自身の持ち味を認識

首都大学リーグ戦で安打を量産している[写真=BBM]
5月10日
日体大5x-4帝京大(日体大2勝1敗)
首都大学野球2026春季リーグ・第6週2日目。上位を争う帝京大で好調な打撃を見せているのが中山鳳(3年・宇都宮工高)だ。
中山は1年春にリーグ戦初出場を果たし、シーズンを重ねるごとに出場機会を増やしていった。帝京大・唐澤良一監督は明かす。
「1年秋から試合に出場する機会が増えたのですが、その時は内野安打ばかりでバントも何も上手くいかなかったんです。でも、中山は考えながらプレーできる選手で練習も黙々とやっているので、その上手くいかなかったことが逆に成長へつながったのではないかと思います」
昨秋は打率.328(58打数19安打)をマークしてベストナイン(外野手)を受賞。
「昨年の春季リーグはシーズンを通してレギュラーとしてプレーすることができ『やっていけるかな』と感じていたのですが、秋季リーグでベストナインをとることができて自信に変わっていきました」
50メートル走は6秒0の俊足。「練習でも試合でも、常に心掛けているのは低いライナーを打つこと。転がせば何かあると思っているので、コンタクト率を上げて三振を少なくするように意識しています」と自身の持ち味をしっかりと認識している。
このオフはフィジカル面を鍛えてきた。「筋力がなかったので全身を鍛えつつ、体が重くなりすぎて自分のスタイルが崩れないように、短い距離のダッシュやジャンプなどの瞬発系のトレーニングも取り入れてスピードが落ちないように気を付けてきました」。体重は大学入学時の71キロから78キロに増え「以前よりも疲れないようになり、1試合フルで戦えるようになりました」と効果を実感している。
もちろん、冬はバットも振り込んできたが、こうした努力の成果はすぐに表れた。今春のリーグ戦では開幕から全試合で安打を記録。
「自分のモットーは『応援してくれる周囲の方々のために』なんですが、打席では自分のことよりもチームのために。勝利を最優先にして勝つためのバッティングをしていることが、今季の好調につながっているのではないかと思います」
第3週の城西大3回戦では4安打の固め打ち。2回一死一、二塁の第2打席では「初球にセーフティバントの構えを見せてバッテリーを揺さぶり、2球目は右方向へ引っ張って最低でも走者を進めようと考えていたところに甘い真っすぐが来て右中間へタイムリースリーベースを打つことができました」と、まさに考えてプレーできる中山の本領発揮とも言える一打を見せた。
タイトルは意識せず
前週を終えた時点でリーグトップの打率.429。今週も前日の武蔵大3回戦で3安打を放ち、この日の日体大3回戦を迎えた。
今季のシーズン途中から定着した二番・中堅で先発出場。初回にショート内野安打を放って連続試合安打を11に伸ばすと、2打席目は「追い込まれていたのですが、上手くボールを拾うことができました」と中前打。
続く
森田大翔(3年・履正社高)のショートゴロが一塁への悪送球となって一気に三塁へ進むと「ボールを持った選手がファウルゾーンから一塁ベースのあたりへ向かっていたのですが、ボールを投げる体勢じゃなかったので」と隙をついて本塁へスタートを切ってホームイン。さらに犠打失策で出塁した5回も三塁まで進むと、ライトが浅いフライを捕球した後に「ボールを落とすのが見えたので」と本塁へ突入。高い走塁センスで2得点を挙げた。
一方で初回は盗塁に失敗。ただ、唐澤監督は「アウトにはなりましたが、野球観が良い選手なので盗塁は中山に任せています」と信頼は揺るがない。
中山は「警戒されているなかでも決めていかないと。積極性は変えることなく、成功率を上げるためにリードや一歩目のスタートを改善して、ピッチャーのクセも盗んでいきたい」と意気込んでいる。
試合は終盤までもつれたが、9回に大海然(4年・佐野日大高)にタイムリーを浴びて4対5でサヨナラ負け。帝京大は痛い一敗を喫した。2安打の中山は自己最多となるシーズン20安打に到達し、打率.465(43打数20安打)。数字をさらに上げているが「タイトルは意識せず、チームの勝利のために頑張りたい」と意識を変えることはない。そして、来年にはプロ志望届を提出することも考えているとのことだが「長所である足をいかしたバッティングを伸ばしていきたい」とさらに上を目指していく。
取材・文=大平明