躍動感あふれるフォーム
DeNAが沖縄・宜野湾で行っている春季キャンプ。ブルペンで勢いのある球を投げ込んでいるのが、4年ぶりの国内キャンプを迎えた
藤浪晋太郎だ。初日から変化球をまじえて79球の投げ込み。直球は150キロ以上を計測し、仕上がりの良さをアピールしている。アメリカでは制限されていた投げ込みから解放されたことが影響しているかもしれない。躍動感あふれるフォームに投げる喜びが伝わってきた。
アメリカで2年半プレーした期間を経て、昨年7月にDeNAに電撃加入。6試合登板で、1勝0敗、防御率4.09だった。シーズン終盤に救援に配置転換されて調整が難しかった部分があったかもしれない。制球が定まらずに本来の投球ができず、
巨人や
阪神と対戦したCSのメンバーから漏れたが、先発で登板した4試合では防御率3.05と投球内容は決して悪くなかった。
今年は希望していた先発で勝負する。DeNAの先発陣は再編成がせまられている。左右の両輪だった
アンソニー・ケイ、
アンドレ・ジャクソンの両外国人が退団。
ジョン・デュプランティエが阪神から加入したが来日1年目の昨年は故障の影響で8月以降の登板は1試合にとどまったため、1年間通じて稼働できるかは不安がある。
ホセ・ルイーズ、
オースティン・コックス、
ショーン・レイノルズの3投手も新たに補強し、先発で起用される可能性があるが実力は未知数だ。
背番号「27」を背負って
計算できる先発のコマが多いとは言えない状況で、藤浪が本来の輝きを取り戻せばチームに大きなプラスアルファをもたらせる。昨オフの契約更改では「180イニングの投球回数」を目標に掲げていた。投手3冠に輝いた
村上頌樹(阪神)がリーグトップの175回1/3だったことを考えると、リーグトップのイニング数に相当する。長いイニング数を投げるために、ポイントになるのが課題の制球力だ。直球が常時150キロを超える藤浪の球威を考えればコーナーにきっちり投げなくても、腕を振ってストライクゾーンで勝負できれば、カットボール、スプリット、ツーシームを織り交ぜて打者をねじ伏せられる。

かつて大洋のエースとして背番号「27」を着けた平松
藤浪が着ける背番号「27」は、DeNAの前身・大洋のエースだった
平松政次から継承したエースナンバーだ。平松は現役時代に巨人戦通算51勝をマーク。
金田正一に次ぐ歴代2位の記録で、巨人戦が通算201勝の4分の1以上の白星を占めている。200イニングをクリアしたシーズンは7度。「投げてます、投げてます(笑)。12年連続2ケタ勝利ですからね。特に若い頃はフル回転でしょ。先発だけなら、もっと長くできたと思いますよ。あの頃は先発完投でも、1日だけ休んでベンチに入り、勝てるゲームなら5イニングでも6イニングでも救援登板。ただ、僕の性格に合ってもいた。常に戦っているという気がありました。中6日が当たり前とかになると、闘争心がどこかへいってしまうんじゃないかな」と週刊ベースボールのインタビューで振り返っている。
野球人生で重要な1年
右打者の内角をえぐるカミソリ
シュートを武器に「
長嶋茂雄キラー」として知られ、「ストレートも150キロは出ていたと思うので、そのままの速さで食い込んでくるから、右打者は手に負えなかったと思います。シュートといえば沈むイメージがあるかもしれませんが、僕は“ライジングボール”と言われ、曲がりながら浮き上がった。ベースの真ん中に投げると、20センチくらい曲がって、ちょうどコーナーのグリップ付近に決まる。だからバットも折れやすい。僕が打者だったら逃げます」と笑っていた。
藤浪は阪神で入団2年目の14年から3年連続160イニング以上投げ、15年に自身最多の199回に到達。14勝をマークし、最多奪三振(221)のタイトルを獲得している。その後に紆余曲折を経て、DeNAのユニフォームを身にまとっている。古巣の阪神が絶対王者として立ちはだかる中、登板した際はどのような投球を見せるか。昨年は実現しなかった敵地・甲子園での登板で快投を見せれば、チームも勢いづく。メジャー再挑戦という野心も持っている中、野球人生で重要な1年になりそうだ。
写真=BBM