週刊ベースボールONLINE

大学野球リポート

【大学野球】早稲田大学野球部の報告会・激励会で学生たちは何を学んだのか

 

4年生45人が力を結集


第116代主将の香西[左]と部運営の中心となる新人監督[学生コーチ]の武藤がチームを動かす[写真=BBM]


 早稲田大学野球部は1月24日、大隈記念講堂小講堂で報告会を行った。稲門倶楽部(早稲田大学野球部OB・OG会)の卒業生のほか大学関係者らが出席。その後、大隈ガーデンハウスに場所を移し、激励会が行われた。

 2月23日からアメリカ遠征を予定している。昨今の物価高騰で、遠征費は膨大となっており、学生の個人負担を軽減させるのを目的に、昨年10月10日から12月8日でクラウドファンディング『早稲田大学野球部 世界へ! アメリカ名門大学と究める文武両道への挑戦』を実施。約2カ月で約1700万円の寄付が集まった。この日は今回の支援者が招待され、野球部が感謝を伝える場でもあった。

 激励会では多くの稲門倶楽部員が壇上に立ち、現役学生に熱烈なメッセージ。天皇杯奪還を目指す部員にとっては、有意義な場となった。

 野球部はこの日の午前中、活動拠点の安部球場で練習してきた。就任8年目の小宮山悟監督にカミナリを落とされた。メニューを考案し、全体練習をけん引する新人監督(学生コーチ)の武藤真吉(新4年・早大学院)は明かす。「シートノックでミスを連発しまして……。ノーミスでいかないといけないところで、スキが出てしまいした……。今日、複数の先輩方から『真剣に』というワードが出てきました。肝に銘じていきたいです」。

 野球部には「安部球場=神宮球場」という合言葉がある。練習から試合を想定し、心を込めた「一球入魂」を実践しない限り、リーグ戦で結果を残すことはできない。頭では理解しているつもりでも、体で表現するには、気の遠くなるような反復練習が必要である。武藤新人監督は報告会のあいさつで「監督をはじめ、首脳陣の方々から日々厳しいお言葉をいただいて、毎日、壁にぶつかっていますが、学生コーチとして天皇杯奪還に貢献できるように頑張ります」と話した。成功に近道はない。日々、試行錯誤を重ねている。

 第116代主将・香西一希(新4年・九州国際大付高)にとっても、心に響いた先輩からのメッセージがあった。

「小橋英明さんが大学4年当時(1974年)、同級生17人が知恵を出し合ってリーグ優勝、日本一を勝ち取った、と。自分たちの代は同期45人がいるんですが『45人の4年生が知恵を出して、力を結集させれば、何も怖いことはない』と。感銘を受けました。45人が一つの方向に突き進むのは、難しいところもあるんですけど、4年生がしっかりしないとチームは成り立たない。明日から体現していけるようにしていきたいと思います」

副将3人の覚悟


副将3人が投手である主将・香西を支える。左から寺尾、岡西、山根[写真=BBM]


 香西はゲームメークに長けた頭脳派サウスポーである。投手が主将を務めるのは、2020年の早川隆久以来。ピッチャーは練習メニューにおいて、野手とは異なる部分がある。チームを動かしていく上でポイントとなるのは副将3人である。

 打線の中心は外野手の寺尾拳聖(新4年・佐久長聖高)、旧チームからの唯一の野手レギュラー。昨年6月、12月に大学日本代表候補合宿に招集された右スラッガーで、プロ志望を明言する。「自分は昨年から出させてもらっていたので、それを生かしてチームに貢献できるようにやっていければと思います」。

 三塁手・岡西佑弥(新4年・智弁和歌山高)は寺尾同様、高校時代に主将経験がある。

「香西が投手でキャプテンになったので、野手はこの3人でしっかり引っ張っていけたらなと思っています。今日は結構、でかいカミナリが落ちたんですけど、それもありがたく受け止め、これからに生かしていきたいです」

 二塁のレギュラー奪取を誓う山根潤太郎(新4年・鎌倉学園高)は寺尾と同様、指定校推薦で入学した(岡西はアスリート選抜入試)。

「自分は神宮経験がまだ少ないので(3年秋までに守備・走塁要員の3試合出場)、そういったところで、逆に自分にしかない視点とかもあったりするので、チームに還元しながら進めていければいいかなと思っています」

 天皇杯奪還を目指す上で、個人的な今春のリーグ戦の目標を聞いた。

「昨秋は打点トップを掲げていたんですけど、実現できなかったので、この春は結果を追い求める。自分が打点を稼げれば優勝できると思うので、20打点を目標にします」(寺尾)

「サードで行く予定ですので、ベストナインを取りたいです。バットでは、チームをしっかり勝たせられる一打を打てるように頑張ります。数字的な目標はないです。1打席1打席、1球1球、目の前のプレーに集中していきたいと思います」(岡西)

「自分自身はセカンドのレギュラー獲得というところをまずは目標にやっていく中で、自分自身、ベンチで試合を見る時間が多かったので、その視点を生かして、この春のリーグ戦を戦っていければなと思います」(山根)

 主将・香西は武藤新人監督に感謝する。

「いつも助けられています。武藤でなければ、ここまでも、もしかしたらやれていなかったかもしれません。まだ、新チームが始まって約2カ月半ですけど、本当に感謝していますし、武藤を日本一の学生コーチ、新人監督にしたいなという思いで自分はやっています」

 この言葉を受け、武藤新人監督は言う。

「自分も一人で結構、抱え込んでしまう悪い癖があるんですが、その中で香西が話を聞いてくれているのはありがたいです。自分も香西を日本一のキャプテンにしたいと思っています。神宮で香西を胴上げする。そこを目指して頑張っていこうと思います」

 主将・香西はあらためて決意を述べた。チームで結果を残した上で、自身は卒業後の「プロ志望」を明かしており、リーグ戦通算22勝を挙げた旧チームの右腕エース・伊藤樹(楽天)の穴を埋める覚悟と責任がある。

「昨年11月、ハワイ大との特別試合を0対8で大敗した新チームのスタートでした。『どん底からの天皇杯奪還』。次に優勝したら、節目の50度目なので、まずはそこを目指して取り組んでいきます。2年時は青学大との全日本大学選手権決勝で負けて、日本一が達成できなかったので、今年こそはあの舞台で、リベンジを果たしたいと思います」

 安部球場で「真剣」に向き合う日々の練習が、力になる。学びの多い激励会だった。

取材・文=岡本朋祐
週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部が今注目の選手、出来事をお届け

関連情報

みんなのコメント

  • 新着順
  • いいね順

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング