週刊ベースボールONLINE

第98回選抜高校野球大会

【センバツ】大阪桐蔭高・西谷監督はなぜ、甲子園優勝インタビューでENEOS・中野大虎の名前を上げたのか

 

毎日「日本一」を口に


ベンチで指揮する大阪桐蔭高・西谷監督。選手が動きやすいように指示した[写真=佐藤真一]


 第98回選抜高校野球大会の決勝が3月31日、阪神甲子園球場で行われ、大阪桐蔭高が4年ぶり5度目の頂点に立った。センバツの優勝回数は、東邦高(愛知)に並ぶ歴代最多タイ。春、夏を通じて10度目の全国優勝は11度を数える1位の中京大中京高(愛知)に次いで、史上2校目となる二ケタ到達だ。

 2万5000人の観衆が見つめる中、場内インタビューで大阪桐蔭高・西谷浩一監督は喜びを口にした。

「OBが9回優勝してくれていましたので、秋の大会が終わりまして、今年に入りまして、とにかく10回目の優勝しようということを、生意気なんですけども、毎日毎日それを子どもたちと話をして、なんとか今日達成できまして、本当にうれしく思っています」

 今回で10度目の決勝進出。負け知らずの10戦全勝である。「頂上決戦」での勝負強さについてはこう言及する。

「優勝と準優勝では全然違うということで、昨日話をしましたが、そんな話をしなくてもキャプテン(黒川虎雅)がしっかり話してくれていましたので、勝ちにこだわって優勝まで導いてくれたと思っています」

空白の1年を経て


大阪桐蔭高の主将・黒川は紫紺の大優勝旗を手にした[写真=毛受亮介]


 大阪桐蔭高は2025年、甲子園の土を踏むことができなかった。春・夏とも甲子園出場を逃したのは19年以来(20年春はコロナ禍でセンバツ大会中止も、出場回数に含まれる)だった。西谷監督が初めて指揮した2002年夏以降、年間を通じて甲子園を逃したのは03、09、11、19、25年。激戦区・大阪、近畿にあって驚異的な実績である。常連校としてみれば、昨年は異例となる空白の1年だったのである。

「昨年、前キャプテン中野(大虎、ENEOS)を中心にいいチームを作ってくれましたが、ここにたどり着けず、本当に苦しい1年でしたが、『2年分の思いを持ってやろう』ということで今日やりましたので、卒業生に報告ができること、本当にうれしく思っています」

 前主将の個人名を上げるほど、西谷監督は旧チームにも愛着を持っていた。背番号「1」を着けるエースでもあった中野は、姿勢と発信力でけん引する理想のチームリーダーだった。取材時の受け答えもしっかりしており、思いやりがある人柄。一度、接した人がある関係者は誰もが「応援したくなる選手」。野球部員、高校生として、模範的な生徒だった。

 自己管理もできる。証明したのは今年3月、加入後初の公式戦となるJABA東京スポニチ大会での社会人デビューだ。高卒新人が、このシーズンインに合わせてくるのは超異例。昨夏の大阪大会決勝敗退後、後輩の練習を手伝いながら、自身も休まずにレベルアップに努めた。大阪桐蔭高の活動拠点である、生駒の山での鍛錬が中野のベースになっている。

 中野の背中を見てきた後輩たちが「2年分の思い」をプレーにぶつけ、春日本一に立った。影響を受けた主将・黒川は、中野の分身のようである。身を粉にしてチームを引っ張った。

 心の底から喜ぶのは3月31日まで、である。新学年が始まる4月1日からは、夏に向けてリスタートする。西谷監督は力を込めた。

「春を見越した、夏を見越した春というのではなく、この春の大会をということでやってきました。今日、いい結果で終わりましたので、もう一度みんなで話をして、明日から夏に勝負をかけていきたいと思っています」

 黒川主将もお立ち台で宣言した。

「(春夏連覇は)簡単じゃないんですけども、やっぱりもう一度、夏の甲子園で帰ってきて日本取りたいと思います」

 大阪桐蔭高の野球部の部訓は「一球同心」。12、18年に続く同校3度目となる春夏連覇へ、西谷監督以下、選手たちは足を止めることはしない。
週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部が今注目の選手、出来事をお届け

関連情報

みんなのコメント

  • 新着順
  • いいね順

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング