9試合を終えて7勝2敗

今季から新たにヤクルトを率いている池山監督
ヤクルトが強い。4月7日の
阪神戦(甲子園)は3対9で敗れたが、9試合を終えて7勝2敗。戦前は下位に予想する超えが多かったが、下馬評を覆す開幕ダッシュを見せている。
昨年は借金22で5年ぶりの最下位に低迷。主砲の
村上宗隆がオフにホワイトソックスへ移籍したことで打線の破壊力が落ちることが懸念されていた。だが、
池山隆寛新監督は常に前向きだった。春季キャンプでは選手たちと積極的にコミュニケーションを取る姿が。野球評論家の
伊原春樹氏は週刊ベースボールのコラムで振り返っている。
「圧倒的な存在感を誇る四番(村上宗隆)がラインアップから名前が消えることになるが、池山隆寛新監督に悲壮感はまったくなかった。もともと明るく、ポジティブな性格ということもあるが、四番不在について尋ねると『
オスナになるか、
サンタナになるのか。まあ、誰かがやってくれますよ!』と笑顔。ちょうど、池山監督と話しているとき、
内山壮真がフリーバッティングを行っていたが、そちらへ目をやると『ここにもいますよ、四番候補が!』と声を張り上げていた」
切れ目のない打線
順風満帆なスタートだったわけではない。中心選手として期待された内山、復活を期す
山田哲人、ドラフト1位の即戦力内野手・
松下歩叶が故障で春季キャンプ中に離脱。開幕に間に合わなかったが、二軍監督を計7年間務めた指揮官は若手を競争させながら、戦力を見極めていた。「打ち勝つ野球」の神髄は奥深い。シーズンがスタートすると、俊足巧打に定評がある
岩田幸宏を五番で起用。走者を置いた場面で機動力のある岩田を据えることで作戦の幅が広がる。八番に投手を据えて、九番は
武岡龍世。一番・
長岡秀樹、二番・サンタナの前に好機を作ることで切れ目のない打線にするのが狙いだった。
この打線が劇的なドラマを起こす。4月5日の
中日戦(神宮)。6回を終えて0対5とリードされ、相手右腕の
高橋宏斗に抑え込まれていた。敗色濃厚とみられる試合展開だったが、7回に一気に試合をひっくり返す。先頭打者の岩田が右中間に二塁打で出塁すると、敵失も絡んで
伊藤琉偉の右前適時打で1点を返した。さらに無死満塁と好機を広げると、武岡が8球粘った末に押し出し四球。高橋宏をマウンドから引きずり下ろすと、勢いが止まらない。相手の暴投と長岡の2点右前適時打で同点に追いつき、サンタナがバックスクリーンに勝ち越しの3号2ラン。一挙7得点の猛攻で鮮やかな逆転勝利を飾った。
「元気・対話・笑顔」がテーマ

池山監督を中心に常にベンチも盛り上がり選手を後押ししている
指揮官は「元気・対話・笑顔」をテーマに掲げる。この言葉に込められた意味は自身の指導哲学に基づいている。週刊ベースボールのインタビューで以下のように語っていた。
「二軍監督に就任して1年目、2年目はうまくいかないことが多くて、コーチに詰め寄ったこともありました。そこで痛感したのが対話の重要性。監督がコーチと対話をし、コーチが選手と対話をする。今の時代はなおさら、対話の大切さが増していますよね。選手のヤル気を促すためにも、それは一軍監督になっても変わらずに大切にしたい」
「そして、何よりも大事なのは元気でいること。元気があればチームも活気づくし、勢いもつく。そうすれば自然に笑顔になる。笑顔でいればいい流れもやってくるし、何かが変わるはず。いつもいいときばかりではないからこそ、元気で笑顔でいることを心掛けていたいですね」
シーズンはまだ始まったばかり。これから試練が訪れる時期が必ず来るだろう。だが、辛い時こそ希望を持ち続けなければ勝利の女神が振り向いてくれないことを、池山監督は肌身で感じている。
「ここ数年はファンの方にとってもつらいシーズンだったけど、ここが踏ん張りどころ。ファンの方と一緒に神宮で戦っていきたいです。僕らも一生懸命戦うので、ぜひ声援で流れを変えていただけるような熱い応援を期待しています!」
新生池山スワローズが、セ・リーグに新しい風を吹かせる。
写真=BBM