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【東都大学】帝京平成大が初陣の東都二部リーグ戦で目指す「きちっとした野球」とは何か

 

対戦5校から1勝の意図


就任4年目の帝京平成大・原監督はオープニングレセプションで抱負を語った[写真=BBM]


 帝京平成大は2026年春、東都大学リーグで新たな足跡を刻む。千葉県大学野球連盟から22年に東都大学野球連盟に新加盟。22年春の四部リーグからスタートし、三部リーグ昇格を経て昨秋、国士舘大との二部三部入れ替え戦で2連勝し、初の二部リーグ昇格を決めた。22年秋、24年秋から数えて「3度目の正直」。ついに、一部リーグ昇格に挑戦できる権利を得たのである。

 東都大学春季リーグ戦のオープニングレセプションが4月3日、東京都内で行われた。一部6校の監督、選手代表者、二部6校の監督が集まり、春のリーグ戦への抱負を語った。

 初めて臨む二部リーグ戦開幕(対日大)を4月7日に控え、23年春からチームを指揮する原克隆監督は壇上で抱負を述べた。

「東都に加盟して5年目になります。私は監督就任4年目で、今年の4年生が私と一緒に入った学年です。私の教えで4学年そろうことになりましたので、その機会に二部に初めて上がることができました。まずは全チームから1勝を挙げることを目標に、その先の優勝を目指して頑張っていきたいと思います」

 対戦する5校から1勝。その意図を聞いた。

「大きなことは言えませんので、まずは1勝しないと、(勝ち点奪取の)2勝目もないので、まずは、対戦カードの1戦目を取れるようにということです。個々の能力で勝負するのではなく、どうやって全員で向かっていくことがカギになります。なかなか二部で勝つというのは難しいので、まずは1勝です」

 エース級の投手と対戦する1回戦で先勝することが、チーム力をアップさせる過程で必要であると考える。いよいよ始まる帝京平成大としての歴史的なシーズンだ。

「もうワクワクしていますよ。私自身が地方出身なので、中央球界である東都の強豪校と対戦できることが、ものすごくワクワクしているんです。しかも、二部は我々が学生の頃は一部のチームばかりなんです。こうして皆さんと顔を合わせ『やってやるぞ』という気持ちになりますよね。学生も、やる気に満ちているので、それがちょっと空回りしないように、うまく手綱を締めていけたらなと思います」

 原監督は県岐阜商高、東北福祉大、昭和コンクリートでプレー。指導者としては中部学院大を率いて野間峻祥床田寛樹(ともに広島)をプロへ輩出するなど、育成力に長けている。全国舞台においても実績を積み、帝京平成大でも熱血指導で成果を上げている。

2年目のダブルキャプテン制


 投打のキーマンを聞いた。まずは打線だ。

「攻撃陣は一番で主将・伊東(伊東洸佑、4年・静清高)と四番・ショートの木戸脇(木戸脇海晴、3年・美濃加茂高)です。この2人が今チームをすごく引っ張ってくれていまして、昨年からキャッチャーの井田(井田駿吾、4年・桐生第一高)と伊東のダブルキャプテン制を敷いています。昨年は井田が背番号『1』を着けて、今年は伊東が『1』。今年もダブルキャプテンで行きますので、この3人がキーになると思います」

 3年生W主将の背景を明かす。

「昨年は4年生が誰もベンチ入ってないんです。10人残ったんですが皆、学生コーチ、学生トレーナーとしてチームに尽力してくれました。メンバーは昨秋と変わってないです。そのままごっそり残っているという強みがある一方で、対戦のチーム、レベルも違いますから、かなり厳しい戦いを想定しています」

 次に投手のキーマンである。

「投手陣は亀田(亀田大貴、4年・東海大市原望洋高)を中心に、下級生のピッチャーも台頭し、順調に枚数も増えてきたので、スクランブル登板になると思います。先発で完投できるピッチャーはいないので、1人1イニングでもつぎ込んでいくスタイルになります。11、12人ぐらいをゲームごとに入れ替えながら、ベンチ入りの7、8人で1試合を回していく継投策になります。相手打者の目先を変える。それぐらいでないと、おそらく、ウチのピッチャー陣では抑えきれないと思います」

学校、指導者、選手、スタッフが一枚岩


 勝負に挑む以上、結果を追い求めていくのは当然である。だが、もう一方で、原監督は学生野球の精神を説く。東北福祉大時代に伊藤義博監督から学んだ「心の野球」である。

「帝京平成大学野球部が東都でプレーしていることは、まだ全国には知られていません。高校生もまだ、選ぶ大学にはなってないわけです。今回、露出される機会が増える東都二部で、恥ずかしい試合はできません。ここで、しっかりとした野球をやる。結果は監督が責任を取るわけですから、勝とうが負けようが関係ないので、学生には『きちっとやれ』と言っています。『きちっと』とは何かと言えば、相手をリスペクトするとか、イニングの交代間の全力疾走とか、細かい所作に気を配ることです。これは、学生たちのほうで決めてやっているんです。何が言いたいのかと言えば『あそこに負けたらしゃあない』と思わせる、そういうチームを目指そうというところです」

 23年の就任時から一つひとつ積み上げてきた。かつては専用グラウンドがなかったが、昨年11月に待望の新球場「THU BALL PARK」が完成した。両翼97.5メートル、中遠120メートルの全面人工芝という恵まれた環境下で、原監督イズムがチームに浸透している。

「徐々に変えてきました。一気にやるとやはり、反発を買いますので……(苦笑)。ウチはもう東都の一部二部を通じて唯一、寮がない野球部なんです。そういう中で、彼らは自炊しながら、本当にきちっとやる学生たちが多いので、自立した集団だと思っています」

 原監督は選手3人のキーマンを挙げたが、頼もしいマネジャーがチームを支えていることを忘れてはならない。主務の吉澤昂(4年・大阪桐蔭高)だ。高校3年春のセンバツでは背番号「18」を着けた優勝メンバーの副将。だが、夏の甲子園ではメンバーから外れた。選手の無念はあったが、記録員としてナインを鼓舞し続け、同校野球部の部訓である「一球同心」の象徴だった。帝京平成大でも、人のために汗をかく姿勢は不変である。裏方の充実こそ、学生野球の運営には欠かせない。学校、指導者、選手、スタッフが一枚岩となり、東都二部初陣での快進撃を固く誓う。

取材・文=岡本朋祐
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