伸びしろ十分の26歳
打倒
ソフトバンクに向け、日本ハムに頼もしい新戦力が加わった。新外国人のロドルフォ・カストロだ。
二遊間や三塁を守るユーティリティーが持ち味の内野手だが、打撃でのインパクトが目立つ。3月11日のオープン戦・
楽天戦(静岡)で0対0の8回に打席が回ってくると、ドラフト6位右腕・
九谷瑠のスライダーを完ぺきにとらえて左中間に決勝2ラン。打った瞬間に本塁打と分かる打球だった。オープン戦3本目のアーチに、他球団のスコアラーは「変化球にきっちり対応できている。飛ばすコツを知っていますよね。日本向きの選手だと思います」と警戒を口にする。
もともとスイッチヒッターだったが、右打ちに専念。昨季マイナー・リーグで19本塁打を記録している。日本ハムは二塁でチームトップの96試合にスタメン出場した
石井一成が
西武にFA移籍。選手たちは定位置をつかもうと目の色を変えている。高い守備能力に定評がある
奈良間大己、昨年四番で52試合に出場した
野村佑希、広角に長打を打てる
吉田賢吾などそれぞれの魅力があるなか、最も目立っているのがカストロだ。春季キャンプから攻守でハツラツしたプレーで活気を与え、「かっちゃん」の愛称に。同じドミニカ共和国出身でチームの大黒柱になっている
フランミル・レイエスがチームメートであることも心強いだろう。26歳と若く、伸びしろ十分だ。
異国で咲かせる大輪の花
来日して大化けした助っ人外国人の内野手が、横浜(現
DeNA)で活躍した
ロバート・ローズだ。来日した1993年は共に加入した長距離砲の
グレン・ブラッグスのほうが注目度は高かったが、来日1年目に打率.325、19本塁打、94打点で打点王のタイトルを獲得。その後も攻守の要となり、ブラッグスが96年オフに退団すると、不動の四番打者に。98年に38年ぶりのリーグ優勝、日本一に貢献すると、翌99年に打率.369、37本塁打、153打点と圧巻の数字で首位打者、打点王を獲得した。2000年もリーグ2位の打率.332、21本塁打、97打点で2年連続最多安打(168本)に輝き、ファンに惜しまれながら退団した。
カストロもローズのように異国の地で大輪の花を咲かせられるか。注目されるのは
新庄剛志監督の起用法だ。昨年までは選手のコンディションや対戦相手の相性などを考えてスタメンを固定しなかったが、就任5年目の今年は「開幕から1カ月後に一番から六番まで固定はしたい。同じやり方でやっても勝てなかったから。オープン戦から開幕1カ月ちょっとの間で固定メンバーに入ってもらわないと」と競争を勝ち抜いた選手たちを軸に戦うスタイルを示唆している。
指揮官の優勝への強い思い
2年連続最下位から2年連続2位と成長曲線を描き、打倒・ソフトバンクを掲げる指揮官の思いは、
阪神の
岡田彰布前監督もヒシヒシと感じている。週刊ベースボールのコラムで以下のように明かしていた。
「名護に着くと新庄監督が出迎えてくれた。
メイン球場では練習が続いていたが、バックネット裏のブースで対談がスタート。すると新庄監督、ポケットから何枚かのメモを取り出した。そこにはマジックで記されたオレへの質問がズラリ。さすが新庄(ここからは阪神の先輩後輩ということで呼び捨てにします)、野球への探求心はますます旺盛といったところやった。監督にプライドがあるが新庄の姿勢には感動したよ。何度も書くけど、新庄は見た目とはまったく違う。野球に対する姿勢は昔のままよ。それは監督になっても変わらず、いやそれ以上にあふれている。ここでよく考えてみてください。自分は監督になった。それなりの立場があり、自信、プライドもある。だからほかの人にアドバイスを求めたり、ヒントをもらうなんてこと、なかなかできるものではない。意地でも聞かない……というのが監督の普通の感覚やと思うけど、新庄は違う」
「『今回、聞きたいことを書いてきました。まず攻撃のときのバントについてですが』で始まり、それは質問の連続。ホンマに勝ちたい、勝たせるためにどうすればいいか……を真剣に考えている。それを真正面から聞いて、オレは感動したわ。『育てる方法は分かったけど、勝つ方法が分からなくって』と最後、ニヤッとして対談は終わった。1時間はアッという間に過ぎた。オレは考えている。今シーズンの日本ハム。新庄のこの姿があれば優勝の可能性は十分。ソフトバンクと張り合えると」
レイエスがチーム力を大幅に引き上げたが、カストロはリーグ制覇のピースになれるか。助っ人外国人の運用もカギを握りそうだ。
写真=BBM