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開幕二軍スタートも殊勲打連発 殻を破ってほしい「阪神の天才打者」は

 

今季初安打は値千金の一打


一軍昇格後、勝負強いバッティングを見せている前川


「絶対に打つ」という執念が打席から伝わってくる。阪神で効果的な一打が光る選手が、プロ5年目の前川右京だ。

 今年はオープン戦で打率.250、1本塁打と強烈なインパクトを与える活躍には至らず、開幕二軍スタートに。だが、ここからはい上がる。4月7日に一軍昇格すると、10日の中日戦(バンテリン)で1点差に迫った9回二死一、三塁で、相手守護神・松山晋也が初球に投じたフォークを振り抜き、強烈な打球は右翼線を破る適時二塁打。敵失も絡んで逆転に成功し、塁上でガッツポーズを繰り返した。三重県津市出身。幼少時からバンテリンドームは身近な球場だった。今季初安打が値千金の一打になり、「お父さんとおばあちゃんも来ていたので、本当にいいヒットを見せられたと思います」とお立ち台で声を弾ませていた。

激戦区の左翼定位置争い


 阪神の左翼は定位置争いの激戦区だ。開幕から16試合を終えて、中川勇斗高寺望夢福島圭音、前川と4人の選手が先発で起用されている。さらに、左手首の関節炎から実戦復帰したドラフト1位の立石正広も本職は内野だが、出場機会を増やすために左翼でファームの試合に出場している。

4月14日の巨人戦では7回に1点差に迫る適時打を放った


 前川が首脳陣の信頼をつかむためには結果でアピールするしかない。12日の中日戦(バンテリン)で高橋宏斗から2安打を放つと、14日の巨人戦(甲子園)では、2点差を追いかける7回一死一、三塁で左腕・北浦竜次のツーシームを右前にはじき返す適時打。この一打が試合の流れを変えて一挙3点を奪った。試合終盤に逆転を許して敗れたが、2試合連続マルチ安打をマーク。七番で起用されているが、クリーンアップを担う森下翔太佐藤輝明大山悠輔の出塁率が高いため、好機で回ってくる打席が多い。下位打線でポイントゲッターとして稼働すれば、チームに大きなプラスアルファをもたらす。

 2024年に自己最多の116試合に出場して打率.269、4本塁打、42打点をマーク。DeNAでプレーしたサイ・ヤング賞右腕のトレバー・バウアーが印象に残る選手として前川の名前を挙げるなど、天才的な打撃センスで大きな期待を抱かせた。だが、昨年は69試合出場にとどまり、打率.246、1本塁打、15打点。好不調の波が激しく、打撃フォームで試行錯誤を重ねた。チームは圧倒的な強さで2年ぶりのリーグ優勝を飾ったが、悔しさのほうが大きかった。

前監督は「飛躍を期待」


 阪神の前監督で野球評論家の岡田彰布氏は前川について、今年1月に週刊ベースボールのコラムで以下のように語っていた。

「『野球人生のターニングポイント』。そうなるのではないか、と考える選手がいる。その筆頭が前川(前川右京)よ。昨年、オレは前川の飛躍を期待し、可能性は十分にあると思っていた。ところがシーズンが始まると、まったく結果が伴わない。そらそうよ。見るたびに打撃フォームが変わっているんやから。オレは前川にタイミングの取り方を伝えたことがある。ほかにもいろいろなアドバイスを受けたんやろな。聞くものすべて取り入れようとしたのか、それがバッティングフォームのバラつきに出ていたわ」

「自分のしっかりした考え方というのがないんかな。打撃は大きく狂うと元に戻すには相当な時間がかかる。前川は迷いに迷ってシーズンを終えたんやろね。昨年はうまくいけばレギュラーを獲れるチャンスやっただけに、ベンチの評価は大きく下がったと思うわ。だから今年よ。ますます左翼のポジション争いは厳しくなっているけど、まずは打つことでアピールすること。中距離打者として、安定感のあるバッティングを目指す。これができるかどうか。それこそ前川にとって今後を決めるシーズンになると言える」

 球界を代表する強打者になる可能性を秘めていることは間違いない。今年は中心選手の一人として球団史上初の連覇に貢献し、心から喜べるシーズンにできるか。

写真=BBM
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