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【大学野球】早大の145キロ右腕・安田虎汰郎はなぜ「練習の虫」と評価されるのか

 

相手校をリスペクト


日大三高時代は2023年夏の甲子園で2勝を挙げ、3回戦進出の原動力に。早大では毎試合、ブルペンで待機するタフネス右腕だ[写真=BBM]


 早稲田大学野球部は2月23日からアメリカ遠征を実施し、3月7日に帰国。羽田空港から那覇空港へ移動し、20日まで浦添でキャンプを張っている。4月11日に開幕(早大は18日の東大戦が開幕カード)する東京六大学リーグ戦に向けて、調整も本格化していく。

 岐阜聖徳学園大とのオープン戦(3月14日)で、9回のラストイニングを締めたのは右腕・安田虎汰郎(3年・日大三高)だった。二死から安打を許したものの、最後は一番・横山温大(1年・県岐阜商高)を二ゴロに抑えている(チームは13対1で勝利)。横山は生まれつき左手の指が欠損しているハンディを克服。昨夏の甲子園で躍動し、16年ぶりの4強進出に貢献した右翼手。攻守で全力プレーを貫く姿は、多くの人々の感動を呼んだ。安田は、この日の直接対決を心待ちにしていた。

「自分は高校野球ファンなので(苦笑)……。昨夏の甲子園もずっと、横山選手の活躍を見ていました。追い込んでから最後のボールは、チェンジアップ。空振りを取るつもりでしたが、うまくバットに当てられ、対応された。執念を感じました。対戦できて、光栄です」

 アメリカ遠征ではスタンフォード大とのオープン戦で先発。昨年10月のNPBドラフトでソフトバンクから1位指名を受けた佐々木麟太郎を2つの空振り三振に仕留めている。最も得意としているチェンジアップを多投。タイミングを外して、持ち味を発揮した。

「体が大きいですし、打席内では打ちそうなオーラがある。素晴らしいバッターでした」

チェンジアップに手応え


岐阜聖徳学園大とのオープン戦で、9回の1イニングを締めた。2年春に計測した自己最速を1キロ更新する145キロをマークした[写真=BBM]


 安田は1年春からリリーバーとして活躍してきたが、昨年1年間は春、秋を通じて本来の投球ができなかった。11月の新チームがスタートすると、目の色を変えて取り組んだ。

「誰よりも投げて、誰よりも走る」

 週500球をノルマとし、年明け以降も継続してきた。ブルペンでは低めにボールを集めることを意識。豊富な練習量は主将で左腕・香西一希(4年・九州国際大付高)と双璧である。「昨年は仮にあのピンチの場面を抑えていれば、チームを勝利へ導くことができた。もう、人に迷惑はかけられない」。言葉には危機感が漂う。

 この日のオープン戦では、自己最速を1キロ更新する145キロを計測。スピード表示以上にボールのキレがあるのも、日大三高時代から伝家の宝刀としてきたチェンジアップとの緩急が抜群だからだ。初見での攻略は相当難しいが、この2年、春、秋のリーグ戦で対戦校も目が慣れてきた。さらなる、研究も重ねてくる。安田は相手の対策を上回る、新たな球質を追い求め「場面によって、投げ分けることができている」と、確かな手応えを感じている。

「もう3年生。まだ3年生という見方もできる。やるべきこと、すべきことを一つずつこなし、リーグ戦開幕に向けて調子を上げていきたい。目標ですか? 天皇杯を奪還できれば、何でもいいです。与えられた場面を抑える。あえて挙げるならば、防御率0.00を目指します」

 浦添キャンプの名物メニューは、球場のレフト後方にある坂道&階段ダッシュだ。写真撮影に足を運ぶと、投手陣の中でもスピードは際立っていた。一度も緩めることなく、ものすごい勢いで駆け上がっていた。階段の頂上では疲れも見せず、涼しい顔。以前、早大・小宮山悟監督は言っていた。「やった者が勝つ。努力した者には、勝利の女神が微笑む」。練習の虫・安田は、まさしく早稲田のお手本である。

取材・文=岡本朋祐
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