2025年から巨人でプレー

移籍1年目から見事に最多セーブのタイトルを獲得した
巨人の春季キャンプに、
ライデル・マルティネスが参加しないことが発表された。キューバ代表としてWBCに出場するために調整に専念するのが理由だが、シーズンに向けて心配はないだろう。「メジャーで間違いなく通用する」とメジャー球団のスカウトが太鼓判を押す守護神は、今年もV奪回に向けてセーブを積み重ねる。
育成契約で入団し、球界を代表する守護神に上り詰めた
中日を自由契約となったのが2024年オフ。複数球団の争奪戦となった中で、「あらためてリーグ優勝ができるチームに行ってみたい思いがあった」と巨人に入団することを決断した。
阿部慎之助監督の期待は大きい。抑えを務めていた
大勢を8回のセットアッパーに配置転換し、新加入の右腕を抑えに据えた。
異国の地で続ける進化
巨人で思うような活躍ができなかった助っ人外国人が少なくないが、
マルティネスは別格だった。開幕から31試合連続無失点をマークするなど抜群の安定感を見せ、8月15日の
阪神戦(東京ドーム)で通算200セーブを達成。
佐々木主浩(元横浜ほか)の370試合を上回る歴代最速の来日348試合目で大台に到達し、28歳10カ月で記録達成は
松井裕樹(当時
楽天、現パドレス)の27歳5カ月に次ぐ史上2番目の速さだった。
普段は記録へのこだわりを口にしないが、キューバから呼び寄せた家族の前で達成した快挙に感情が高ぶる。「ここにたどり着くまで手を抜くことなく、しっかり練習してきた結果。そして、しっかりサポートしてくれた父親と母親、そして自分の妻、本当にこの家族のおかげ」と涙を浮かべながら、家族に対する感謝の言葉を並べた。
9月30日の中日戦(東京ドーム)で46セーブをマークし、
田中将大の日米通算200勝をアシスト。古巣・中日の
松山晋也と分け合う形で2年連続自身3度目となる最多セーブのタイトルを獲得した。
努力を積み重ね、異国の地で進化を続ける。来日した当時から直球の速さが大きな魅力だったが、課題とされていた制球力を改善し、クイックやフィールディングなど投球以外の動作も反復練習した。課題に真正面から向き合い、地道な努力を続ける姿は他の投手のお手本だ。
決定打を許さないピッチング
興味深いデータがある。昨年の被打率を見ると、走者がない場面で.169、走者を背負った場面は.153で、得点圏になると.114とさらに下がる。決定打を許さないのは、一流投手の証しと言える。マルティネスはマウンド上でどのようにメンタルをコントロールしているのか。週刊ベースボールのインタビューで以下のように語っている。
「9回の1イニングを通してベストなパフォーマンスが出せるようにしていくことは当然なんだけど、得点圏にランナーがいるときといないときでは確かにアプローチが少し変わってくる。得点圏にランナーがいないときは、まずは“自分のボール”を投げるということにフォーカスしていく。ただ、得点圏にランナーを背負ったときは“自分との会話”を始めるんだ。『ここはもっと集中するんだ』とか、『しっかりと低めに投げるんだ』とか、そういったことを自分自身に言い聞かせる。もちろん相手のバッターの傾向とかにもよるんだけど、自分との会話を通して『こういうボールを投げよう』というのをはっきりさせながら、さらに集中力を高めて、最大限のパフォーマンスを出すようにしているんだ」
長いシーズンで救援に失敗する時もある。その状況で心の整理をどうつけるか。
「もう単純に、グラウンドで起きたことはグラウンドに置いておく。一度、球場から出てしまったら、もうそのことを忘れる……わけじゃないんだけど、家にまでは持ち込まないようにして、次にマウンドへ上がったときにどうしていくかを考えるようにする。次の日が来れば、またセーブシチュエーションが訪れるかもしれないし、そのときに『しっかりいい結果を出すんだ』ということを考えるようにしているね」
WBCでは侍ジャパンの強敵として立ちはだかる可能性があるが、巨人では絶対的守護神として試合を締める。29歳とまだまだ若い。残り38セーブに迫った名球会入りの250セーブは通過点だ。
写真=BBM