アストロズにドラフト1巡目指名
先発陣の奮闘がV奪回のカギを握る巨人で大きな期待がかかるのが、新外国人右腕のフォレスト・ウィットリーだ。来日初ブルペンとなった2月5日にいきなり最速153キロを計測。身長201センチの長身から投げ下ろす直球は威力十分で球速以上の迫力を感じる。翌日以降も投球を視察した他球団のスコアラーは「直球だけでなく、カーブ、カットボール、チェンジアップの質も高い。昨年の
ジョン・デュプランティエ(現
DeNA)も強烈だったけど、その球を超えるかもしれない。実戦登板でどんな投球を見せるか今後もチェックを続けますが、能力が高いことは間違いない」と警戒を口にした。
アストロズにドラフト1巡目で指名されてプロ入りした逸材だ。トッププロスペクトとして期待されたが、試練が待ち受けていた。17年オフに薬物規定違反で50試合出場停止処分、21年の開幕前にトミー・ジョン手術を受けてシーズンを全休した。22年に実戦復帰したが、その後も故障に見舞われて苦しんだ。24年にメジャーデビューを果たすも3試合登板のみ。ただ、3Aで32試合登板して防御率1.80の好成績を残している。昨年はシーズン途中でレイズにトレード移籍し、3Aで13試合登板して5勝4敗、防御率2.60をマーク。55回1/3を投げて66奪三振と高い三振奪取率を誇った。
大化けする可能性

来日1年目の昨季は阪神でプレーしたデュプランティエ。高い奪三振率を誇った
最速160キロのツーシーム、159キロのフォーシーム、平均140キロ中盤のカットボール、低めに落ちる鋭いカーブとメジャーで十分に通用する能力を備えている。ネックは制球力だった。ストライクを先行できず、四球で走者をためて痛打を浴びるケースが少なくなかった。ただ、阪神で来日1年目の昨年に活躍したデュプランティエも来日前は制球力が課題と指摘されていた。メジャーで通算19試合登板して1勝4敗、防御率6.70。49回2/3で46奪三振を記録したが、26四球と2回に1度は四球を出す計算で長いイニングを投げられなかった。
だが、阪神に移籍した昨年は15試合登板で6勝3敗、防御率1.39と抜群の安定感を発揮してV奪回の原動力に。常時150キロを超える直球にカットボール、カーブ、チェンジアップ、スライダーを織り交ぜて三振の山を築いた。後半戦は故障で離脱したが、90回2/3で113三振を奪い、課題だった制球も20四球とまとまっていた。ウィットリーも異国の地できっかけをつかめば、大化けする可能性がある。
巨人で先発が当確と言えるのは、2年連続2ケタ勝利をマークした
山崎伊織のみ。昨年8勝止まりだった
戸郷翔征は開幕先発ローテーション入りが確約された立場ではない。
則本昂大が
楽天から加入し、ドラフト1位左腕の
竹丸和幸も評価が高い。
赤星優志、
井上温大、
横川凱、
西舘勇陽、
森田駿哉のほか、助っ人外国人はウィットリー、
ブライアン・マタ、昨年楽天でプレーした
スペンサー・ハワードが加入したことで競争が熾烈になっている。
巨人の一員として甲子園に
ウィットリーは日本と不思議な縁で結ばれている。15年にU-18ワールドカップでアメリカ代表として来日した際、カナダを相手に甲子園で5イニングを投げている。1月下旬に都内で行われた入団会見で、「周りを見渡すと歴史的な球場であることは一目瞭然でしたし、その時の歓声は今でも忘れることができません。今度は巨人の一員として甲子園に戻ることを楽しみにしています」と胸を高鳴らせていた。
巨人は甲子園を本拠地に置く宿敵の阪神に昨年8勝17敗と大きく負け越し、15ゲームの大差をつけられてリーグ優勝を許した。阪神戦で白星を挙げた先発投手は山崎の2勝、井上の1勝のみ。熱狂的な阪神ファンの応援に包まれる完全アウェーの環境で、ウィットリーが登板して白星につながる快投を見せればチームが勢いづく。大きな可能性を秘めた右腕は、V奪回の救世主になれるか。
写真=BBM