週刊ベースボールONLINE

高校野球リポート 春季神奈川県大会

【高校野球】慶應義塾高が法政二高との伝統校対決で攻め続けた理由

 

シード校を撃破


慶應義塾高の応援席では得点のたびに「若き血」の大合唱で盛り上がった[写真=BBM]


4月11日(3回戦)
慶應義塾高7-3法政二高

 一塁側はオレンジ、三塁側は青と赤の2色を3段に配した三色旗による横断幕が掲げられ、華やかな応援が繰り広げられた。伝統校対決。相模原ギオンベースボールパークは東京六大学野球が開催される神宮球場さながらの光景が見られた。

 慶應義塾高が昨秋の準優勝校でシード校・法政二高を7対3で下し、4回戦進出。16強進出を決め、夏のシード権(第3シード)を手にした。

 慶應義塾高・森林貴彦監督は「とりあえず、最近はこういうところでいつも負けていたので、勝ってまた財産にしたいと思います」と安堵した。慶應義塾高は2023年夏に107年ぶり2度目の全国制覇。以降、第2シードだった24年夏は神奈川大会5回戦敗退、ノーシードで迎えた25年夏は同4回戦敗退、昨秋は県大会初戦(2回戦)で武相高に敗退していた。この春はシード校を撃破し、一つの山を越えたのである。

「大谷ルール」を有効活用


法政二高の応援スタンドもオレンジに染まった[写真=BBM]


 大一番。この日の慶應義塾高は、ゲームの入りからエンジン全開だった。1回裏に先制点を奪い、主導権を握ると、5回裏には「大谷ルール」で二番・DHに入った湯本琢心(2年)が無死一、三塁から3ラン。バントの構えから、強攻策に切り替えるバスターでの一発だった。湯本は5回無失点で降板してDHに専念。6回表からは背番号1の右腕・大村哲誠(3年)が救援も3失点で1点差とされるが、慶應義塾高はその裏に2点を加点し、流れを渡さなかった。8回裏にも湯本の適時打でリード4点に広げ、大村が法政二高の反撃を封じた。

「ウチも春、冬から春にかけて、どれだけ速い球をはじき返せるかっていうのは、いろいろな相手と練習試合しながらやってきました。この春の総決算という形で今日は臨もうというつもりでやっていました。ある程度は対応してくれたかなと思います。バッターも自信になると思います」(森林監督)

 この一戦にかけていた。

「ウチがチャレンジャーの立場で、シード校、昨年関東大会まで行った法政二高さん、それから松田(早太)君といういいピッチャーにチャレンジする立場なので、この試合にすべてをぶつけるというつもりで、序盤から出し惜しみなしで、作戦面もそうですし、タイムの取り方とかも含めてやっていくようにしました」

 森林監督は「さい配」で攻めた。指揮官の思いが、選手に乗り移った。背番号9で投打の柱である湯本を5回で降板させた理由を語った。今春から導入されたDH制の妙である。

「湯本はまだ下級生で、1試合を投げ切る体力はないので、どこかで継投は考えていました。ピッチャーを他に戻す場合もあったので、DHで残しておいて、もう1回、ライトで入るという可能性があったので『先発投手兼DH』(大谷ルール)という形でやりました。この試合に関しては(湯本の)再登板はもう考えてなかったので、そういう形でいきました。夏は打てるピッチャーで再登板もあるとなると、DHを使わないケースもある。夏までのいろいろな試合で試していくしかないかなと思います。今日は一つの形ができたかなと思います」

充実の1週間


慶應義塾高・森林監督は一つの山を越え、安堵の表情を見せた[写真=BBM]


 4回戦では昨春のセンバツ21世紀枠で出場した公立の雄・横浜清陵高と対戦する。春の県大会は原則、土曜日開催(準々決勝は土、日曜日の2日開催。準決勝、決勝は連戦)で、次戦までに中6日あり、森林監督は「感謝」を口にする。

「何とかシードを取って、また勢いをつけていきたいと思っていました。公式戦で勝ち上がるというのが、チームにとって最大の財産。このチームで秋は早く負けていますから公式戦経験がないので、彼らは今日もドキドキしながらやっていました。ここで勝って、4回戦までに1週間あって、次できるというのは、ありがたい1週間をいただいたなと思います」

「最後の夏」というムードを


法政二高は3回戦敗退。夏の神奈川大会はノーシードで迎える[写真=BBM]


 一方、法政二高は無念の敗退となった。昨秋は33年ぶりの関東大会進出で「古豪復活」の機運を高めたが、夏はノーシードでの再出発となる。

 高校通算7本塁打の四番・榑松正悟(3年)は試合後に語った。

「秋は準優勝したんですけど、それは一旦なしにして、という感じで春から取り組んできたので、後ろから追いかけられているというプレッシャーであったり、そういう圧というのは感じてはいないです。今日の試合は総力戦だったんですけど、慶應さんに力負けしたというか、個々の差というところで結構大きいところが見られたので、そこを埋めるためにも、夏に向けて個人の力もそうですけど、チーム力というところを上げていかなきゃと思います」

 母校を指揮する絹田史郎監督は「多くの課題が出た。現実を受け止め、秋同様、下から這い上がっていきたい。常日頃の練習から見直す必要があると見ています。3年生を中心に『最後の夏』というムードを、グラウンドからつくっていきたい」と巻き返しを誓った。振り返れば昨夏もノーシード。1回戦から4試合を勝ち上がり、力をつけていった。「中継、気合、ダッシュ」。法政二高の伝統であるグラウンド三原則の基本にもう一度、立ち返る良い機会である。

取材・文=岡本朋祐
週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部が今注目の選手、出来事をお届け

関連情報

みんなのコメント

  • 新着順
  • いいね順

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング