21年にメジャーで25本塁打
スタンドに消える力強い打球を見ると、大きなロマンを抱かせる。巨人のボビー・ダルベックがベールを脱いだのは春季キャンプ2日目だった。
来日初となる屋外のフリー打撃に臨むと、56スイングで13本のサク越え。ライナー性の打球を広角に打ち分けた。他球団のスコアラーは「ちょっとびっくりしましたね。球場が広いサンマ
リンスタジアムで軽々とバックスクリーンに運んでいた。振り回しているわけではなく、コンタクトを重視した打球であの飛距離は規格外です。実戦で体に近い速い球、外角へ逃げる変化球への対応力を見たいですね」と警戒を口にした。
岡本和真が昨オフ、ポスティングシステムでブルージェイズに移籍。不動の四番が抜けた穴を埋めるのは容易ではない中で、長距離砲として大きな期待がかかるのがダルベックだ。打球を遠くへ飛ばす能力はメジャーで証明されている。2020年にレッドソックスでデビューすると、10試合以内に5試合連続本塁打を放つ初の快挙を達成。翌21年に25本塁打、78打点をマークした。19年に開催されたプレミア12ではアメリカ代表で出場し、一塁手でベストナインに選出されている。
日本で成功する秘訣
日本野球のレベルが上がり、助っ人外国人が来日1年目から活躍するのが難しい時代になっている。「史上最強の助っ人」の呼び声が高い球団OBの
ウォーレン・クロマティ氏は日本で成功する秘訣について、週刊ベースボールのインタビューで以下のように語っている。
「僕が巨人に入団したとき(84年)、同じチームに
レジー・スミスがいた。レジーは僕が何も分からなかったときに、電車の乗り方、切符の買い方、タクシーの乗り方、両替の方法、日本食の食べ方、日本の野球の習慣などあらゆることを教えてくれた。僕が日本で成功できたのは日本文化に順応できたからで、それはレジーが教えてくれたおかげ。
レロン・リー(
ロッテ)と
レオン・リー(大洋ほか)の兄弟も、親切に僕を助けてくれた。レロンは『ここに座れ』と言って僕に日本でうまくやる方法を教えてくれて、まるで学校の先生と生徒のようだった。僕はジャイアンツという日本で一番注目されるチームに入って、スーパースターの王さんが監督で、周囲の人たちに恵まれた。自分は運が良かったと思うよ」
心強い“先輩”の存在
ダルベックにとって、来日2年目を迎えるトレイ・キャベッジは心強い存在だろう。来日1年目の昨年は123試合出場で打率.267、17本塁打、51打点。春先は打撃好調だったが、6月以降は勢いが止まり、夏場以降に再び盛り返した。ファーム降格を経験した時期があったが、首脳陣の助言に耳を傾けたり若手と共に試合前の早出練習に参加したり、日本の野球に順応しようと努力する姿が、後半戦の好結果につながった。日本野球への助言のみならず、グラウンドを離れた生活でも頼りになる存在になるだろう。
キャンプ中にダルベックの温厚な性格で温かい空気に包まれた時があった。ドラフト3位左腕の
山城京平がブルペン入りした際に打席に立つと死球を受けるアクシデントが。山城が慌ててダルベックの下に駆け寄って謝罪すると、笑顔でハグして応じた。
昨年は
阪神の
佐藤輝明が40本塁打でタイトルを獲得。三番の
森下翔太がリーグ2位の23本塁打、五番の
大山悠輔が13本塁打とクリーンアップで計76本塁打と破壊力が際立っていた。本塁打は試合の流れを一振りで変えられる。ダルベックは1月下旬に都内で行われた入団会見で、「任された打順で自分の役割をまっとうしたい。中軸を打つことに関しては非常に自信がありますし、特に四番を打たせていただければ光栄です」と力強いコメントを口にしていた。キャベッジと共に本塁打を量産してタイトル争いする活躍を見せれば、V奪回が見えてくる。打線のキーマンであることは間違いない。
写真=BBM