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阪神のファームで最多安打、首位打者獲得 新天地で再出発の「和製大砲」は

 

高校時代には全国制覇


今季は一軍で結果を残せず、オフに現役ドラフトでロッテへ移籍した井上


 日本野球機構が現役ドラフトを12月9日に開催し、阪神井上広大がロッテに移籍することが決まった。

 なかなか殻を破れない。本人ももどかしかっただろう。プロ6年目の今季は一軍で1試合出場のみ。4月1日のDeNA戦(京セラドーム)に「六番・左翼」で出場したが2三振を喫するなど無安打で登録抹消に。ウエスタン・リーグでも打率.230、8本塁打、34打点とアピールできたとは言えず、一軍に再昇格できなかった。

 履正社高の四番打者で、3年夏の甲子園決勝・星稜高戦で相手エースの奥川恭伸(現ヤクルト)からバックスクリーンに3ランを叩き込み、全国制覇に導いた。井上は当時を以下のように振り返っている。

「新チームとなった秋は、決勝で大阪桐蔭を5対2で破りセンバツ出場も決めました。自分たちの代での大阪桐蔭との公式戦はこのときだけでした。センバツでは星稜高の奥川(奥川恭伸=現ヤクルト)に0対3で完封負けし、センバツ後の春季大阪大会では準々決勝で大商大高の上田(上田大河=現西武)に2対3で負けました。岡田先生に『あのような投手たちを打っていかないと全国では戦えない。レギュラーをもう一度白紙に戻す』と言われ、そこから僕も七、八番を打っていました。そのあとの練習中にいい感覚で打てることができ始めたので、調子が上がり大阪大会を制し、最後は日本一になることができました」

 ドラフト2位で阪神に指名されたことが期待の大きさを物語っていた。井上と同じ高卒入団は奥川、佐々木朗希(現ドジャース)、宮城大弥(オリックス)、チームメートの及川雅貴(阪神)など好投手のインパクトが強いが、野手も岡林勇希(中日)、紅林弘太郎(オリックス)、長岡秀樹(ヤクルト)がチームの主力に成長している。井上も和製大砲として将来を嘱望され、高卒1年目の2020年に開幕からファームの四番で起用されていた。球団の高卒新人で歴代最多の9本塁打をマーク。22年はウエスタン・リーグで最多安打のタイトルを獲得した。

前監督は“高卒のレギュラー候補”


 岡田彰布前監督は22年11月に週刊ベースボールのコラムで以下のように語っていた。

「楽しみといえば、若手のバッターの成長過程だ。オレは以前から不思議に思っていたことがある。どうして阪神には高卒の野手がレギュラーになれないのか、という点なんよ。ヤクルトの村上(村上宗隆)、巨人の岡本(岡本和真)など他球団には高卒から数年でチームの軸になる選手が出現しているのに、タイガースには一向に気配がない」

 高卒のレギュラー候補として、名前を挙げたのが前川右京と井上だった。

「(井上は)一軍の経験はあるが、評価としては伸び悩みというところやった。だが、ここにきてバッティングが変わったとオレは見た。いわゆる『前さばき』が身につき、劇的な変化が出てきた。みやざきフェニックス・リーグの最終盤になったころ、ポイントを前にすることが身についたようで、このキャンプでは最もいい打球を放っている。この2人がどれほど成長していくか。よければ使う。そこには年数とかは関係ない。いい者は起用する。この競争原理に従って、ポジションを獲るくらいになってくれれば。そうなれば高卒野手は育たない……という呪縛から解放される」

覚醒のきざしを見せた昨年


 覚醒の兆しを見せたのが昨年だった。ノーステップ打法に取り組んで課題だった確実性が改善されるようになり、8月28日のDeNA戦(横浜)で東克樹から左翼にプロ初アーチを放った。内角に食い込んでくる球をうまくさばいた打球に、パワーだけでなく技術面での進歩を感じた。その後も中日の小笠原慎之介(現ナショナルズ)、元DeNAの濱口遥大と左腕から左翼席にアーチをたたきこんだ。ウエスタン・リーグでも打率.308で首位打者を獲得。今年は左翼の定位置を狙う勝負の年だったが、結果を残せなかった。

 ロッテには履正社高で2学年上の先輩・安田尚憲がいる。新天地に移籍することが、野球人生の転機になるか。応援してくれるファンのためにも、このままでは終われない。

写真=BBM
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