「投げる渡部聖弥」の快進撃

新人ながらクローザーとしてチームに貢献している岩城
「投げる
渡部聖弥」こと
西武・
岩城颯空の快進撃が続いている。
今季、ドラフト2位で入団した即戦力左腕は5月12日現在、14試合(14回)に登板し1敗1ホールド11セーブ、14奪三振、防御率2.57。球団新人では2011年の
牧田和久以来となる新人2桁セーブに到達し、パ・リーグ新人でも史上最速の登板13試合目での10セーブ到達を記録している。
肝っ玉ルーキーは予期せぬ最速記録に「めちゃくちゃうれしいです! 去年、平良さんが抑えをやっていた。その数を目標に頑張っていきたいと思います」と堂々の31セーブを1年目の目標に掲げている。
絶対的守護神・
平良海馬の先発再転向で懸案事項と思われていた「抑え」のポジションにピタリとはまり、現在、貯金4の2位で
オリックスを追走する西武にとって、うれしい誤算がこのドラ2左腕・岩城のここまでの活躍だ。
「入団会見の写真を見て『あっ、似てんな』」
その岩城についてはネットばかりではなく、チームメートからも「顔が渡部聖弥に瓜二つ」「生き別れた兄弟なのでは」という噂が飛び交っている。
そのことについて、ここまで打率.270、4本塁打、18打点と打線の中軸としてチームを引っ張る渡部は「自分も似ていると思います」と驚きを隠さない。
渡部は言う。
「入団会見の写真を見て『あっ、似てんな』と思いました。球団が(ホームページに)会見の写真をあげていて、その段階で似てるなと思ったんですよ。それを見た友達が速攻で『聖弥、また入団してきた?』みたいな写真を送ってきたりとか。新人合同自主トレの時の(岩城の)写真を見て『聖弥、左ピッチャーになった?』みたいな感じでLINEしてきたりとか、(
広島の)地元でも話題になっていました(笑い)」
そして、自主トレ、キャンプで対面が実現し「ちょっとサイズ感がデカかったです。自分よりも一回り大きい感じなんですけど」と予想よりもワイドな岩城のサイズ感に圧倒されたという。
最近では、岩城の両親も息子と渡部の区別がつかず「アングルによっては間違えたみたいな。親でも間違えたみたいな感じで言ってました。鏡まではいかないですけども、似てますよね。普通にその雰囲気、シルエットというか感じは……」と渡部は笑いながら、岩城とのやりとりを明かした。
顔に出る負けん気の強さ

2年目の今季も主にクリーンアップで打線をけん引する渡部
「世界には自分と似ている人間が3人いる」という都市伝説があるが、渡部はこれまでにも似たような経験を一度しているという。
「一人いたんですよ。中学生のときに、地元のクラブチームの子でめちゃくちゃ似てる子が。他のチームだったんですけど、ノックのときにボール渡しをしていて横顔がほんとそっくりで。そのときに、こんなに(自分と)似てるやつがいるんだ。みんなも『似すぎやろ』みたいに言っていて、自分でもこれは似てるわ。もう、一生出会わないんじゃないかと思ってたら、岩城が入ってきました(笑)。横顔だったらあっちが似ていましたけど、正面は断然、岩城のほうが似てます」
即戦力として獲得した2024年、2025年のドラフト2位がいずれも開幕から戦力となり、外せないピースになっていることは西武スカウト陣の慧眼だが、スカウティングの段階では「気付かなかった。最近になって、周りから言われて気付いた」(前田俊郎アマチュア担当チーフ)とのこと。
それでもかつて2013年ドラフトで大阪桐蔭高・
森友哉を単独1位で出し抜いたときには当時、シニアディレクターだった
渡辺久信氏が「実力はもちろん、面構えが良かった」と獲得理由を語ったこともある西武だ。
前田チーフは「勝負の世界ですから、やはり面構えは大事。負けん気の強さは顔に出る。肝に銘じて、今年のスカウティングに生かしていきたい」と第3、第4の“渡部聖弥顔”の発掘を誓っていた。
文=伊藤順一 写真=BBM