高いパフォーマンスを発揮

昨季は防御率1.55をマークしてタイトルを獲得した才木
阪神のエースから球界のエースへ。今年は投手タイトルを総ナメが期待される右腕が、阪神の
才木浩人だ。
昨年はシーズンを通じて先発ローテーションを守り、24試合登板で12勝6敗、防御率1.55をマーク。自身初タイトルとなる最優秀防御率を獲得した。2024年に167回2/3を投げて自身初の規定投球回をクリアし、13勝3敗、防御率1.83をマーク。相手球団のマークが厳しくなる中で、高いパフォーマンスを発揮したことは大きな価値がある。
後半戦の開幕マウンドとなった7月26日の
DeNA戦(甲子園)で、無四球完封勝利を飾った快投が印象深い。直球、スライダー、フォークをストライクゾーンにどんどん投げ込む。4安打9奪三振と危なげない投球だった。週刊ベースボールのインタビューで、「あの試合、全体的に空振りが取れた試合ではありました。なので、真っすぐの質が良かったのだと感じながら投げていました。この先もこの感覚を逃がさないようにしたいですね。そこは練習の中でしっかりと調整していきたいです。ほかの部分も修正を掛けて行けば、この先も結果が付いてくるかな、と感じています」と手ごたえを口にしていた。
蒸し暑い気候の中で116球を投げたが、まだ余力が残っていたという。
「そうですね、たぶん余計な力を入れずに投げられていたから、そういう余力が残っていたのだと思います。つまり効率のいい動きができていたのだと思いますね。基本、僕の中では夏に疲れがでる、バテるというのは、投球フォームに原因があると思っているんです。つまり、どれだけ投球フォームの中で、ロスが少なく投げられるのか、すごく大事。その意味では、完投したときは、毎球同じ感覚で投げられたなと思っています。あの試合、9回でも150キロを超えるボールが投げられていました。それはつまり、バランスよく投げられたことで余力が残っていた感じを得られましたね」
巨人戦では4勝、防御率1.17
決して、好調のときだったばかりではない。制球が定まらずにカウントを苦しくして球数がかさむ登板も少なくなかった。ただ、ピンチを背負っても決定打を許さないのが、才木の真骨頂と言える。生命線は常時150キロを計測する直球だ。球速以上の速さと力強さがあり、打者のバットを差し込む。宿敵の
巨人戦は4勝0敗、防御率1.17と特に相性が良かった。順調にキャリアの階段を駆け上がっているが、向上心の強い右腕に満足感はない。
「ああ、でも今年はそこに対してはあまりいい感覚はないんですよ。まあ数字自体そこまで悪くはないのですが……でも何かしら圧倒的な数字は残したいとは思っているんです。奪三振は少ないなあ、と思っていて、防御率も1.50くらいですが、もっと良くなる要素はあると思っていますし、WHIPも四球が少なければ、もっといい数字を残せるので」
昨季は157イニングを投げて122三振。与四死球は45。決して悪い数字ではないが、投球内容に納得ができない部分があるのだろう。変化球の精度を高め、三振の数が増えれば安定感がさらに上がることは間違いない。
メジャーで躍動する同学年
今オフはポスティングによるメジャー移籍を希望して球団に容認されなかったが、圧倒的な数字を残し続ければ夢に近づく。高卒で同期入団の
山本由伸(ドジャース)は
オリックスで3年連続投手4冠に輝き、海の向こうでもエースとして活躍。2年連続ワールドチャンピオンの原動力になった。
西武で3年連続2ケタ勝利をマークした
今井達也も、このオフにポスティングシステムでアストロズ移籍が決まった。
才木は昨年12月にハワイの優勝旅行を辞退し、トレーニングに励んだ。努力は必ず報われる。トミー・ジョン手術を受け、育成契約を経験した時期があるだけに、野球人生を大切にしたい気持ちは誰よりも強い。球団史上初の連覇に向けて、戦いは始まっている。
写真=BBM