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オープン戦で衝撃のアーチ 背水の陣の今季、覚醒が待たれる「中日のロマン砲」は

 

定位置獲りへアピール


今季こそ、長距離砲として羽ばたくことが期待される鵜飼


 開幕戦がスタートではない。外野の定位置獲りに向けてアピールを続ける選手が、中日鵜飼航丞だ。

 春季キャンプ中の実戦では25打数11安打の打率.440、2本塁打と打撃でアピールし、井上一樹監督からキャンプのMVPの一人として名前を挙げられた。「今まではフリー打撃で打てても実戦で打てないというのが続いていた。打席で間が取れるようになってきた。これからも、打席をもらったら結果を出せるように頑張ります」と手ごたえを口にしていたが、その言葉を3月のオープン戦でも体現する。

 8日の広島戦(マツダスタジアム)では8回一死三塁の好機で島内颯太郎のチェンジアップを左中間席に運ぶオープン戦第2号。右膝を地面に着くような態勢でタイミングを崩されたかに見えたが、下半身の粘りを生かして払ったようなスイングで振り切る衝撃の一発だった。「一番・左翼」でスタメン起用された14日の楽天戦(バンテリン)では初回に瀧中瞭太の高めに浮いたスライダーを振り抜き、左翼席に先頭打者アーチ。今までは緩急にもろさを見せていたが、2本のアーチがいずれも変化球だったことに大きな価値があった。

 規格外の飛距離は、昨年までチームメートで現役時代通算309本塁打をマークした中田翔が一目置くほど。だが、確実性が大きな課題だった。2024、25年と2年連続ノーアーチに終わり、背水の陣に。バットに当てるコンタクト率を高めなければ、首脳陣の信頼を勝ち取れない。プロ5年目の今年は一軍の春季キャンプメンバーに選ばれ、「ロマン砲」の卒業を宣言していた。

中日のレジェンド大砲


10年目の1996年に初の本塁打王に輝いた山崎


 名古屋市で生まれ育った鵜飼に中日ファンは特別な思いを抱く。かつて、地元の愛知県出身で球界を代表するスラッガーとして活躍した山崎武司は遅咲きだった。愛工大名電高からドラフト2位で入団し、定位置をつかんだのはプロ10年目の96年。39本塁打をマークしてタイトルを獲得すると、オリックスを経て楽天で07年に43本塁打、108打点で二冠王に輝いた。現役通算403本塁打をマークしたホームランアーチストは週刊ベースボールのインタビューで「本塁打の美学」について、以下のように語っていた。

「そりゃ『ヒットの延長がホームラン』ですよ。ホームランを打つことは簡単じゃない。ヒットは誰にでも打てるけどホームランは限られた人にしか打てないから。それだけ難しいんだよね」

「打ち損じの当たりが、どれだけホームランになるか。完璧な当たりなど年間を通してそうはない。『どうかな?』と思う打球が入るかどうかが大きな違い」

「(本塁打は)試合の流れを一発で変えることができるものだね。打ったあとにダイヤモンドを一周するでしょ。そのときにお客さんの注目が敵味方関係なく、自分だけに注がれる。そう思うと、鳥肌もんなんですよ。あの興奮を何度でも味わいたいがために狙っていたと言えるかも」

続けていくアピール


 鵜飼も本塁打を打つ稀有な才能を一軍の舞台で発揮できるか。中日は今年から本拠地・バンテリンドームにホームランウイングが新設されたことで本塁打が出やすくなり、野球のスタイルが変わる可能性がある。外野陣は岡林勇希細川成也上林誠知と定位置が固まっていたが、上林が17日のソフトバンク戦(みずほPayPay)で初回に二塁ゴロで一塁に駆け込む際に右足を痛めて途中交代した。開幕に間に合うか微妙な状況となったことで、熾烈な競争が繰り広げられる。ベテランの大島洋平ブライト健太オルランド・カリステとライバルは多いが負けられない。

 オープン戦は残り3試合。直近10打席連続無安打だが落ち込んでいる暇はない。「まずは左投手だったときに鵜飼を使わせたいと思うようなアピールを続けていきたい」。存在価値を証明するために毎打席が勝負だ。

写真=BBM
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