プレースタイルを「猛者」と表現

横浜高・阿部は2月上旬の早大合流を前にして、活動拠点の長浜グラウンドで練習を積んでいる[写真=BBM]
早大・
小宮山悟監督が2026年の練習始動日となった1月5日、春のリーグ戦に向けた壮大なプランを披露した。横浜高から入学する新1年生・阿部葉太を「一番・センター」で先発起用する予定であると明言した。
なぜ、スーパールーキーに期待を込めたのか。3つの理由がある。
まずは、技術である。選手としての魅力について問われると、小宮山監督はこう答えた。
「ケチのつけどころのないところ」
左打席から広角に打ち分け、ミート力のある、勝負強い打撃が高く評価されているが、スピードも兼ね備えている。50メートル走5秒9、遠投100メートル。外野守備では球際に強く、高校時代は何度もピンチを救ってきた。足でも勝負でき、トップバッターにはうってつけの存在である。
次に、強じんなメンタルだ。小宮山監督はプレーヤーとしての戦う姿勢に注目している。
「言葉が適当かどうか分からないですけど、猛者です。ちょっとやそっとではへこたれない。荒くれ者の雰囲気丸出しで野球をやっている感じがする」。まさしく、斬り込み隊長。チームを鼓舞する、攻守でアグレッシブな姿勢に目を細めている。
元プロの鋭い分析

早大・小宮山監督は阿部の攻守にアグレッシブなプレースタイルだけでなく、アスリートとしてのたたずまいも評価している[写真=BBM]
最後に「スター性」である。
「甲子園で応援してくれていた方々も、阿部の動向を気にしてくれているでしょうし、早稲田に入学して早々に一番・センターで試合に出るとなれば、皆さんの報道も少なからず通常よりも数行、多くなるでしょうから(苦笑)。それだけでも、世の中に対してのアピールということで言うと、プラスでしょう」
横浜高では超異例である2年生5月から主将を務めた。2年秋の明治神宮大会、3年春のセンバツ優勝へと導き、同夏の甲子園8強。高校日本代表の主将も任され、U-18W杯(沖縄開催)で銀メダルを獲得した。同世代をけん引したキャプテンシーは、唯一無二だった。
さらに、小宮山監督の言葉に熱量が増す。
「2月のアタマに合流予定で、そこで動きを見極めて、よほどのことがない限り、3月の浦添(キャンプ)には連れて行くつもりでいます。『一番・センター阿部葉太で行きたい』と本人にも伝えていますし、本人もそのつもりで準備をしてきてくれるでしょう。キャンプ中のオープン戦でどんなレベルなのか確認をして、どうかな? というぐらいの感じだったら使います。これは無理だ、と考えたら外しますけど……。可能性があるとなったら、これは使うほうが101年目の連盟にとってもプラスになるだろうと思っていますし、早稲田が向こう4年間、阿部葉太が中心にいけるかどうかという試金石になる春のリーグ戦だと思います。あまり多くのものを背負わせてしまうと大変なんですけど、それだけの選手だというふうに思っています」
NPB通算117勝、MLBのマウンドも経験した「猛者」の目は、間違いないだろう。
阿部は昨秋、プロ志望届を提出していれば、ドラフト1位指名が有力視されていた超高校級だった。だが、阿部は「自分の人生において大学を経験しておいたほうがいいかな、という思いがありました」と、将来を見据え、早大を志願。目的意識が明確で、明大・
高山俊(オイシックス新潟)が持つ東京六大学歴代1位の131安打超えが目標と語る。そして、4年後の「ドラフト1位」を目指している。東京六大学野球連盟は25年に結成100周年を迎え、26年は次なる100年へのスタートだ。学生野球の聖地・神宮で躍動する超スーパー1年生の一挙手一投足から目が離せない。
取材・文=岡本朋祐