3人体制で迎えた開幕戦

ファームでは突出した成績を残す山瀬。あとは一軍でチャンスを得たときに自らの力を最大限に発揮するだけだ
開幕3連戦は出場機会がなかった。1勝1敗で迎えた3月29日の
阪神戦(東京ドーム)。
巨人は4点差を一度ひっくり返したが、8回と9回で計7失点と相手打線の勢いにのみ込まれる形で救援陣が崩れた。一塁ベンチでその光景をどのような心境で見つめていたか。虎視眈々と捕手の定位置を狙っているのが、プロ7年目の
山瀬慎之助だ。
今年の開幕一軍メンバーで、大きな反響を呼んだのがFA移籍2年目の
甲斐拓也が外れたことだった。正捕手として期待された昨年はシーズン途中から出場機会を減らし、
岸田行倫が
メインに。今年は横一線の競争となり、オープン戦の結果も踏まえて岸田、山瀬、
大城卓三の3人体制で開幕戦を迎えた。
攻守の総合力を考えると、今年から主将に就任した岸田が正捕手に最も近い存在であることは間違いない。ただ、他のポジションと違って1枠を巡る特殊な争いだ。首脳陣の信頼をつかめば、出場機会が一気に増える可能性がある。
甲斐の穴を埋めた海野
昨年に
ソフトバンクのリーグ連覇に貢献した
海野隆司は甲斐が巨人に移籍し、正捕手不在の状況で見事にチャンスをつかんだ。チーム最多の105試合でマスクをかぶり、
日本ハムと対戦したCSファイナルステージで6試合中5試合、阪神との日本シリーズは5試合すべてで先発出場した。
2025年のシーズン前に週刊ベースボールのインタビューで、以下のように語っていた。
「(甲斐が移籍したことで)チャンスがめちゃくちゃ増えるな! とは思いましたね。これまでも拓さん(甲斐)がレギュラーを確約されていない年もありましたし、競争は競争でしたが、どんなときも拓さんが絶対的な存在ではありました。やっぱり、キャッチャーは『信頼』が必要なポジション。それは選手、監督、コーチ、チーム全員を含めて、『コイツになら任せてもいい』というふうに思われないと務まらないポジションなんですよ。そういった意味では、やっぱり拓さんは別格。優勝、日本一も何度も経験していて、日本代表にも何度も選ばれて、そもそも経験、踏んできた場数も全然違います。実力うんぬんよりも、そこはどうやったって、どう頑張ったって追いつくことはできない。キャッチャーのポジションは1つしかないわけですし、その難しさはありましたね」
「今の時代に全試合に出るということは簡単なことではありませんし、自分の今の立場的にもそこを目指すよりは、まずは『100』試合、というところで。それを何年も続けたら、さらに上を目指せるんじゃないですかね。今はもう、とにかく必死こいて、どのキャッチャーよりも試合に出たいという、それだけです。もちろん、スタメンで出たいですよ。最初から最後まで(マスクを)かぶって勝つというのが、やっぱり一番。でも、まずは本当に、純粋に『100試合』です。途中から出るのも含めて、ですね。勝ちゲームで途中から出るということも、すごく信頼されていないといけないですから」
24年は51試合出場だったが、有言実行で100試合をクリア。5年ぶりの日本一を達成したことは大きな自信につながっただろう。
オープン戦でアピール
山瀬も一軍で活躍に向け、心身の準備は整っている。昨年はイースタン・リーグで100試合に出場し、打率.302、3本塁打、24打点の成績をマーク。強肩とインサイドワークに加え、課題の打撃でも成長の跡を見せて他球団から一目置かれる存在だった。今年も春季キャンプから攻守でアピール。オープン戦で9試合出場し、打率.308、出塁率.438の好成績を残して開幕一軍の切符をつかんだ。
先発陣はドラフト1位左腕・
竹丸和幸、3位左腕・
山城京平、助っ人右腕の
ハワード、
ウィットリー、
楽天からFAで加入した
則本昂大と新戦力が多い。捕手がどのように彼らの良さを引き出せるかが重要になる。山瀬は巡ってきたチャンスを生かせるか。今年は一軍の舞台で輝きを放つ。
写真=BBM