開幕8試合目で今季初勝利

筑波大・松田は東海大2回戦で規定投球回数に到達し、防御率0.00でトップに立った[写真=BBM]
5月3日
筑波大5-3東海大(1勝1敗)
首都大学野球2026春季リーグ・第5週2日目。開幕7連敗と苦しんでいる昨秋の王者・筑波大。この試合に敗れて勝ち点を落とすと、最下位が決まってしまうピンチを迎えているなか、東海大2回戦を迎えた。
初回に先制を許したものの、その直後に四番・
千葉柚樹(3年・花巻東高)とルーキー・長谷川颯(1年・京都国際高)のタイムリーなどで逆転。その後も追加点を挙げていくと、2点リードの9回にマウンドへ送られたのが左腕の松田優樹(4年・川口市立高)だ。
「チームが『なんとか1勝を』と頑張っているなか、この場面で自分が登板できることに感謝しながらマウンドに上がりました」
2者を難なく打ち取ると、最後の打者は147キロのストレートでセンター前への飛球。この打球を中堅手の長谷川颯がダイビングキャッチして試合終了。5対3で東海大を下し、筑波大が今季初勝利を挙げた。
「一人ずつ、きっちりと抑えていこうと考えていました。疲労があるなか、3人で攻撃を切ることができたので及第点は付けられると思います」
今季はここまで5試合にリリーフで登板し防御率0.00。自責点のみならず、失点もゼロとまさに獅子奮迅のピッチングをしている。
「昨年までリーグ戦の出場はなく、今季の城西大2回戦が初登板だったのですが、いきなり一死満塁のピンチで起用されてとても緊張しました。でも、その場面をセカンドゴロと3球三振で切り抜けることができて、それ以降は徐々に自分のピッチングができるようになっています」
地道な努力で球速アップ
第4週の武蔵大1回戦では3イニングをノーヒットに抑え、三振も前日の東海大1回戦までに15回2/3を投げて14個。武器はサウスポーから投じるMAX150キロのストレートだ。「1年生の頃の最速は143キロで、ほとんどのボールは130キロの後半くらいでした」と振り返るが、体づくりをしてベースアップをしながら、野球の動作へとつなげていくトレーニングを積んできた。
「ウエート・トレーニングをした後にネットスローしたり、メディシンボールを投げたり。筋肉を野球のフォームへ落とし込めるように、しっかりとイメージをしながら練習してきました」
地道な取り組みで球速がアップしていき、今春のオープン戦では自己最速となる大台の150キロを計測。リーグ戦でも149キロを2度もマークしており、回転数も2600〜2700回転を計測している。ただ、その一方で「制球が悪く、真っすぐだけになっていました」と課題だったのが変化球だ。そこで、昨夏からは様々な機器を使って自分のボールを測定し、精度を上げていった。
「筑波大はそういうスタイルなので情報を能動的に受け取って、積極的に活用していこうと思ったんです。主にラプソードを使って自分の投げやすい形で投げた時の変化量や回転の軸を確認し、再現性を求めてフォームを固めていきました」
現在はカットボール、スライダー、チェンジアップ、カーブを操り、カウントがとれるようになったことで「変化球でも、ストレートでも勝負できるようになりました」と手応えをつかんだ。指導にあたる川村卓監督も「自分から動作解析をして研究するようになり、この冬から急激に良くなってきました」と成長を認めている。
オープン戦では「大学生と対戦した時はあまりヒットを打たれなかったので、自信を持って開幕を迎えることができました。ピンチの場面もこれまではメンタル面が足りていなかったので自分のピッチングができなかったのですが、今は自分の持ち味が出せれば抑えられると思っています」と松田。
この日の東海大2回戦は前日に4イニングを投げていたが、川村監督の「4年生が少ない投手陣の中心として、信頼できるピッチャーになってきました」という期待に応えて、1イニングを無失点。これで規定投球回数をクリアし、リーグの防御率ランキングで1位に躍り出ることとなった。
チーム状況もあり、浮かれる様子はない。
「防御率0.00はうれしいですが、欲張らず。まずは来週の東海大(3回戦)とその次の帝京大戦に向けて、相手打者を一人ひとり対策し、一戦必勝の気持ちで勝ち続けていきたい。その結果、タイトルがついてくればいいと思います」
大学ラストイヤーに才能が開花した150キロ左腕は最下位を回避するため、最後まで腕を振る。
取材・文=大平明