週刊ベースボールONLINE

HOT TOPIC

最下位の中日で希望の光 好投続ける根尾昂の「お手本になる存在」は

 

念願のプロ初勝利をマーク


一軍昇格後、5試合連続無失点とリリーフで奮闘している根尾


 中日が開幕16試合を終えて4勝12敗。故障者が続出して最下位に沈む苦しい状況だが、明るい材料もある。救援で5試合連続無失点と奮闘している根尾昂だ。

 プロ8年目の今年は開幕二軍スタートだったが、開幕戦で登板したアルベルト・アブレウがぎっくり腰で登録抹消されたことに伴い、3月28日に一軍昇格。4月4日のヤクルト戦(神宮)で2回無失点に抑えると、8日のDeNA戦(横浜)が野球人生の忘れられない日になった。

 同点の延長10回に六番手で登板。キレ味鋭いスライダーがさえわたる。先頭打者の蛯名達夫を空振り三振に仕留めると、石上泰輝は遊飛に。大阪桐蔭高の後輩でもある代打・松尾汐恩も空振り三振と三者凡退の快投でリズムを作り、延長11回に打線が2点を勝ち越し。その裏に今季初登板となった守護神の松山晋也が二死二、三塁のピンチをしのぎ、根尾にプロ初白星がついた。試合後のお立ち台では「いつか来るとは思っていたんですが、最高の気分です。井上(井上一樹)監督に『あっ、初勝利やったんか』と言われて『僕もさっき知りました』という会話をしていました」と語った。

プロ入り後の紆余曲折を経て


 大阪桐蔭高時代は甲子園に4度出場し、投打の二刀流で2017年春のセンバツ優勝、18年の春夏連覇の原動力に。ドラフト1位で4球団から指名を受け、地元の岐阜県に近い中日に入団した。プロ入り後は球界を代表する遊撃手として飛躍が期待されたが、その後の歩みは試練の連続だった。一軍に定着できないシーズンが続き、22年のシーズン途中に立浪和義前監督と話し合った上で投打の二刀流でプレー。翌23年から投手に専念したが、投球フォームで試行錯誤して制球の不安が解消されないことから、ファームで過ごす時間が長かった。

 紆余曲折を経て、プロ8年目でつかんだ記念の白星。根尾は試合後に笑顔を浮かべる一方で冷静だった。自身の置かれた立場を考えると、感傷に浸っている時間はない。首脳陣の信頼を勝ち取るために結果を残し続ける。15日の広島戦(バンテリン)では7回から登板し、先頭打者の佐々木泰に中前打を打たれ、二死二塁のピンチを背負ったが、大盛穂をフォークでゴロに仕留めた。今季5試合連続無失点と与えられた役割をまっとうしている。

「行けと言われたら行く」


 セットアッパーの清水達也が腰痛で戦列を離れており、アブレウ、橋本侑樹が故障で登録抹消。勝野昌慶梅野雄吾も結果を残せずファーム降格と救援陣の台所事情は苦しい。日本ハムから杉浦稔大を金銭トレードで獲得したが、生え抜きの台頭なくして巻き返しは望めない。

 プロ初勝利を挙げた根尾に祝福のメッセージを送った中日OBの祖父江大輔は、お手本になるキャリアだ。昨年限りで現役引退するまでのプロ12年間で通算510試合に登板し、17勝27敗12セーブ136ホールド、防御率3.04をマーク。20年に54試合登板して2勝0敗3セーブ28ホールド、防御率1.79で、最優秀中継ぎ投手のタイトルを獲得した。地元名古屋出身でファンから愛されていた右腕は現役時代について、週刊ベースボールのインタビューで以下のように振り返っている。

「行けと言われたら行く。本当にそれだけですよね。打たれたら即二軍という立場だったので、それこそ1試合、1イニング、1打者、一軍にしがみつくために必死に投げていました。自分の調子、状態がどうかなんて関係ない。便利屋としてしか生きる道がなかったですから、そこを大事にしていました」

「誇れる数字は特にないですよ。強いて言えば登板数くらいで、ここ数年は500試合登板が大きなモチベーションでした。あとは数字ではないですけど、ケガなくやって来れたのは誇れるというか、よかったと思います」

 悔いが残る思いとして、「優勝できなかったこと。悔いが残るというか、本当に優勝したかったので。ビールかけもしたかったですし、いつも応援してくれた熱いファンに優勝を届けられなかったことは本当に申し訳なかったです」と明かしている。

 根尾も好投を続ければ、存在価値が上がる。逆襲は始まったばかりだ。

写真=BBM
週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部が今注目の選手、出来事をお届け

関連情報

みんなのコメント

  • 新着順
  • いいね順

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング