韓国戦で圧巻のピッチング

プロ3年目の昨季は8勝を挙げていた曽谷
3月に開催されるWBC。侍ジャパンのメンバー29選手が発表された中で、注目を集めたのが
オリックス・
曽谷龍平の選出だった。
プロ3年間で規定投球回数に到達したり、2ケタ勝を挙げたりしたシーズンは一度もない。だが、強烈なインパクトを残したのが昨年11月の侍ジャパン強化試合・韓国戦だった。左腕から150キロを超える直球、独特な曲がり幅のスライダー、落差の大きいフォークで相手打者を圧倒。3回を完全投球で、韓国メディアにも大きく取り上げられるほどだった。時間制限がある「ピッチロック」の影響がなくテンポよく投げ込み、WBC使用球で投球の精度がまったく落ちない。
井端弘和監督は国際試合に向いている投手と判断したのだろう。
シーズンの投球を見ても、侍ジャパンの一流の投手たちと肩を並べる球を投げていたことも間違いない。昨年は8勝8敗、防御率4.01。前半戦は快調だった。7月11日の
日本ハム戦(エスコンF)で8回10奪三振無失点と完ぺきに抑え、自己最多を更新する8勝目をマークした。
「キャッチャーが試合中でも『ここはインコースにもっと行っていいぞ』と伝えてくれることによって、いつもよりも『ビビらずに投げていいんだ』というメンタルになれるんです。(捕手の)構えやジェスチャーが分かりやすいので、しっかり伝わってきます。投げていて、そう思いますね。その部分もあって、メンタルの部分ではビビらなくなりました。練習やブルペンでも、しっかりと投げないと体力はつかないと僕は思っています。今シーズンは疲れの部分も全然バテなくなりましたし、そこは経験を積むしかないのかなと。しっかり練習を積むことによって『打たれたら仕方ないや』という気持ちにもなっています」と手ごたえを口にしていた。
悔しい思いをした終盤
10勝到達と規定投球回は間違いなしと思われたが、ここから試練が待ち受けていた。上半身のコンディション不良で、7月27日の
ソフトバンク戦(みずほPayPay)の先発を回避するとその後も白星が遠い。9月14日のソフトバンク戦(京セラドーム)で折れたバットが胸部を直撃するアクシデントに見舞われ、2回途中で降板。大ケガにはつながらなかったが、その後の登板でも本来の投球ができず、後半戦は0勝に終わった。
岸田護監督は「終盤は悔しい思いもした。気持ちも強い子ですし、当然さらにやってもらわないと」と奮起を促していた。
気持ちの強さも大きな武器
前半戦の投球をシーズン通じてできれば、投手タイトルを狙える。曽谷の魅力はストライクゾーンにどんどん投げ込めることだ。球にキレがあり空振りを奪えるため、奪三振能力が高い。気持ちの強さも大きな武器だ。24年3月に週刊ベースボールのインタビューで以下のように語っている。
「マウンドに上がる以上、いくら先輩であっても、どんなに実績のあるバッターが相手であっても、自分のほうが上と思わないと、ちょっとしたことで怯んでしまう。実力的には全然、僕のほうが下なのは分かっていても、『自分がバッターより上』と思って、マウンドに上がっているんです。これは、アマチュア時代、中学時代くらいから持ち続けてきたことでもあるんですけど。でも、昨年は、無意識のうちに、どこか遠慮している自分がいたような気もするんですよね。だから、今年は、マウンドでの気持ちを思い返して、今までの強気でいる自分を忘れないようにしていこう、と思っているんです」
「僕は負けず嫌いな性格なので(笑)。やっぱり負けたくないですよね。どんなにすごいバッターでも、絶対打たれるとは限らないし、抑えることができる。最初から気持ちで負けていたら、勝てるチャンスも減ってしまう。勝負に挑む前から引いていてはダメだなって思いますから」
アメリカ、ドミニカ共和国、ベネズエラ、プエルトリコなどWBCで対戦が予想される強豪国はメジャーを代表する強打者がスタメンに名を連ねている。日の丸をつけた曽谷が臆せず、攻撃的な投球を見せる姿が楽しみだ。
写真=BBM