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高校野球リポート 春季神奈川県大会

【高校野球】桐蔭学園高・小倉監督が恩師である星槎国際湘南高・土屋監督から得た学びとは

 

初の師弟対決


星槎国際湘南高・土屋監督は試合前、桐蔭学園高・小倉監督からの挨拶に応える[写真=BBM]


4月11日(3回戦)
桐蔭学園高 6-5 星槎国際湘南高

 2025年10月に母校・桐蔭学園高の指揮官に就任した小倉丞太郎監督。自らが采配を振る初の公式戦となった今春の神奈川県大会は地区予選を順当に勝ち抜き、上溝南高との初戦(2回戦)は10対0で5回コールド勝利。そして、4月11日にいせはらサンシャインスタジアムで行われた3回戦は、かつて桐蔭学園高を指揮した土屋恵三郎監督率いる星槎国際湘南高との対戦。23年秋の2回戦(8対0で桐蔭学園高が勝利)、昨秋の2回戦(4対0で桐蔭学園高が勝利)に続く顔合わせだが、小倉監督にとっては初の「師弟対決」となった。

 小倉監督は現役時代、投手として活躍し、桐蔭学園高ではエースとして3年時の1994年春にセンバツに出場(1回戦敗退)。当時、桐蔭学園高を指揮していたのが土屋監督だった。

 土屋監督は捕手として1971年夏に桐蔭学園高として甲子園初出場を果たし、捕手として初陣初優勝の偉業に貢献。82年秋から母校の監督に就任すると、88年春の4強など春5回、夏5回、計10回の甲子園出場へと導く手腕を発揮した。また、高橋由伸(元巨人)をはじめのちにプロ野球選手となる多くの人材を育成し、まさに名将の名にふさわしい実績を残してきた。

 2013年夏を最後に母校の監督を勇退したが、14年に星槎グループのスポーツ振興室長として加わり、15年1月より星槎国際湘南高の監督を務めている。

 小倉氏は高校卒業後、東京学芸大、朝日生命、日立製作所でプレー。現役引退後、土屋監督から声を掛けられて母校の指導者となり、コーチ、部長を歴任してきた。昨秋に監督に就任し、そして早くも今春、恩師と相まみえることとなった。

 試合は星槎国際湘南が1回表に2点を先制し主導権を握る。しかし、桐蔭学園は4回裏に同点に追いつくと、5回裏に勝ち越しに成功。星槎国際湘南は6回に同点とするも桐蔭学園は7回に再び勝ち越し、1点リードで逃げ切った。

「改めて同じ野球をやっている」


桐蔭学園高・小倉監督は昨年10月から母校を指揮している[写真=BBM]


 夏のシード権を手にした小倉監督は試合後に語った。

「前半はウチとしてはちょっとゲームのペースがつかめない流れだったのですが、その中で1回踏ん張ってまた戻してっていうところで、これまではグダグダしたところから結構崩れていっていたので、たくましくなったなと思って見ていました」

 自らの礎となった恩師との対戦を「(土屋監督から)学んできたので、改めて同じ野球をやっているなと思いながら。こういうピッチャーが来たらこうやって崩しますよね、点が取れない中ではこうやって点を取りますよねというのを、確認というか会話のように感じてやっていました。選手たちは全然関係ないんですけど、僕だけは試されているなと感じながら、『今、僕はこんなふうに野球を見ています』と伝えられたらいいなとひそかに思っていました」と振り返った。

 大きな関門を越えて春の優勝を目指していくが、やはり真価は夏に問われる。「神奈川県の全部のチームがおそらく『打倒・横浜』というワードを掲げていると思うので、まずそこにチャレンジできる挑戦権を得て、その時のための奥の手を作るために頑張っていきたいと思います」。

神奈川は全国屈指の激戦区


桐蔭学園高・小倉監督のノックを三塁側ベンチで見つめる星槎国際湘南高・土屋監督[写真=BBM]


 敗れた土屋監督は教え子が指揮する姿に「やっぱり母校には自力をもっともっとつけてほしい」とエールを送りながらも、「ウチは負けたくなかったから」と悔しさをにじませた。

 今春、星槎国際湘南でベンチ入りした人数は登録枠25人の中で20人。これは、新加入の1年生を除く全部員の人数だった。桐蔭学園高とは規模も、歴史の長さも大きく異なる。それでも同校に0対4で完封負けした昨秋から、5対6とこの春は1点差の接戦を演じるまでに至った。秋から春の伸びしろを思えば、名将の手腕の下で春から夏にかけての成長にも期待ができる。

 両校の指揮官に期待されているのは神奈川制覇、そして甲子園切符の獲得だ。全国屈指の激戦区での頂点への道のりは険しいものだが、その道程で2度目の「師弟対決」が繰り広げられるかもしれない。

取材・文=佐野知香
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