随所で光った勝負強い打撃

巨人へ移籍して3年目を迎える若林。今年こそ、シーズン通して活躍したい
今年はシーズンの最後まで輝きを持続し続ける。巨人の熾烈な外野の定位置争いで、静かに闘志を燃やしているのが
若林楽人だ。
昨年は
丸佳浩が故障で戦線離脱したため、開幕戦の
ヤクルト戦(東京ドーム)に「一番・左翼」で先発出場。同点の延長10回二死二塁の好機で打席が回ってくると、
清水昇から左翼の頭上を越すサヨナラ適時打を放った。開幕戦で4安打は1972年の
王貞治以来球団史上53年ぶり2人目の快挙。「丸さん(丸佳浩)が急にケガをされてしまって、開幕スタメンだと言われたときは『マジか!』って感じだったんですけど。『こんなに急に来るのか』と。ただ、オープン戦では2度スタメンで出してもらっていて、開幕直前の試合(3月23日の
ロッテ戦、東京ドーム)ではいい感じのヒットが出ていたので、『あとはやるだけだな』という気持ちになっていました」と週刊ベースボールのインタビューで明かしていた。
最高のスタートを切ってスタメンに定着すると、3、4月は打率.292、1本塁打、8打点、5盗塁を記録。悔やまれるのは故障での戦線離脱だ。6月12日の
ソフトバンク戦(みずほPayPay)で3回終了後に途中交代。「左大腿二頭筋筋損傷」で1カ月半戦列を離れた。7月下旬に復帰後も勝負強い打席が光った。8月3日の
DeNA戦(東京ドーム)で同点の9回二死二塁から、
伊勢大夢の直球を完ぺきにとらえて中堅の頭上を越すサヨナラ適時打。二塁の塁上でナインから水をかけられ、雄叫びを上げた。DeNAと対戦したCSファーストステージ1戦目では4回一死一塁で
アンソニー・ケイの直球を左翼席に運ぶ2ラン。チームは敗退したが、自身初のCS出場で期待に応えた。
自慢の俊足でもアピール
昨年はパンチ力が光ったが、自慢の俊足でもアピールした。チームトップの9盗塁で、失敗は1度のみ。
西武の新人時代に「左膝前十字靭帯損傷」で離脱するまで44試合で20盗塁と驚異的なペースで積み重ねていたが、2年目以降は度重なる故障の影響で盗塁数が5を超えたシーズンがなかった。躍動感を取り戻した理由について、以下のように語っている。
「1年目に左膝の手術をしてから自分の感覚の中で、やっぱりルーキーイヤーのときと比べると『走れていない』と感じたり、もどかしさというのがすごくあったんです。ようやく去年くらいから走っても痛みがなくなったり、違和感なくできるようになってきました。その上で、走っても次の日に疲労が来ないようにトレーニングを積んできたので、継続しながら、1年間を終えたときにどうなのかなという感じです」
「セ・リーグとパ・リーグでは相手バッテリーも違いますし、クリーンアップにつなぐ場合は、もちろん無理をしてアウトにはなりたくない。チャレンジする気持ちと、バランスよくやっていかなければならないので、本当に自信があるときにしっかり成功するということですね。あんまり『行ってやろう、行ってやろう』という感じになっていないのが、むしろいいのかもしれません。(足を)生かせるときは生かす、というイメージですね」
熾烈な競争を勝ち抜いて
巨人は昨年53盗塁でリーグワースト。若林の機動力は大きな武器になる。盗塁数をさらに増やすためには試合に出続けなければいけない。昨年は86試合出場で打率.241、3本塁打、16打点。出塁率.304だった。チャンスメークの役割を考えると、打率2割7分、出塁率3割5分をクリアしたい。巨人の外野陣は来日2年目の
トレイ・キャベッジが左翼にいるが、中堅と右翼は固まっていない。
日本ハムからFA移籍した
松本剛、ベテランの丸、若手成長株の
中山礼都、
佐々木俊輔などライバルは多いが、攻守でアピールを続ければ定位置奪取が見えてくる。
西武からシーズン途中にトレード移籍した2024年は「自然気胸」のアクシデントに見舞われ、リーグ優勝の瞬間に立ち会えなかった。今年はチームの中心選手として躍動し、喜びを爆発させたい。
写真=BBM