4年目は満足できない成績

4年目の今季は潜在能力を開花させることができなかった前川
圧倒的な強さでリーグ制覇を飾った
阪神だが、日本シリーズでパリーグの覇者・
ソフトバンクに1勝4敗で敗れた。両球団の差で感じられたのが、六番以降の打力だった。
阪神は
近本光司、
中野拓夢の一、二番コンビでチャンスメークし、
森下翔太、
佐藤輝明、
大山悠輔の和製クリーンアップで走者を還すのが得点パターンだが、走者を置いてくる場面で打席が回ってくる六番打者を固定できなかった。ポイントゲッターとして稼働する選手が固定できれば、得点力がさらに上がる。今秋のドラフトでは大学No.1スラッガーの立石正広(創価大)の1位指名に成功。即戦力として期待がかかる黄金ルーキーをこの打順で起用する選択肢が考えられるが、プロで戦ってきた選手たちにも意地がある。特に立石と同学年の
前川右京は期する思いが強いだろう。球団史上初の連覇に向け、チームの命運を握る選手の一人だ。
天才的な打撃センスに定評があり、昨年は自己最多の116試合出場で打率.269、4本塁打、42打点をマーク。今年はオープン戦で3本塁打を放つなど順調な調整ぶりで、開幕してからも16試合連続安打を放つなど4月終了時点では打率.307と好スタートを切った。だが、5月は月間打率.093と快音が聞かれず、22日にファーム降格。その後も好調を維持できず一軍と二軍を往復するシーズンになった。リーグ制覇が決まった9月7日の
広島戦(甲子園)もファームで過ごしていた。シーズン最終戦となった10月2日の対
ヤクルト戦(甲子園)で前年までチームメートだった
青柳晃洋から、今季1号の右中間3ランを放って意地を見せたが、69試合出場で打率.246、1本塁打、15打点は到底満足できる数字ではない。
高卒5年目に開花した筒香

筒香は高卒5年目の2014年に22本塁打を放った
同学年の大卒入団選手が入ってくる来季は特別なシーズンになる。高卒5年目に野球人生を変えた選手として浮かぶ強打者が、
DeNAの主砲・
筒香嘉智だ。高卒3年目の2012年に108試合出場で10本塁打と自己最高の数字をマークしたが、翌13年は23試合出場と激減。1本塁打のみに終わった。同年オフの秋季キャンプの参加メンバーから外され、「つらかったけど、吹っ切れた部分もありました」と打撃の土台から作り直した。
練習で逆方向の左翼から打ち始めて中堅、右翼方向と強い打球でヒットゾーンを広げていく。丁寧かつパワフルに。左翼にコンバートされた5年目の14年に114試合出場で打率.300、22本塁打、77打点とブレーク。自身初の規定打席に到達し、両リーグトップの得点圏打率.416でシーズン終盤から四番に座った。その後は球界を代表する強打者に進化し、16年は44本塁打、110打点で2冠王に。メジャー挑戦を経て日本球界に復帰した2年目の今季は6年ぶりの20本塁打に到達し、日米通算250本塁打を達成した。
本当のスターが持つ「オーラ」
当時DeNAの監督だった
中畑清氏は週刊ベースボールの取材で、以下のように語っている。
「プロ野球の中には、本当にこの選手はすごくうまいな、というプレーヤーはたくさんいるんです。しかし、本当のスターになっていく選手というのは、うまい選手とは違う、『オーラ』というものがある。そして『この男はスターになっていくだろうな』と私たちも感じる部分があるんです。私もそういうものを感じたから、筒香に対しても『この男に懸けてみたい』という気持ちがふつふつと湧いてきたんですね。私の野球人生は、そういう選手たちに出会うことができて、最高にいいものになっています。人間性も兼ね備えた才能のある2人(
松井秀喜と筒香)です。特に筒香は、私が監督を務めているときに出会えたことは、すごいめぐり合わせだったし、幸せなことでしたよ」
前川も高卒5年目に覚醒できるか。今オフはハワイ優勝旅行の不参加を決め、トレーニングで体を追い込むことを決断した。来季に向けての戦いは始まっている。
写真=BBM