楽天・伊藤樹の後継者

最速153キロ。変化球はカットボール、スライダー、カーブ、スプリットと精度が高い[写真=BBM]
早稲田大学野球部は2月23日からアメリカ遠征を実施し、3月7日に帰国。羽田空港から那覇空港へ移動し、20日まで浦添でキャンプを張っている。4月11日に開幕(早大は18日の東大戦が開幕カード)する東京六大学リーグ戦に向けて、調整も本格化していく。
2024年春から25年春にかけて東京六大学リーグ戦3連覇に貢献し、通算22勝を挙げた
伊藤樹(
楽天)が昨秋限りで卒業した。エースの後継者として期待されているのが153キロ右腕・
高橋煌稀(3年・仙台育英高)である。高校、大学の先輩の背中を見てきた。
「樹さんはピッチングのうまさだけでなくて、マウンドさばきも秀逸でした。試合のほか、練習におけるチームを引っ張っていく姿もずっと見てきました。後輩にも丁ねいに指導。エースとしての自覚を学んできました。チーム内には他にも好投手がいますが、第1先発(カードの1回戦)を目指していきたいです」
浦添キャンプ期間中に確かな手応えをつかんだ。東海大とのオープン戦(3月11日)で7回無失点の好投を見せた。
「沖縄に入ってからトレーナーの土橋(恵秀)さんから投球フォームの指導を受けたんです。軸足、内転筋の使い方。一流投手は、良い形で刺激を入れているんです。これまでにない『感覚』を得ることができました。投げたいコースにラインが見えるようになったんです。これを、継続していきたいと思っています」
Vへ導き目標はドラフト1位

183cmの長身を生かし、角度のあるボールを投げ込む。沖縄・浦添のブルペンでフォームを固めてきた[写真=BBM]
仙台育英高では2年夏に東北勢初の全国制覇、3年夏は甲子園準優勝を経験した。早大では1年春から登板し、昨秋には伊藤樹に次ぐ2回戦の先発に定着して3勝を挙げ、リーグ3位の防御率1.86と実績を積み上げた。
「正直、2年秋に先発できるとは思っていませんでした。自分の中では3年春から先発で投げられればいいかな、と考えていましたので……。思ったよりも早めのスタートで、良い経験ができたので、3、4年とさらに成績を残して、良い評価を得たいと思います」
今春の目標を語る。
「最優秀防御率のタイトルを獲りたいです。昨秋、同学年の明治・大室亮満(3年・高松商高)が0.44で受賞したので、0点台を目指していきたいと思います。何よりも4年生を優勝させたい。多くの白星をつかめるように、全5カードで5勝を目標にしていきます」
気は早いが、来年はドラフトイヤーだ。
「高校で行かなかったので、プロ1本しか考えていません。(仙台育英高の)須江(航)監督からは高校時代、頑張り次第で5、6位があるかもしれない、と言われていました。ならば大学で1位のレベルに上げたいと思い、早稲田を志望しました。チームを優勝へ導いた上で、ドラフト1位の評価をいただけるように頑張ります」
アメリカ遠征では現地大学と5試合のオープン戦を消化し、ドジャー・スタジアム見学など、本場のベースボールを満喫した。
「安定志向なので(苦笑)……。これまでメジャー・リーグにはあまり興味がなかったんですが、今回のアメリカ遠征で野球観が変わりました。まずは、日本でしっかり実績を残さないといけないですが、いずれは、メジャー・リーグでプレーしたい思いが出てきています」
早稲田のエース番号は「11」。伊藤樹は3年春から昨秋まで4シーズン背負ってきた。高橋は沖縄でのオープン戦で、昨秋同様の「15」を着けている。「もちろん、いずれは背負いたい思いはありますが、背番号が何番でもやることは変わらない。自分の仕事は、任されたイニングをゼロに抑えるだけです」。
絶対的な信頼をつかむ春にする。仙台育英高で切磋琢磨してきた明大・
湯田統真を「ライバル」と公言し「神宮で投げ合いたい」と目を輝かせる。早大の正捕手は小学校時代からバッテリーを組んできた
尾形樹人(3年・仙台育英高)の起用が濃厚だ。高橋は気心の知れた司令塔とのコンビで、早稲田の主戦としての「覚悟」が芽生えている。
取材・文=岡本朋祐