柔らかさとパワーをハイブリッド

昨年、阪神で6勝、防御率1.39をマークして優勝に貢献したデュプランティエ
難敵が頼もしい仲間として加わる。前阪神のジョン・デュプランティエが
DeNAに入団することが決まった。今オフは阪神残留のほかメジャー挑戦がささやかれていたが、
ソフトバンクが獲得濃厚であることが一部メディアで報じられた。その後に急転でDeNA入りへ。同一リーグで対戦する阪神が攻略に闘志を燃やすことは間違いない。
昨年は圧倒的な強さでリーグ制覇を飾った阪神の立役者になった。前半戦は先発の柱として安定した投球を続け、6月は4試合に登板して3勝1敗、防御率1.01で月間MVPを受賞。7月も5日のDeNA戦(横浜)では3安打9奪三振で来日2度目の完封勝利を飾るなど、3試合登板で2勝0敗、防御率0.95とほぼ完ぺきに抑え込んだ。現役時代に日米通算170勝をマークした
岩隈久志氏は、投球フォームを分析する週刊ベースボールの企画「連続写真に見るプロのテクニック」で絶賛している。
「平均でフォーシームが93〜94マイル(約153キロ前後)出るとMLBで四番手の先発ローテに入ってきます。デュプランティエ投手はそれくらいの投手です。今季阪神に移籍し、身長193cmの高さを生かした投球で6勝を挙げています。投げ方や筋肉の使い方を見ると、日本人特有の柔らかさと外国人特有のパワーをハイブリッドした好投手だな、と感じています」
すべての球種が一級品
来日1年目は15試合の先発登板で6勝3敗、防御率1.39。90回2/3イニングで113奪三振、奪三振率11.22をマークした。話題になったのは、バッテリーを組む
坂本誠志郎との固い絆だ。6月19日の
ロッテ戦(甲子園)に登板して4安打12奪三振で来日初完封勝利を飾った際、「彼は配球の天才。彼のおかげで三振の数が増えてきた」とお立ち台で称賛。坂本も「彼はサカモトのおかげと言ってくれますけど、デュープ自身も試合前からめちゃくちゃ相手のことを考えている。捕手としてはありがたいですよ」と打ち明けていた。
直球、カットボール、カーブ、チェンジアップ、スライダーとすべての球種が一級品で、不安視されていた制球も改善されている。課題は稼働率だ。8月以降に「下肢の張り」で登録抹消されると、シーズン終了まで一軍に復帰が叶わなかった。リハビリを経て日本シリーズ第2戦の先発に抜擢されたが、1回2/3を6安打3四球7失点KO。快投を続けていた前半戦の面影がなく、ソフトバンク打線に打ち込まれた。野球評論家の
里崎智也氏は「阪神ベンチはデュプランティエの調子が戻ったという判断だったのでしょうが、約2カ月ぶりの復帰登板の影響があったのかは分からないものの、よほど状態が悪かったとしか言いようがありません。阪神ベンチにとっても手の施しようがなかったというのが現実です」と分析していた。
305回2/3の穴を埋めるために
日本シリーズは悔しい結果に終わったが、万全のコンディションなら新天地でエース格になることは間違いない。DeNA戦は昨年4試合登板して防御率1.67と抑えていただけに、チームメートたちは凄味を肌で感じているだろう。昨年は2位だったが、リーグ優勝を飾った阪神と13ゲームの大差をつけられ、優勝争いを繰り広げられなかった。今年は
相川亮二新監督が就任し、期する思いが強い。
大きなポイントは先発ローテーションの再編だ。左右の柱だったアンソニー・ケイがホワイトソックス、アンドレ・
ジャクソンがロッテにそれぞれ移籍。2人はともに昨年規定投球回をクリアし、計305回2/3を投げている。この穴を埋めるのは容易ではない。デュプランティエはシーズンを通じて先発ローテーションで回り、規定投球回数をクリアするのがノルマになる。
阪神時代は背番号「20」だったが、DeNAでは「0」を背負う。大洋ホエールズからの歴史で投手が背番号「0」をつけるのは球団史上初となる。リーグ連覇を狙う阪神は強敵だが、28年ぶりのリーグ制覇を成し遂げるために右腕の活躍が不可欠だ。
写真=BBM