好機で研ぎ澄まされる集中力

昨年は本塁打、打点の打撃2冠王に輝いた日本ハムの主砲
現在のプロ野球界で最も三冠王に近い打者と言っていいだろう。日本ハムの
フランミル・レイエスだ。
来日2年目の昨年は132試合出場で打率.277、32本塁打、90打点をマーク。独走で本塁打、打点の2冠王に輝いた。ここぞという場面で打つ。四番の役割をきっちり果たした。6月15日の
広島戦(エスコンF)では0対7の劣勢から差を縮めると、2点ビハインドの9回二死二、三塁で
テイラー・ハーンから中前に2点同点適時打を放つなど4安打3打点の活躍で、逆転サヨナラ勝利に貢献した。
7月6日の
楽天戦(エスコンF)では2点差を追いかける2回にバックスクリーンへ逆転満塁弾。好機に打席が回ると、集中力がさらに研ぎ澄まされる。得点圏打率.361はリーグトップ。満塁の好機では17打数7安打で打率.412、2本塁打、18打点と打ちまくった。
ソフトバンクと対戦したCSファイナルステージでは4本塁打をマーク。日本シリーズには惜しくも手が届かなかったが、週刊ベースボールの取材で以下のように振り返っている。
「とてもいいシーズンになった。周りからの支えが大きかったね。チームメートやコーチ、スタッフ、ファンの皆さん。ずっと僕のことを応援してくれたおかげで高いモチベーションを保って野球と向き合うことができた。今季は自信を持って臨むことができたのと、信頼している球団のトレーナーからの練習メニューにしっかり取り組めたことも大きかった。その2つをしっかりやれば、神様も自分のことを見てくれていると思うので絶対にいい結果がついてくると信じていたよ。去年は日本に来る決断をしたことが自分にとって良かったのか考えたこともあったけど、今はもう自信を持って言える。本当に日本に来て良かった」
「メンタルで苦労した」
メジャー通算108本塁打の実績を引っ提げて2024年に日本ハムに入団したが、最初から順風満帆だったわけではない。シーズン序盤は日本野球の配球への対応に苦しみ、5月下旬にファーム降格を経験。レイエスは「(二軍本拠地の)鎌ケ谷に行くとなったとき、すごくメンタルで苦労した。そもそもネガティブになったし、頭の中にいろんなことがよぎって、どう整理すればいいのか分からない状態だった」と当時を振り返る。
新庄剛志監督も「(ドミニカ共和国へ)帰るって言っていましたよ。そりゃ怒りますよ」と振り返るほど精神的にも落ち込んでいたが、はい上がった。1カ月の調整期間を経て6月中旬に再昇格すると、本塁打を量産。103試合出場で打率.290、25本塁打、65打点をマークした。
来日1年目で立派な数字だが、自分の力を誇示することない。「あらゆる人たちから助けてもらった。名前を挙げるなら元ファイターズの
加藤豪将、今も一緒にやっている
アリエル・マルティネスと(チーム統轄)副本部長の岩本(岩本賢一)さん。この3人からいただいた言葉、サポートがなければ、もう1回頑張ろうってなれていなかったかもしれない」と感謝の念を口にしていた。
穴がないバッティング
オフに複数年契約で契約延長に。昨年に向けて最善の準備を尽くした。母国のドミニカ共和国に帰国すると、自身のインスタグラムで「フォーク、カーブ、スローカーブを投げるピッチャーを募集しています」と投稿。多彩な変化球を決め球にする日本人投手に対応することが狙いだった。「日本に来てからフォークやカーブに目を慣らすのでは遅いからね」。自ら雇った投手たちの変化球でイメージをふくらませたことが、シーズンの好結果につながった。他球団のスコアラーはレイエスについてこう分析する。
「パワーがあるのはもちろんですが、広角にヒットゾーンに打ち分けるので穴がない。あと、クレバーですよね。1打席目に打ち取った球を、2打席目ではきっちりはじき返す。配球を読み、状況に応じていろいろな打撃ができる。NPBの打者の中で別格だと思います」
来日してからの2年はいずれも2位。今年こそV奪回を果たし、大好きなチームメートやファンと喜びを爆発させたい。
写真=BBM