メジャー通算68勝をマークした経験

今季から楽天でプレーする前田。11年ぶりの日本球界だ
4年連続4位からの逆襲を目指す楽天に、投手陣のリーダー役として期待される右腕が入団した。日本球界に11年ぶりに復帰した
前田健太だ。
実績は申し分ない。
広島時代には2度の最多勝、3度の最優秀防御率を獲得し、澤村賞を2度受賞するなど、球界を代表するエースとして活躍した。海の向こうでもドジャースに移籍した2016年にチーム最多の16勝を挙げるなど、メジャー通算68勝をマーク。昨オフに日本球界復帰を決断すると、複数球団が獲得に名乗りを上げた。その中で、先発の軸になる即戦力右腕として熱心にアプローチしたのが楽天だった。
借金7とCS争いにも絡めなかった昨年は、先発陣の防御率3.72がリーグワースト。エースの
早川隆久が2勝に終わるなど、規定投球回数に到達した投手が一人もいなかった。チーム最多勝利が
古謝樹、リリーバーの
西垣雅矢の7勝では苦しい。チームを勝利に導く先発投手の補強が大きなテーマだった。
期待の大きさは、背番号にも表れている。球団が用意したのは、球団のレジェンドだった
田中将大(
巨人)が着けていた背番号18。前田は「正直、契約内容よりも悩みましたね。僕が着けるべきではないのかなと。やはりイーグルスの18番といえば田中将大というイメージが、ファンの方にも球団の方にもあると思いますから」と葛藤があったことを明かした上で、「もしかしたらファンの方の中には否定的な思いを持っている方がいるかもしれないですけど、今すぐではなくても僕がこの18番をつけて野球に取り組む姿勢、チームの勝利に全力で戦う姿勢を見てもらって少しでも認めてもらえるように全力で頑張りたいと思って18番をつけさせてもらいました」と決意を新たにした。
悔しい経験を糧に
期待が大きい一方で、今年4月に38歳を迎えるため活躍に懐疑的な見方があることも事実だ。近年はメジャーで思い描いたパフォーマンスを発揮できていないことも影響している。昨年は開幕から中継ぎで起用されたが7試合登板で防御率7.88と安定感を欠き、5月にタイガースを自由契約に。その後にカブス、ヤンキースのマイナー傘下を渡り歩いたがメジャー昇格は叶わなかった。
苦しい日々に映るが、本人の見方は違う。「マイナーの先発投手は中4〜5日で投げるのですが、そのペースでローテーションを守って投げることができたので(新シーズンへの)土台は築けたと思っています。また、この年齢でハングリー精神を味わえた。やはり悔しいと思える自分がいたので、そこは良かったんじゃないかなと」、「25年シーズンは悪い時期もありましたけどそこから時間をかけて修正して、最後のほうは自信を持ってマウンドに上がることができていたので」と手ごたえを口にしていた。
抜群の制球力と多彩な変化球
全盛期に比べたら直球の球威は落ちるかもしれない。だが、抜群の制球力と多彩な変化球を織り交ぜて精度の高い球を投げられるなら、まだまだ第一線で投げられる。「僕にはいろんな引き出しがある。状態が悪いときにどういうピッチングをするのか、どう戻すか。体に関しても、張っているなとか調子が悪いなと思ったときにどう体を使えばうまく投げられるかとか、1年間投げ続けるための対応、その引き出しを増やすことができているので、そこは強みでもあるかなと思います」と自己分析する。
メジャーから日本球界に戻った投手の中で成功例が、
日本ハム復帰が決まった
有原航平だ。レンジャーズでは故障の影響もあり、2年間の在籍で計3勝にとどまったが、
ソフトバンクに移籍すると23年に10勝をマーク。24、25年は14勝ずつ挙げて2年連続最多勝に輝き、リーグ連覇の立役者となった。
前田は日米通算200勝まで残り35勝という大きな目標がある。先発ローテーションで投げ続ければ、おのずと結果はついてくる。セ・リーグ、メジャーを経て、杜の都の救世主になれるか。
写真=BBM