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正捕手への道は険しいがファームでは別格 他球団が注目する「巨人の若手成長株」は

 

一軍では通算16試合出場


昨年は一軍で1試合出場のみに終わった山瀬。今年、花開くことができるか


 投手の能力を引き出すのは、捕手の重要な役目だ。2月23日。巨人楽天とオープン戦で対戦し、7回からマウンドに上がったドラフト3位左腕・山城京平が2回2/3を無安打無失点の快投を見せた。山城の評価を高めたリードをしたのが、この回からマスクをかぶった山瀬慎之助だった。力強い直球をストライクゾーンに投げ込ませて強気の姿勢を示し、フレーミング技術も光った。打撃では7回に昨年まで同僚だった田中千晴の151キロ直球を左前にはじき返す安打。8回二死一塁の第2打席は四球を選んで出塁。攻守でアピールした。

 昨年はイースタン・リーグで100試合に出場し、打率.302、3本塁打、24打点の成績をマークしたが、一軍では1試合出場のみ。オフの契約更改では1回目の交渉を保留し、出場機会を望んだことが話題になった。「近未来の正捕手」と期待されてきたが、今年がプロ7年目。高卒で同期入団の佐々木朗希(ドジャース)、宮城大弥紅林弘太郎(ともにオリックス)のほか、下位指名の岡林勇希(中日)、長岡秀樹(ヤクルト)が最多安打のタイトルを獲得するなどチームの核になっている。プロ通算16試合出場にとどまり、今年5月に25歳を迎える山瀬はいろいろな思いがあるだろう。

 正捕手奪取への道は険しい。昨年87試合出場で打率.293、8本塁打、盗塁阻止率でリーグ2位の.419を記録した岸田行倫ソフトバンクで常勝軍団の扇の要となり巨人にFA移籍2年目を迎える甲斐拓也のほか、かつて正捕手として活躍した大城卓三小林誠司も控えている。山瀬は与えられたチャンスで首脳陣の信頼を高めていくしかない。3月3日のWBC強化試合・オーストラリア戦に「七番・捕手」で先発起用され、6回までマスクをかぶった。試合は1対5で敗れたが、投手に何度も声掛けして大きなジェスチャーで要求するなど献身的な姿勢が伝わってきた。

重要なのは勝てるキャッチャー


横浜、中日でプレーし、通算3021試合出場の谷繁


 1人の捕手がシーズンを通じてマスクをかぶる時代ではなくなっている。現役時代に横浜(現DeNA)、中日で日本記録の通算3021試合に出場し、球界を代表する捕手として活躍した谷繁元信氏は「令和の捕手起用」について、週刊ベースボールで以下のように語っている。

「一番いいのはメインのキャッチャーが80、90%守って、あとは何人かのキャッチャーで10、20%をまかなう。これがベストだと思います。ただ、いまは併用制の時代です。メリットと言えば、例えば1カード3試合すべてで違うキャッチャーがマスクをかぶれば、違う配球パターンで相手打線と戦うことができる。これはメリットになる可能性もあるということです。ただ、デメリットは流れをつかめていけないこと。3連戦だけではなくて、シーズンを通して考えた場合、1年間の流れがなかなかできていかない。ただ、1人に無理やりマスクをかぶらせ続けても、逆にそれがデメリットになる可能性がある。そこはベンチワークというか、キャッチャーの状態を見ながら、あとは相性などで使い分けていく。併用しているチームは、そこが一番大事なんじゃないですかね」

「ただ単にマスクをかぶっているだけではダメなので。重要なのは勝てるキャッチャーかどうかということ。この点をしっかり判断してペナントを戦っていかなければいけません。もちろん、最初は無理して使っていかないと、いろいろなことを覚えないということもあります。本当の正捕手をつくり上げるために、そういったことが必要な場合もあります」

 昨年は移籍1年目の甲斐が開幕からスタメン出場していたが、岸田の出番が増えたのは先発マスクをかぶった試合でチームの勝率が高かったことが大きな要因だったことは間違いない。岸田も「チームを勝たせる捕手」として結果を示せば、おのずと出場機会が増えていく。ファームで別格の有望株は、今年こそ一軍の舞台で大輪の花を咲かせられるか。

写真=BBM
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