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「FAに匹敵の補強」 開幕カードから輝き放った「阪神の新戦力」は

 

移籍後デビュー戦で好リード


開幕2戦目の巨人戦で高橋[左]を完封勝利に導いた伏見


 宿敵・巨人相手の開幕戦で黒星スタートを喫した阪神。流れを変えたのは、開幕2戦目に「七番・捕手」で移籍後デビュー戦を飾った伏見寅威だった。

 高橋遥人とバッテリーを組み、序盤から内角を果敢に突いた。直球を見せ球にツーシーム、スライダーで凡打の山を築く。開幕戦で来日初アーチを放った四番の新外国人のボビー・ダルベックも完璧に封じ込んだ。2回に外角低めのツーシームで見逃し三振、5回は内角高めの直球で空振り三振。2点リードの9回一死一、二塁のピンチではツーシームで三ゴロに仕留めた。二死二、三塁と一打同点の場面でも冷静だった。左投手に強い岸田行倫をツーシームで空振り三振に抑え、完封勝利と最高の結果で応えた。

北海道で3年プレー


 昨オフに阪神が敢行した驚きの補強が、伏見のトレード獲得だった。坂本誠志郎梅野隆太郎と主戦捕手が二人いるが、さらなるバッテリー強化に向けて経験豊富なベテランを獲得。「FAに匹敵する補強」と形容されたが、決して言い過ぎではない。オリックス時代の2021年にリーグ優勝、22年の日本一に大きく貢献すると、同年オフに日本ハムへFA移籍。「プロに入った時点で、地元への特別な気持ちは勝手に持っていました。FA権を今年(22年に)取得できるかもと思ったときには少し勝手に……ですけど、意識はしていました」。幼少期を過ごした江別市の隣にある北広島市にある新本拠地のエスコンフィールド北海道で第2の野球人生がスタートした。

 日本ハムが24、25年と2年連続2位に躍進した要因として、伏見の存在が大きかった。配球の妙で相手打者を翻弄し、投手の些細な変化に気付いて声を掛ける。ベンチで試合を見ているときも常に周囲に目を配っていた。昨年8勝2敗、防御率2.09と先発ローテーションで頭角を現した達孝太は、伏見とバッテリーを組んで7勝を挙げている。

 出場機会を減らして阪神のトレード移籍が決まった後に、日本ハムのファン感謝イベントに参加。達とのトークショーで「僕が成績を残せたのも、寅威さんがいなかったら全然できてなかったと思う」と感謝を告げられ、「ダルビッシュ(ダルビッシュ有)さんだったり、大谷(大谷翔平)君だったりを超える存在になってほしい」とエールを送った。地元の北海道でプレーした3年間は特別な思いがある。温かい声援を送ってくれたファンに向けてのメッセージを求められると、「本当にいい思い出です。本当に……ありがとうございました」と涙に声を詰まらせた。

「キャッチャーの成績は意識しない」


 キャリア3球団目の阪神は「投手王国」として知られる。村上頌樹才木浩人、高橋、伊藤将司伊原陵人大竹耕太郎に加えて助っ人左腕のイーストン・ルーカスが加入した。それぞれの個性がある投手をどうリードするか、腕の見せどころだ。伏見は13年のプロ野球人生で100試合以上出場したシーズンが一度もない。オリックスのときは若月健矢、日本ハムでは田宮裕涼と併用されていた。自身の置かれた立場を意識し、心掛けていたことがある。週刊ベースボールのインタビューで以下のように明かしていた。

「キャッチャーを固定しない理由として、それぞれのキャッチャーの色を出して、攻め方を少し変えるという戦略的なところもあると思っています。なので、共有するところはしてもいいと思いますけど、あまり話し合い過ぎると似たようなリードになってしまうので、そこまで綿密に情報共有はしないですね」

「キャッチャーの成績はそれほど意識しないですね。目立つところでは盗塁阻止率などがありますが、今は低いのであまり言えないんですけど、それは投手との共同作業なので一緒に高めていければいいなと思います。あと、絶対したくないのは捕逸ですかね」

 魅力は守備だけではない。広角に長打を打つパンチ力があり、バスターやエンドランへの対応能力が高い。下位打線の中でポイントゲッターになれば得点力が上がる。攻守両面にかかる期待は非常に大きい。球団初のリーグ連覇へ。35歳のベテランの新たな挑戦が始まった。

写真=BBM
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