プロ志望届を提出せず大学進学

東海大相模高時代から注目を浴びていた東海大の1年生・中村は早くも存在感を示している [写真=BBM]
5月2日
東海大3x-2筑波大(1勝1敗)
首都大学野球2026春季リーグ・第5週1日目。東海大は武蔵大、日体大を相手に開幕4連勝と好発進しながら、帝京大との第4週で連敗し、勝ち点を落とした。V奪還へは負けられない戦いが続くが、今週は筑波大との対戦となった。
試合は2対2の同点で延長タイブレークへ。東海大は10回表を無失点に抑え、その裏、無死満塁からサヨナラ打を放ったのはルーキーの
中村龍之介(1年・東海大相模高)だった。
「緊張感を楽しめるタイプなので、緊迫した場面でしたが心には余裕がありました。チェンジアップか落ちる系のボールだったのですが、2ボール1ストライクのカウントでストライクをとりにくるだろうと思い、ゾーンに来るのを待っていました」
捉えた打球は鋭く右中間を切り裂いていった。
「外野へ打球が飛びさえすればいいと考えていたので、楽に打席に入れました。10回表はピッチャーの山口祐樹さん(2年・大阪桐蔭高)をはじめとした守備陣が無失点切り抜けてくれて、同点のまま攻撃を迎えることができたので、自分だけじゃなく周りが打たせてくれたヒットだったと思います」
東海大は3対2で筑波大を下し、先勝した。
中村は東海大相模高2年夏の甲子園で8強進出。左腕エース・
藤田琉生(
日本ハム)の好投に加え、中村龍も三番を任され、計3試合で11打数6安打と活躍を見せた。
「あの大舞台を経験できたことが、土壇場で結果を出せることにつながっていると思います」。昨夏の神奈川大会決勝では横浜高の当時2年生・
織田翔希から、右翼席へ先制2ラン(高校通算28号)も、チームは惜敗した。超高校級の打撃はNPBスカウトからも注目を浴びていたが、プロ志望届を提出せず、東海大に進学した。
開幕先発を勝ち取った背景
東海大には岡山泰生、日賀琉斗、
福田拓翔ら東海大相模高の同級生とともに、他の1年生に先んじて練習に合流した。
「大学のレベルの高さを実感し、東海大の練習についていくためにも早く合流したい。それも早ければ早いほど良いと考えていたのですが、系列校ということもあって指導者の方々につながりがあったので参加させていただきました」
大学では木製バットとなり、投手のレベルも上がった。
「木製バットは芯に当たらないと飛ばないので、大学のピッチャーは小さな変化球を使ってくる印象です。特にカットボールとフォークを打つのは難しいなと感じていました」
練習では逆方向への打撃を繰り返した。「左打ちなので左中間を狙い、ボールの内側を打つように意識してスイングをしてきました」。オープン戦から「1試合フルに出場したら、1本か2本はヒットを打つことができました」と結果を残し、1年生ながらリーグ開幕戦から三番・右翼の座をつかんだ。
抜てきした東海大・長谷川国利監督は「バットコントロールが巧みなのでボールへの対応が良く、広角に打てるのでヒットゾーンが広い。シートバッティングではオーバーフェンスの打球も打っているので、これから成長していけば長打も期待できます」と太鼓判を押す。
勝負の世界は厳しい。開幕2試合で8打数無安打。リーグ戦初安打は、3試合目の武蔵大2回戦だった。この試合は3安打の固め打ち。以降は、この日の筑波大1回戦を含めて5試合連続安打と調子を上げている。
「リーグの序盤に好投手がそろっている日体大と武蔵大と対戦できたことが、逆に良かったのではないかと感じています」
気持ちの切り替えができるのが、最大の強みである。
「大学は高校と違ってリーグ戦なので、1回戦で負けても次がある。だから、打てない打席が続いても次の打席、次の試合へ切り替えるようにしています」
打席で気持ちを整えるのコツは、考えないことだ。
「考えれば考えるほど、バットが出なくなってしまうので、ストライクゾーンにボールが来たら強く振ることだけを意識して、逆に何も考えないようにしています」
筑波大1回戦では、長谷川監督の「ここ数試合はトップバッターで起用していたのですが、ポイントゲッターになってもらいたくて打順を三番に戻しました」という狙いも見事にはまって2安打。自身の
セールスポイントについて「ミート力には自信があって、初めて対戦するピッチャーにも対応できます」と圧巻のヒットメーカーは、打率.310(29打数9安打)と上昇してきている。
リーグ戦は終盤を迎えようとしているが「リーグ優勝できるように、これからも自分のベストを尽くしていきたい。そして、全国大会で結果を出したいです」と、目標を語った中村龍。東海大の未来の中軸候補に、ますます期待がかかる。
取材・文=大平明