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森友哉2世…オープン戦の大活躍で期待高まる「阪神の秘密兵器」は

 

実戦で結果を残し支配下昇格


力強いバッティングスタイルを誇る捕手として、さらに成長曲線を描きたい


 強打の捕手は希少価値がある。オープン戦で攻守にアピールして育成から支配下に昇格し、新たなスタートを切ったのが、阪神嶋村麟士朗だ。

 豪快なフルスイングでコンタクト能力も高い打撃スタイルが、森友哉(オリックス)と重なる。オープン戦で活躍が際立った選手の一人が嶋村だった。「八番・捕手」でスタメン起用された3月6日のソフトバンク戦(甲子園)で猛打賞を放ち、開幕投手に内定した先発の村上頌樹を3回4奪三振と好リードで引っ張るなど強打の相手打線に完封勝利を飾った。8日の巨人戦(甲子園)では8回にフルカウントからドラフト2位右腕・田和廉のカットボールを右翼に運ぶアーチ。11日に支配下昇格が発表され、背番号が「128」から「85」に変わった。

大学中退から独立リーグへ


 タフな環境を乗り越えて、今がある。藤川球児監督の母校・高知商高を卒業後に福井工大に進学したが中退。地元の高知に戻り、高知ファイティングドッグスに入団して再出発した。初年度は公式戦に出場できない練習生のまま終わったが、広角に鋭い打球をはじき返す打撃と高い身体能力を武器に2年目からマスクをかぶり続けた。2024年は61試合出場で、打率.350、5本塁打、41打点、5盗塁を記録。得点圏打率.412はリーグトップの数字だった。

 高知に在籍した2年半で精神的にたくましくなった。長距離移動や連戦の疲労が日常の世界で、「周りのみんなの『絶対NPBに行ってやるぞ!』っていう気持ちとかも、僕にとってはすごい財産やし。これは多分、NPBに行っても忘れることないなと思いますね」とハングリー精神が培われた。負けが込んでいたホームゲームで、お客さんの声に強く心を揺さぶられる瞬間があった。「『次は頑張れよー!』とか『次は頼むぞー!』みたいな。罵声じゃなくて、励ましの声。試合が終わってスタンドに一礼するときに、勝たんといかんなあというか……。それがすごくジーンと来ましたね」。応援してもらうありがたさを肌身で感じた。

 地元選手として背負う期待は大きく、高知商高のOBから「絶対NPBに行ってくれよ!」とよく声を掛けられていた。育成ドラフト2位で阪神に指名されると、ホッとした表情を浮かべたのが印象的だった。友人たちからたくさんメッセージをもらい、「小学校のちっちゃいころから中学校、高校と、一緒に野球やってきたみんなに『おめでとう!』って言ってもらったのはうれしかったですね」と喜びを口にする一方で、自身の力を冷静に俯瞰して見ていた。

「一軍で活躍しよう、活躍しようっていうよりは、自分の能力を上げていくことを考えているので。そしたら、自ずと上には上がれるかなっていうふうに思います」

ここから始まる本当の戦い


 阪神には坂本誠志郎梅野隆太郎に加え、昨オフに日本ハムからトレードで伏見寅威が加入した。12球団屈指の捕手陣だが、3人の主力選手は年齢が30歳を超えている。次世代を担う捕手を育てるという意味で、嶋村にかかる期待は大きい。1年目の昨季はウエスタン・リーグで58試合出場し、打率.266、1本塁打、22打点をマーク。秋季キャンプを視察した藤川監督から高い評価を得ると、春季キャンプは宜野座組(一軍)でスタートし、藤川監督がMVPに選んだ9人のうちの1人として名前を挙げられた。

 オープン戦の活躍で支配下に昇格したが、正捕手奪取に向けてここから本当の戦いが始まる。22日のファーム・リーグ西地区のソフトバンク戦(タマスタ)で、5回に前田純のカーブを右翼へ叩き込む今季1号ソロ。守備では伊藤将司を5回2安打1失点と好リードした。前日の21日は大竹耕太郎とバッテリーを組んで6失点を喫したため、反省を生かして丁寧な配球で相手に的を絞らせなかった。

 攻守でまだまだレベルアップが必要だが、スケールの大きいプレースタイルは大きな可能性を抱かせる。シーズンでも本拠地・甲子園の大歓声を背に受けて輝く姿に期待したい。

写真=BBM
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