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遊撃の守備能力は球界屈指も…内外野を守る「中日の若武者」は

 

外野で必死にアピール


5月5日の阪神戦では令和9000号となるアーチを放った土田


 中日が上昇気流に乗ってきた。5月は5勝2敗と勝ち越し。9日の巨人戦(バンテリン)に5対2と快勝し、最下位を脱出した。二遊間を守る田中幹也村松開人の活躍が目立つ中、遊撃の守備能力は球界屈指と言われている土田龍空も外野でアピールに必死だ。

 今年は開幕二軍スタートだったが、ファームで打率.314、1本塁打、8打点と好調を維持していた。4月24日に一軍昇格すると、5月1日の広島戦(マツダ広島)で5点差を追いかける8回一死一塁に代打で出場し、ドラフト2位右腕・斎藤汰直の146キロ直球を右翼席に運ぶ1号2ラン。2023年4月8日のDeNA戦(横浜)以来自身3年ぶりのアーチだった。

 この一発は首脳陣に大きなインパクトを与えただろう。攻守の要である岡林勇希、強打が魅力のドラフト5位・花田旭が故障で離脱したため、外野に挑戦している。5日の阪神戦(バンテリン)では「七番・中堅」で自身初の外野手としてスタメン出場。3点リードの4回に早川太貴のツーシームをはじき返すと、弾丸ライナーが右翼のホームランウイングへ。令和通算9000号の記念アーチとなった。

昨年は20試合で打率.137


 土田が頭角を現したのは高卒2年目の22年。打球に対する反応速度が速く、守備範囲が広い。華麗な身のこなしと巧みなハンドリングでチームの窮地を幾度も救ってきた。印象深いのは7月31日の広島戦(マツダ)だ。2点リードの9回二死二、三塁で秋山翔吾が放った二遊間のゴロをスライディングキャッチ。一塁は間に合わず適時内野安打となったが、抜けていれば二塁走者の野間峻祥が本塁に生還していた可能性が高かった。1点差で逃げ切った試合後に立浪和義監督は土田の好守を絶賛。夏場以降は遊撃のレギュラーで起用された。

 23年は自身最多の114試合に出場したが、その後は出場機会が減少。課題は打撃だった。昨年は「1年目の気持ちを忘れないように、フレッシュな気持ちで頑張ります」と「龍空」の登録名を本名に戻した。春季キャンプは一軍スタートとなり、井上一樹監督は「遊撃は村松(村松開人)が一歩抜けているところにライバルとして土田を抜てきした。ハツラツさを出してくれれば、あいつ(土田)にもチャンスはある」、「龍空はお調子者。おだてれば、どんどん伸びていくタイプ。村松の今年に懸ける思いをこっちも分かっているし、真面目にコツコツ取り組むタイプ。負けん気は強い。バチバチになってくれればいい」とハイレベルなポジション争いを期待したが、共に期待に応えられなかった。村松は度重なる故障で自己最少の出場にとどまり、打率.177、2本塁打、10打点。土田も20試合出場で打率.137、0本塁打、2打点とファームで過ごす時間が長かった。

複数ポジションを守った森野


 今年は村松が攻守で活躍しているため、外野でも出場機会を模索しているが、内外野を守れることで起用法の幅が広がり、野球人生の大きなプラスアルファになるだろう。中日OBで強打者として活躍した森野将彦氏も現役時代に内外野の複数ポジションを守り、自身の存在価値を高めた。週刊ベースボールのインタビューで、さまざまなポジションを守ったことについて以下のように語っている。

「僕の中で、『できない』というのが嫌なんです。『お前、セカンドできるのか』と聞かれて『できません』とは言いたくないんです。そのためにも何か、こいつだったらできるんじゃないか、というものがないと使ってもらえない。そこでうまく使ってもらいました」

「僕の中では全然。楽しみながらやっていました。『できるかな。練習しとかなきゃな』と。慣れは必要ですよ。まったくやっていない場所をやるのは怖いですけど、そのころは外野が基本で、内野は経験がありましたから。グラブは大変でしたよ。ファーストミット、内野用、外野用が必要で、すべて壊れたときのサブを用意しないといけない。毎試合毎試合、6個は持っていましたね。本当はみんな、そういう選手になってほしいですが、すごく飛び抜けたものがあるなら一つのポジションを奪えばいい。僕はどちらかといえば、さまざまなポジションをこなすことが、レギュラーを取るための道の一つだったのだと思います。」

 森野氏が規定打席に初めて到達したのがプロ10年目の06年。紆余曲折を経た土田も替えの利かない選手を目指す。

写真=BBM
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