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規定投球回未経験も「攻略が最も困難な投手」 他球団が脱帽する「阪神の左腕」は

 

球団史上初の快挙を達成


今季は開幕から先発で躍動している先発左腕・高橋


 首位に立つ阪神だが、投手陣は本来の姿とは言えない。最優秀防御率のタイトルを昨年獲得した才木浩人は6試合に先発し、防御率3.97と本来の姿ではない。最多勝、最高勝率、最多奪三振を受賞した村上頌樹は6試合登板で1勝2敗、防御率2.84。試合の序盤に失点を喫するケースが目立つ。助っ人外国人左腕のイーストン・ルーカスは3試合登板で0勝2敗、防御率5.52と安定感を欠きファーム調整に。伊原陵人も「腰部の張り」で4月中旬に戦線離脱と先発陣に誤算が相次いだ。

 その中で圧巻の投球を繰り広げているのが、高橋遥人だ。プロ9年目で初の開幕一軍で迎えた今年は4月終了時点で4試合登板して3勝0敗、防御率0.27。今季初登板となった3月28日の巨人戦(東京ドーム)で3安打完封勝利を飾ると、4月12日の中日戦(バンテリン)でも123球の熱投で10三振を奪って完封した。さらに、同月29日のヤクルト戦(神宮)でも長打を1本も許さず3安打の快投で完封勝利。4月までに3完封は2リーグ制後で球団史上初の快挙だった。

 右打者の内角を突く直球に落差の鋭いツーシーム、鋭く横滑りするスライダー、伸びながら曲がる軌道のカットボールと変化球もすべてが一級品。他球団のスコアラーは「ちょっと次元が違いますね。対策を練っていますが、甘い球がほとんどこない。厄介なのは直球とツーシーム、カットボールの球速差が少ないため打者から見ると判別するのが難しいことです。直球と思って振りにいったら沈んだり、手元で曲がってバットの芯を外される。以前からいい投手であることは間違いないですが、今のセ・リーグで最も攻略が困難な投手でしょう」と分析する。

プロ入り後に5度の手術を経験


 プロ入り後に5度の手術を経験するなど、高橋の野球人生は故障との戦いだった。2022年4月にトミー・ジョン手術を受けると、同年から2年連続1軍登板なしに終わり、23年オフに育成契約に。24年7月に支配下に返り咲くと、5試合登板で4勝1敗、防御率1.52をマークした。

 昨年は左手首に入れたプレートを除去する「左尺骨短縮術後に対する骨内異物除去術」を受けた影響で7月に一軍合流。阪神OBの藪恵壹氏は「持っているものは、素晴らしいものがあります。昨季も8月半ばに復帰して4勝で投げている内容も良かった。相手チームも彼が投げると嫌だと思いますよ。それに首脳陣も今季は計算に入れたい投手。そういうことを自分で考えられるようになってほしいですね、それだけの投手ですから。チームとして考えられたメニューに沿って練習をしていると思いますので、その辺りに期待はしたいです」と週刊ベースボールの企画で分析していたが、投げられるコンディションが整えば、きっちり結果を出す。8試合登板で3勝1敗、防御率2.28と夏場以降に稼働してリーグ優勝に貢献した。

今年こそ最後まで完走できるか


 コンディションを整えた今年はシーズンの明るい未来を予感させた。オープン戦で12球団トップの防御率0.60をマーク。迷いなく腕を振り、投げ込まれる球はすご味が漂っていた。

 今季4試合すべての登板でバッテリーを組んでいる伏見寅威の存在も大きい。昨オフに日本ハムからトレードで移籍した野手最年長35歳のベテランは、投手の能力を引き出す術を知っている。正捕手の坂本誠志郎とは違う配球術に他球団が対応できていない部分があるだろう。

 最高のスタートを切ったが、先が長い。高橋は過去に10試合以上登板したシーズンが2度のみ。19年の19試合登板、109回2/3が自身最多で規定投球回数をクリアした経験がない。故障で離脱することなく今年こそ最後まで完走できるか。大卒の同期入団で最多勝を2度獲得した実績を持つ左腕・東克樹(DeNA)と比較しても決して能力では見劣りしない。大輪の花を咲かせ、球団史上初のリーグ連覇を目指す。

写真=BBM
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