圧倒的な成績を残せば、V奪回が現実に近づく。

 また、来年3月に開催されるWBCでも侍ジャパンの有力候補に挙げられる。国際試合の大舞台で実績を積み上げてきた。21年8月に追加招集された東京五輪ではリリーバーとして侍ジャパンの金メダル獲得に貢献。23年のWBCでも救援で3試合登板して無失点に抑えている。今年11月の侍ジャパンの強化試合ではコンディション不良で出場辞退したが、万全の体調なら間違いなく戦力になる。28歳右腕の全盛期はこれからだ。

写真=BBM
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