投打がかみ合った戦いぶり

打線が活気づき、盛り上がる西武ベンチ
5月14日現在、6連勝中の西武は5月に入っての11試合を9勝2敗(勝率.818)のハイペースで4カード連続勝ち越し。4月18日時点で最大5あった借金を15勝5敗(勝率.750)の快進撃で完済し、貯金5のパ・リーグ2位と躍進している。
チーム打率.252、同防御率2.76はともにリーグトップ。チーム得点154(1試合平均3.85)、同失点130(1試合平均3.25)は同2位と投打がバランスよく、ガッチリとかみ合った戦いぶりは勝ち方のバラエティーも豊かだ。
この20試合の中では近年チーム最大の課題とされてきた打線が爆発し、2ケタ安打、2ケタ得点による大勝が4試合あり、投手陣が踏ん張った零封勝利も4試合、相手にリードを許しながら試合の中盤以降に主導権を奪い返した逆転勝ちも4試合と勝利のパターンもさまざま。相手の不安定な立ち上がりを突き、もぎ取った序盤の先制点を、投手陣がつないで何とか1対0、2対1、3対2の接戦を逃げ切るしかなかった昨年までの戦い方とは違う、強いライオンズがよみがえってきている。
ここ20試合で最も多い10試合でスタメンマスクをかぶった
古賀悠斗は「自分が(本塁打を)打っても試合に負けたら意味がない。キャッチャーで出ている以上は、打つことはもちろんなんですけど、(チームが)勝ってなんぼなんで」と捕手というポジションの矜持を語りながら、自軍打線の得点力アップによる試合運びの変化についてこう語っている。
「(変化を感じるのは)相手チームがどうこうというよりは自チームのほうですね。ピッチャー陣は頑張っていますし、点を取れないときは取れないですけど、得点力は上がっている気がしますし。より一層、抑えれば勝ちに近づく、という手応えは感じています」
リードの上で余白のある考え方
試合中盤以降の決定打不足に泣き、投手を見殺しにするパターンが多かった昨年までは序盤からクロスゲームを想定せざるを得ないことが多く、走者を得点圏に背負えば序盤から前進守備を敷くような戦い方を強いられていた。
しかし、平均得点が昨年の2.87から3.85にアップした今季のライオンズ打線は序盤、中盤、終盤に関係なく打線のどこからでもチャンスメークができ、欲しいところで決定打も出るようになってきている。これによって投手を引っ張る捕手陣のリードのバリエーションにも当然幅が出てくる。
古賀悠は「まあそうっすね。もちろん、この1点を守り抜かないといけないという気持ちは忘れていないんですけど……。多少はそのなんですかね、(ピンチの場面では)最小失点でなんとか(しのげれば)という感じにはなってきています。今年は得点力が上がっているだけに、それは感じるところですよね」とコメント。常に1点もやれない窮屈な考え方から、相手にリードを許した展開の中でも打線の援護を期待しながら、余裕を持った試合運びでリーグ屈指の自軍投手陣をリードできる今季の余白のある考え方を解説してくれた。
それでも、古賀悠は「やっぱりどうしてもピッチャーは点を取られたくないですし、僕もそう。そこをどう割り切っていくかというところ」という無失点に対するこだわりを口にしながら、打線の上昇が与えるゲームプランへの影響を語っている。
西口文也監督は「チームの雰囲気はいいと思う。連勝とかいうことは気にせずに1日1日、やることをしっかりやっていくだけ」と泰然自若。西武にとって正念場の夏を迎える前に順位は気にすることなく、とにかくここ数年、果たせていない「球宴まで5割キープ」を目標に上位に離されずについていく一戦必勝の構えだ。
文=伊藤順一 写真=湯浅芳昭