試金石とする一戦

福岡工大は今春、福岡六大学リーグでの10戦全勝優勝を目標とする。左から本川、主将・冨永、竹下[写真=BBM]
福岡六大学野球連盟に所属する福岡工大は3月12日、ANA BALL PARK浦添で早大(東京六大学野球連盟)とオープン戦を行い、2対6で敗れた。福岡工大は前日に沖縄入りし、計3試合の実戦が組まれており、4月に開幕するリーグ戦に向けて士気を上げていく。
福岡工大は早大との一戦にかけていた。冬場からの成果を試す場として位置付けていたからである。主将・冨永瑞葵(4年・中津東高)はその背景をこう明かす。
「昨夏のオープン戦は、早稲田さんの活動拠点である安部球場でやらせていただきましたが、ノーヒットノーランで敗退しました。屈辱的な黒星。秋のリーグ戦も4位に終わり、この春のリーグ戦で逆襲する上で、早稲田さんとの一戦を試金石としたいと思っていました。前夜のミーティングでも、相当な覚悟で挑もうと、チーム全体で共有し合いました」
1球の精度

主将・冨永は自ら率先して動き、リーダーシップを発揮している[写真=BBM]
勝利することはできなかったが、収穫はあった。主将・冨永は明かす。
「このオフは一から取り組みを見直し、フィジカル強化を重点としてきました。体づくりにも取り組んできましたが、やってきたことは間違いではなかったです。昨秋まででしたら、詰まらされていた打球も、野手の間に落とせた。投手も、とらえられていたボールをファウルにすることができていた」
課題も見つかった。主将・冨永は続ける。
「同じ1球に対しても、確率が違う。1球の精度に、力の差を感じました。常日頃から神宮でプレーし、全国舞台も知っているチームから学ぶべきものは多かったです」
ボール球の見極め

左腕・本川はエースとして、シーズン5勝以上を目標とする[写真=BBM]
先発したエース左腕・本川瑛光(4年・れいめい高)は6回6失点。140キロ超のストレートに変化球はカーブ、スライダー、カットボール、スプリットを小気味よく投げ込んでいくのが持ち味。だが、この日は、なかなか自身のリズムで投げることができなかった。
「早稲田さんの打者は、簡単にアウトにならないんです。ボール球の見極めがしっかりしており、カウントを悪くすれば、取りに行ったボールを持っていかれる。力を入れたストレートで押し込み、空振りを取れたシーンでは、通用を感じた部分です。これは野手視点ですが、一つのボールに対して目を切らさないことが徹底されている。この経験をリーグ戦に生かしていきたいと思っています」
目標はリーグ戦全勝優勝

正捕手で四番・竹下は攻守のキーマンだ[写真=BBM]
四番・捕手の竹下聖人(4年・明豊高)は持ち味の強肩で2度、二盗を阻止した。また、右打席からは痛烈な左中間二塁打を放った。攻守の要は存在感を見せたが、反省が口をついた。「早稲田さんとのレベルの違いを感じました。先発した香西投手(香西一希、4年・九州国際大付高)は高校時代に九州大会で対戦しましたが、制球力、チェンジアップの精度が素晴らしい。確実に成長していました」。
高校時代は2年春のセンバツで一塁手として準優勝。福岡工大入学後「高いレベルでチャレンジしたい」と、2年秋に捕手に転向。2学年上の正捕手・
譽田貴之(西濃運輸)が卒業した3年春からマスクをかぶり、今春はレギュラー3季目だ。遠投110メートル、二塁送球1.75秒。「チームを勝たせた上で、譽田さんがプレーした大学日本代表候補合宿に選出され、全国レベルを経験したいです」。
福岡工大の2026年春のチーム目標は「全勝優勝」。リーグ戦を圧倒した上で、全日本大学選手権での「日本一」が合言葉である。1901年創部である伝統校・早大から学びがあった。
「ウチの投手を強襲する当たりがあったんですが、すぐさま早稲田さんの選手は駆け寄って頭を下げていた。当たり前のことかもしれませんが、そういう部分も疎かにしない。今日の試合会場は早稲田さんがキャンプの拠点としている球場ですが、施設内の掃除を含めて、細かいところまで目が行き届いている。野球以外の立ち居振る舞いの部分で、自分たちも再認識する場となりました」(冨永主将)
福岡工大はこの日、使用した三塁ベンチ、ベンチ裏の控え室を、時間をかけ、丁ねいにキレイにしてから球場を引き揚げていた。
取材・文=岡本朋祐