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ドラフト4位入団で期待以上の活躍…常勝軍団の復活を目指す「中日のキーマン」は

 

秋季キャンプ最終日に手締め


昨季はルーキーながら85試合でマスクをかぶった石伊


 期待の若手という枠ではない。中日の中心選手になってほしい選手が、プロ2年目を迎える石伊雄太だ。

 昨年に高知で行われた秋季キャンプで毎日1000スイングを超える打撃練習に食らいつくと、キャンプ最終日で手締めを託された。指名した井上一樹監督はその意図についてこう語っていた。

「挙手制にしたんですけど、誰も手を上げなかった。そのときに、なんとなく石伊と目が合った。ルーキーキャッチャーとして、シーズンの半分以上出た。来年以降はもう少し自覚と責任感を持ってほしい。将来的にはチームの中心人物、ある意味でキャプテンも期待している。そういった面も含めて指名をしたという形です」

強いチームに君臨する司令塔


 日本生命からドラフト4位で入団。正捕手の木下拓哉が下半身のコンディション不良で離脱した影響もあり、シーズン中盤からスタメン起用が続いた。85試合出場で打率.221、3本塁打、21打点をマーク。新人捕手で年間試合数の半分以上に出場したのは1981年の中尾孝義以来、球団史上44年ぶりだった。守備でも盗塁阻止率でリーグ3位の.413と強肩ぶりを発揮。ただ、本人に満足感はない。「ある程度、成績は残せましたが、まだまだだなという部分はあった。来年は1試合でも多く出場して、1位を目指してやっていきたいです」と地に足がついている。

 強いチームには、司令塔となる捕手がいる。昨年圧倒的な強さでリーグ制覇を飾った阪神では坂本誠志郎が象徴的だ。ソフトバンク甲斐拓也が抜けたが、海野隆司が自己最多を大幅に更新する105試合に出場し、リーグ連覇と5年ぶり日本一に貢献した。裏を返せば、低迷期が続くチームは正捕手を固定できない。中日は13年以来13年間で12度のBクラスと優勝から遠ざかっているが、メインになる捕手が固まらない。木下も100試合出場したシーズンは2度のみだ。

中日黄金期の絶対的正捕手


中日の黄金期を正捕手として支えた谷繁


 中日にはかつて、球界を代表する絶対的な正捕手がいた。歴代最多の3021試合に出場した谷繁元信氏だ。2002年に横浜(現DeNA)から中日にFA移籍すると、落合博満元監督の下で8年間のうち4度のリーグ優勝に貢献。強気のリードで投手を鼓舞し、勝負強い打撃で走者を還す。強い中日を象徴する選手だった。

 谷繁氏は平成と令和のリードの違いについて、週刊ベースボールのインタビューで以下のように語っている。

「いまは正直、あまりリードに深みが感じられません。僕らの現役時代は先発投手が完投することを考えるので、相手打者を4打席抑えないといけない。だから、1打席目から4打席を考えたリードをやっていく。こういったことを、ずっと教育されてきたわけです。だけど、今は先発投手が6回くらいでマウンドを降りてしまう。そうすると1人の打者と対戦するのは、4打席は稀で3打席くらいですよね。だから、簡単に言えば2打席目は1打席目と逆のリードをして、3打席目はプラスアルファ。それで、先発投手が苦しくなってきたら、力のあるリリーフ投手がマウンドに上がるので、一番いい球で打ち取っていく。単純に言えば、こういう流れ。だから、あまり場面や流れなどを考えることなく、試合が進んでいく傾向が見られるかな、と思います。でも、それがダメだとも思いません。時代によって、やり方は違うのは当たり前なので。そのたびに適応、対応していくことが重要だと思います」

 一方で、時代が移り変わっても、捕手として必要であり続ける要素についても言及している。

「『観察力』『洞察力』『判断力』『決断力』『記憶力』。とにかくあらゆる“力”は必要です。それは、もちろん平成、令和、関係なく、です。試合ではリードで絶対に思いどおりにならないことが出てきます。そこで、一歩引いて、冷静に物事を考える。我慢して、次の策を練らないといけません。それがキャッチャーの仕事。常にフラットな精神状態でマスクをかぶらなければいけませんが、それはいつの時代も変わらないでしょう」

 今年はバンテリンドームに外野テラス席「ホームランウイング」が設置されることで、球場が狭くなる。バッテリーの配球は当然変わってくるだろう。石伊は頭脳をフル回転させてどのようなリードを見せるか。間違いなく、チームのキーマンだ。

写真=BBM
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